息の仕方ってどうするんだっけ?「痕跡〜内藤陳がいた」イメージフォーラム・フェスティバル

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

imageforumfes2014(写真/「OUTSIDE IN TOKYO」)       

 

 

私にとっては「啓蟄(?)」の

「イメージフォーラム・フェスティバル」

5月2日に「イメージフォーラム・フェスティバル」
に行って参りました。

 

「イメージフォーラム・フェスティバル」
とは、世界中から、作家性、芸術性、創造性
の高い映像作品を集めて上映する
映像アートの祭典のことです。

 

1987年から始まっていますので
今年は28回目ですね。

 

 

 

 

東京会場は新宿パークタワーで、ゴールデン
ウイーク突入の4月27日から今日、5月6日まで。

 

その後、京都、福岡、名古屋、そして
6月29日の横浜美術館で終了まで
約2か月間にわたって開催されます。

 

 

 

『痕跡』

というわけで今回、見た作品はかわなかのぶひろ
の『痕跡(imprint)内藤陳がいた』。

 

 

(写真/「ImageForumFestival2014」)

 

 

2011年に亡くなった友人の内藤陳さんについて
のかわなかのぶひろの映像エッセイです。

 

上の写真ではほんの一部しか写って
いないのですが、次の写真を御覧頂き
ますと、壁全体が本、本、本……。

 

 

naitoutinhon内藤陳の本棚
(写真/「松岡正剛の千夜千冊」

 

 

内藤陳さんはコメディアンや書評家として活躍し
1981年に作った「日本冒険小説家協会」の会長として
優れた作品を世に知ろしめた方でもあります。

 

プロレタリア文学作家の内藤辰雄さんを父に、
記者をしていた母をもつ内藤陳(本名の
読み方は「のぶる」)は、『読まずに死ねるか』
等々の著作でも有名です。

 

 

yomazunisuneruka(写真/「空白つれづれ草〜漂えど沈まず〜」)

 

 

日本冒険小説協会の事務所兼、会員の
たまり場として、新宿ゴールデン街に
「深夜+1」を作りました。

 

「深夜+1(しんやプラスワン)」という
「マクツ」 には、尋常ではない本好きたち
が集まったといいます。

 

「深夜+1」というお店の名前も、ギャビン・
ライアルの作品の名前からとったものだそう。

 

 

 

 

 

「今日はここにいろ」

『痕跡(imprint)内藤陳がいた』という
作品は、プログラムでは80分となって
いるのですが、実際は100分になって
しまったというかなり長い作品です。

 

その最後の方の、内藤陳さんを看取った
「深夜+1」のスタッフである
須永祐介さんのお話が印象的でした。

 

内藤陳さんの入院している病院に
最後の日となってしまった
2011年12月28日に行った時のこと。

 

 

naitoutin偉そうにするお客さんは
追い出されたという「深夜+1」

 

 

「そろそろ『深プラ(深夜+1のこと)』
に行きます」と須永祐介さんが言うと
「今日は店を開けなくていいからここにいろ」
と内藤陳さんは言います。

 

それでは何か食べるものでも買ってきしょう、
と彼は、内藤陳さんが散歩の時に見つけた
というお肉屋さんでコロッケ、メンチカツ、
アジフライを買ってきます。

 

新聞紙に広げて食べ始めようとしますが
メンチカツ一枚が重くて持ち上げられない、
という内藤陳さんに須永祐介さんは
メンチカツを小さく切ってあげました。

 

 

 

 

「それでもアジフライは、まるまる
一つ食べたんじゃないかな」
という食事の後、内藤陳さんは
トイレに行きたいといいます。

 

「車椅子に乗せてそのまま行けば簡単
なんですが、自分で歩いて行きたいと」

 

壁伝いに少しずつ歩きトイレをすませた後、
病室の外の 好きだった場所で
車椅子にすわる内藤陳さん。

 

 

 

 

「息の仕方って、どういう風にするんだっけ?」
という 内藤陳さんの言葉を
最初は冗談かと思ったという須永祐介さん。

 

それでも、
「鼻で吸って……」「口からはいて……」
と実際に自分でしてみせると
内藤陳さんも真似をします。

 

2.3度繰り返した後に
息を吐かないので、須永祐介さんは
「会長、息を吐いて、吐いて」と促し……。

 

 

 

 

すると内藤陳さんは少しずつ息を吐き終わり、
その後、にこりと笑って須永祐介さんの
言葉によりますと、
「いつものようにニヤリと笑って」
息絶えたのだそうです。

 

日本冒険小説協会は、内藤陳さんの
亡くなった3か月後の2012年3月24日、
三十周年記念をもって会を閉じています。

 




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