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ザラザラしたかたい茎
「木賊」と書いて「トクサ」と読みます。
「砥草」とも書くそうです。
別名は「歯磨草」と書いて「はみがきぐさ」。
「砥草」は「砥石になる草」「砥ぐ草」ですし
「歯磨草」はそのまんま、硬くて何かを磨く、
研磨するという感じがする名前ですね。
そしてその「砥草」という名前通りに
茎がかたくてザラザラしているそうです。
この茎は珪酸質を含んでいて、表面に
細かい突起があり、いろいろなものを
磨くために利用されています。
「トクサ」は常緑のシダ植物
普通イメージするシダ類とはかなり見た目が違いますね。
こちらは「トクサ」の花。
つくしみたいですね。
そう、「トクサ」ってスギナ科なのです。
じみ〜、な感じがするの「トクサ」ですが
こんな風に見るととても美しいですね。
デザインや薬にも活躍する「木賊」
冒頭の「トクサ」はやはり、という
言い方も変ですが、溜池山王駅アートでは
かなりの数を占める狂言の装束です。
「木賊と松皮の段文様肩衣」という名前で
岡山県の林原美術館が所蔵しています。
(「MARSHALLの好きな場所」)
そしてつぎは「トクサ」を蒔絵で棗の模様
としたものが次の写真ですが、これは現代の
作品で、ネットショップに出ていた大棗です。
このように様々なもののデザインにも
活躍している「トクサ」、最初にお話
しました細工物を磨くと用途とは別に
腸出血などを抑える薬にもなるそうです。
お能の「木賊」
そこで昔は、この有用な「トクサ」を刈る
お仕事をしている人も いたそうですよ。
そういえばお能には「木賊」
という演目もありましたっけ。
って、話が逆になってしまいましたが
私が初めて「木賊」という言葉を聞いた
のは お能の「木賊」が最初でした。
この「おもちゃ尽掛素襖(かけすおう)」
という装束は、お能の喜多流で「木賊」を
演じる時のためだけにある装束だそうです。
「掛素襖」とは、袴などをはいた上に打ち
掛けて羽織るものをいい、能や歌舞伎では
身分の低い人や旅人などが着るものです。
「おもちゃ尽くし」というのがいいですね。
喜多流「木賊」専用の装束
「おもちゃ尽掛素襖」 「写真/「粟谷能の会」)