南天、万両、千両、百両、十両、一両の違い 「難を転じて福となす」

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「難を転じて福となす」

新春の生花には「ナンテン」を見かけることが多いですね。
今年のお正月も御覧になったのではないでしょうか。

 

「難を転じる」という意味に通じることから
「ナンテン」はお正月によく飾られる縁起物の植物です。
英語では「A blessing in disguise 」というそう。

 

 

151212motohikawananten「ナンテン」(元氷川坂)

 

 

この「ナンテン」の写真は先日ご紹介した
本氷川坂で撮ったものです。

 

 

151209motohikawazaka本氷川坂(赤坂6丁目)

 

 

 

「ナンテン」の名前は「南天燭」から

「ナンテン」は中国名で
「南天燭」や「南天竹」といいます。

 

それを簡単にして日本で「南天」
と呼ぶようになりました。

 

「南天燭(なんてんしょく)」の「燭」とは
燭台の燭、ともしびという意味で「ナンテン」の
小さな赤い実をともしびと見立てた名前です。

 

「南天を庭に植えれば火災を避けられる」ということが
江戸時代の百科事典である「和漢三才図絵
(わかんさんさいずえ)」に書いてあり、江戸時代
にはどこの家にも「ナンテン」があったとか。

 

そんなどこにでもあるというイメージの
「ナンテン」ですが、欧米にはないそうです。

 

 

blog_import_5153605322b9cお赤飯にナンテンはつきもの

 

 

 

お赤飯の「ナンテン」は飾りだけじゃない

また「ナンテン」といえば、お赤飯につきものですが
「ナンテン」が慶事に使われるようになったのは
江戸時代後期からといわれています。

 

本物の「ナンテン」がない時には、お赤飯の
のし(?)のようなものに「ナンテン」の
絵をプリントしたものさえあるほどですものね。

 

これも、お赤飯の登場するお祝いの場面で
「難を転じて福となす」ということなのかと思いきや
そればかりではないそうです。

 

 

160102sango赤い珊瑚ですが、ちょっとナンテンみたいでしょ?

 

 

「ナンテン」の葉には、ナンニジンという
成分が含まれていて殺菌効果をもつとか。

 

これがお赤飯が腐敗するのを防ぐ役目もするのです。
「ナンテン」はエライ!、のみならず
いつものことながら昔の人もスゴイ!、ですね。

 

 

 

ナンテン  メギ(目木)科 

緑の葉っぱに赤い実の「ナンテン」ですが
同じように縁起物の赤い実をもつセンリョウ、
マンリョウがあって一瞬戸惑ってしまいます。

 

一番わかりやすい違いといえば、それぞれの
実のつき方で、「ナンテン」は、1本の茎に
ブドウのように実がなっています。

 

高さは2mほどで、高いものでは4〜5m
というのもあるそうです。

 

 

151212motohikawananten確かにブドウ状に実が付いているますね
ナンテン(南天)

 

 

 

マンリョウ  ヤブコウジ(サクラソウ)科

それに対してマンリョウはといいますと
サクランボのような形状で、実は葉っぱの下
にあって、ぶら下がっている感じです。

 

別名はタチバナコウジ。
高さは30cmから1mほどです。

 

 

manryoサクランボ状に実がついている
マンリョウ(写真/「季節の花300」)

 

 

 

センリョウ  センリョウ科

それではセンリョウの実のつき方はといいますと
何といったらいいのか少々形容に困りますが
実が葉の上についているのが特徴。

 

これが万両との大きな違いで
万両は実が葉の下になります。

 

センリョウ(千両)のお金は葉っぱの上に差し出せても
マンリョウ(万両)となると重くて葉の下になって
しまう、などともいうようですが……。

 

これらの緑の葉っぱに赤い実のなる植物である
ナンテン、マンリョウ、センリョウの中で、私が
お花屋さんで一番出会うのはセンリョウでしょうか。
センリョウは高さ、50cmから1m。

 

 

senryoセンリョウ(写真/「季節の花300」)

 

 

 

ヒャクリョウ、ジュウリョウ、イチリョウも

とナンテン、マンリョウ、センリョウと
見てきましたが、驚いたことに、この3つの
植物は全て属している「科」が違うのですね。

 

ナンテン  メギ(目木)科
センリョウ センリョウ科
マンリョウ ヤブコウジ(サクラソウ)科

 

そしてもう一つ驚いたことには、この3つ以外に
じつは「百両」、「十両」、「一両」という
赤い実のなる植物もあるのだそう。

 

こちらは、「唐橘(からたちばな)」という
別名もつヒャクリョウです。

 

 

hyakuryoヒャクリョウ(百両)

 

 

次は、マンリョウと同じヤブコウジ
(サクラソウ)科のジュウリョウです。
別名は「薮柑子(ヤブコウジ)」
「山橘(ヤマタチバナ)」。

 

 

juryoジュウリョウ(十両)

 

 

そして最後は、イチリョウ。
アリオドシという別名をもっています。

 

 

839c48e42169a402aad97b0a2d08079d-300x225イチリョウ(一両)

 

 

木の高さはナンテン、マンリョウ、センリョウ
の順に低くなります。

 

ヒャクリョウ、ジュウリョウ、イチリョウでは
百両  >  十両  >  一両  の順だそうですので面白いです。
といいますか、高さの順に名前を
つけたのかもしれませんね。

 

 

 

 

 

東西「衣装比べ」

そうそう、これを書いていて
むか〜し読んだ話を思い出しました。
南天の着物の話を。
江戸時代の豪商の妻達の衣装比べの話です。

 

1700年に成立した『武野燭談』に出ているのですが
江戸で一番とうたわれるお洒落な石川六兵衛の妻が
「衣装くらべ」の相手を求めて京へ上ります。

 

 

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京には、これまたお洒落だとうわさされている
難波屋十右衛門の妻がいました。

 

「衣装比べ」の際の難波屋十右衛門の妻
の衣装は、真っ赤な緋繻子に金銀糸で
洛中の図を縫い取ってある豪華な小袖。

 

それに対して石川六兵衛の妻の出で立ちはといえば
黒羽二重に南天の刺繍がある、一見地味な着物でした。

 

 


             赤い珊瑚

 

 

何といっても、難波屋十右衛門の妻の
衣装の豪華さが人々の目をひきます。
ですが軍配は、江戸の石川六兵衛の妻にあがりました。

 

なぜなら黒の羽二重に南天の刺繍があるだけ、
と見えた着物の南天の実は、実は全て
一つ一つ縫い付けられた珊瑚だったからです。

 

そんな石川六兵衛の妻は、その後、
贅沢が行き過ぎたとの咎で五代将軍・
徳川綱吉の怒りをかうことになります。

 

財産を没収の上、六兵衛、妻、息子ともども江戸追放、
遠島の憂き目にあったということが『御当代記』に
記されているのも如何にも教訓的、といえるでしょうか。

 




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