植物の「立ち聞き」や「おしゃべり」

「あぷりのお茶会」へようこそ!

 

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植物の立ち聞き

今日は「立ち聞き」のお話をしましょうね。
といっても人間の立ち聞きではなく、植物の立ち聞きのこと。

 

植物の立ち聞き、といったら
どんなことを想像するでしょうか?

 

 

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「立ち聞き」という言葉はふさわしくないかもしません。

 

やはりこれも昨日と同じような「悲鳴やSOS信号を聞いた」、
あるいは「聞こえてしまった」と言った方が正確なのかも。

 

昨日は、植物が自分を食べる幼虫の天敵の虫にSOS信号を出して
自らの身を守っている、というところまでお話しました。

 

今日は、傷ついた植物が出している信号を
まわりにいる植物も聞いているというお話です。

 

 

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除虫菊に含まれるピレトリン(殺虫性物質)

この研究は、近畿大学の松田一彦教授(昆虫制御化学)らの
研究で明らかにされたものです。

 

蚊取り線香でお馴染みの除虫菊という植物がありますね。

 

 

jotyugiku        除虫菊(写真/「かいちゃんのブログ」

 

 

除虫菊には、ビレトリンという
殺虫性物質が含まれているそうです。

 

 

 

悲鳴を聞いてピレトリンをつくりだす

このピレトリンを合成することができる除虫菊が
虫に食べられて傷ついたとします。

 

すると傷ついた除虫菊の近くにある除虫菊は
その個体自体は無傷であっても、

 

ビレトリンをつくる遺伝子の働きが高まるということを
松田一彦教授らは発見したのです。

 

つまり、傷ついた除虫菊の悲鳴を聞いた他の除虫菊が
防衛のために化学物質を活性化して
ピレトリンを作り出しているというのです。

 

 

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他の植物も同様の反応

また、昨日の京都大学生態学研究センターの高林純示センター長と
山口大学の松井健二教授(植物生理学)らとの実験で

 

除虫菊以外にも同様の現象が起こることを見つけました。
この実験はシロイヌナズナを使ったものです。

 

虫に食べられた個体を近くに置くと、無傷の個体の
「食害の防衛に関係する遺伝子の活性」がたかまることがわかりました。

 

「食害の防衛に関する遺伝子の活性」という言葉をやさしくいえば
植物が食べられそうになる時にだす化学物質が活性化されるということ。

 

これと同じことはリママメでも起こることが確認されています。

 

 

siroinunazuna        シロイヌナズナ(写真/「Wikipedia」

 

 

 

信号を出す植物にとっては益はない

これらの意味するところは、傷ついた個体が出す信号を
まわりの植物が聞いているということに他なりません。

 

この時、傷ついた個体はその信号を出すことによって
得られる利益は何もないそうです。

 

つまり「食べられてしまう植物が悲鳴のような信号を出し、
それを聞いた近くの植物が、備えをする」
ということではないかと考えられているのです。

 

被害を受けている植物
(近くの個体)
→ その植物の出す香りを立ち聞きする
→  防衛に関わる遺伝子が働く

 

 

 

 信号の聞こえる範囲

それでは、その植物が出す悲鳴ともいえるSOSは
どのくらいの範囲まで届くのでしょうか。

 

 

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ヤマヨモギ(オオヨモギ、エゾヨモギ)
(写真/「岡山理科大」

 

 

それについては、アメリカやドイツでの研究があります。
その研究によりますと、植物によって範囲が異なるそうです。

 

マヤヨモギの場合、最初に傷ついた個体から60センチ以内、
ハンノキでは約10メートル以内にある個体は
後からの被害が軽かったということです。

 

この仕組みは、上手に利用することによって
農薬に頼ることなく植物を虫の被害から
守ることもできると期待されています。

 

 

seitakaawadatisou            セイタカアワダチソウ

 

 

根から出す科学物質でもコミュミケーション

また植物は、虫の害から身を守る以外にも
化学物質を利用したコミュニケーションをしているといいます。

 

それは主に根から化学物質を出すことで発揮されています。

 

セイタカアワダチソウなどで知られているそうですが
「ここはオレの領分だ。入ってくるな」

 

というサインとして働いて、他の種類の植物が
進出するのを防ぐ現象です。

 

こんなふうに植物は
「助けを呼んだり」「悲鳴を上げたり」
「その悲鳴を立ち聞きしたり」「ライバルを追い出したり」

 

と、私達人間が想像もしなかった驚くべきことを
しながら生きているのですね。

 

 

hannoki              中央がハンの木、右は白樺

 

 

信号の受け取り方は、まだ不明

植物が化学物質によるSOS信号を「出す」という
驚くべき事実が発見されました。

 

しかし一方、植物がその信号を「どのように受取っているのか」は
まだよくわかってはいないようです。

 

イルカも植物もおしゃべりをしているんですね。
イルカのおしゃべりも、植物のおしゃべりにも
人間が加わることができたなら……、本当に素敵ですね!

 




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