山田屋まんじゅう

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金沢ではなく愛媛のお菓子

ちょっと小ぶりの可愛いおまんじゅうは、愛媛の「山田屋まんじゅう」。
ご覧の通りに包んである紙に梅鉢紋がついていたので、てっきり加賀の
お菓子かと思っていたのですが、今見たら愛媛のものでした。

 

(「山田屋まんじゅう」 本店
〒797-0015 愛媛県西予市宇和町卯之町3-288
Tel./Fax.  0894-62-0030    サイト yamadayamanju.jp
営業時間 9:00〜18:00 年中無休 お休みは1月1日だけだそう)

 

直営店は愛媛県に5店舗と、2015年8月には東京の恵比寿にも
お店をオープンしたほかは、高島屋でも扱っているようです。

 

 

 

 

この「山田屋まんじゅう」はいただきもので、私は初めて
頂くお菓子でしたが、とても美味しくて驚きました。

 

その味を説明するのは、私の貧困なボキャブラリーでは
ちょっと難しいのですが、強く前面でアピールする美味しさではなく
控えめな慎ましやかな美味しさとでもいったらよいでしょうか。

 

縦二つに切ったものがこちら。
いってみれば、おまんじゅうの全体が「皮」であり「餡」
でもあるような感じで、境目が優しく溶け合っています。

 

 

「山田屋まんじゅう」を縦二つに切ったところ

 

 

おまんじゅうの全体の構成員(?)が皮のようなさっぱり感と
あんこのようなまったり感を持ち合わせて絶妙なバランス。
(と言っていることが、だんだん意味不明になってきましたが)。

 

全体が餡のような感じというと、いかにも甘すぎると思いがち
ですがさにあらず、ほのかな甘さはくどくなくて、もうホント
幾つでも食べられてしまうという感じのおまんじゅうでした。

 

 

 

宿のお礼に教えてくれたレシピ

小ぶりの丸っとしたかわいい「山田屋まんじゅう」が生まれたのは
1867年、慶応3年のことといいますから、今からちょうど150年前。
かわいいけど誕生したのは結構、昔なのですね。

 

商いをしていた高辻源蔵はある日、旅人に一夜の宿を提供します。
そのお礼にと、旅人が作り方を教えてくれたのがこのおまんじゅう。
作ってみると大評判で、源蔵はそのおまんじゅうを商うことになりました。

 

以来、親から子へ、子から孫へと受け継がれ。一子相伝の製法として
高辻家当主に伝わったおまんじゅう作りも現在は、5代目を数えます。

 

 

 

 

 

1つ22グラム

現在は、名水しるこ「きら」という製品もあるようですが、山田屋は
ただ一種類のこのおまんじゅう作りにこだわり続けてきたといいます。

 

わずか22グラムの小さなおまんじゅうに、入手しうる最良の小豆と砂糖
を選んで作り続け、「これでいい」という到達点はないと言い切る姿勢に
誇りと自負と、飽くなき精進を心に秘めた作り手の姿勢を感じます。

 

そして贅沢な材料を使って丹念に作られた「山田屋まんじゅう」は
控えめなのに美味しい、というよりは控えめだからこそ美味しい
のでしょうね。

 

 

 

 

 

十勝産の選りすぐり小豆を使用

小豆は北海道の十勝産のものだけを使用していますが、同じ
十勝産でも場所により、またその年によって作柄は異なります。

 

そこで山田屋は毎年、北海道の十勝産小豆の上質なものを
数種類選んだ後に、実際に食べる食味実験をした後
最も良いものを選ぶといったこだわりよう。

 

使用する「二等級」と呼ばれる小豆は、味だけではなく形も揃っていて
主に高級粒あん、また和菓子や洋菓子のトッピング用に使うものです。

 

つまり味だけではなく、本来は大きく美しい形を
要求されるお菓子に使用するランクの小豆なのです。
それを全て潰して、こしあんにしてしまうという贅沢さ。

 

 

西予市のお隣、宇和島市吉田町で作られる柑橘類「宇和ゴールド」

 

 

 

天野祐吉「贅沢な時間に出会う」

この「山田屋のおまんじゅう」に添えられていた天野祐吉の
エッセイがとても素敵で全部を書きたいくらいなのですが
そうもいきませんので、一部分だけご紹介しましょう。

 

「むかし、友人に連れられてここを訪ねたとき、家並みのはずれに
お茶ふうの店があった。ガラスのケースのなかに、小さなまんじゅうが
並んでいる。赤い毛氈を引いたその店の床几(しょうぎ)に腰掛けて
ぼくらはそのまんじゅうを食べた。あまりにおいしかったので、ぼくは
三つ食べた。
 そのまんじゅうは、ひと口で食べてしまえるような小さな形(なり)を
していたが、その小さな形(なり)のなかには、家並みと同じように
たっぷりの時間がつまっていて、口に入れてそっと噛むと、その時間が
口のなかいっぱいに、ゆったりひろがっていく。
 たしか店のどこかに、「一子相伝」「慶応三年創業」と書いてあったが、
時間がたっぷり詰まっているというのは、そんな歴史の長さだけではない。
薄い皮につつまれた漉し餡のちょっと例を見ない洗練と品位のなかに、
このまんじゅうを黙々とつくりつづけてきた人たちの時間が、ぎっしりと
つまっている感じがしたのだ。
 山田屋のまんじゅうのなかには、二十一世紀のいまも、そんな豊かな
時間が息づいている。たぶん、本当のぜいたくというのは、こんな
さりげないところに、ひっそり隠れているものなんだろう。」

 

 

四国の左端、赤い線で囲んだ部分が宇和島市
その上に隣接するのが「西予市」

 

 

 

西予市(せいよし)

エッセイのこの部分の前には「山田屋まんじゅう」の創業の地で
ある伊予・卯之町(うのまち)の家並みの様子が描写されていて
卯之町のこじんまりとしながらも美しい様子が伺えます。

 

四国の愛媛県西南部に位置する伊予・卯之町は現在、西予市
といいますが、実は私「西予市」が読めませんでした(!)。
「さいよし」?「にしよし」?と、思ったら「せいよし」だそうです。

 

西予市は、以前ブログでご紹介した柑橘類の「宇和ゴールド」
が算出される宇和島市のお隣の市のようですね。
赤い線で囲ってあるのが宇和島市で、西予市はその上に隣接しています。

 

 

卯之町にある西日本最古の小学校「開明学校」

 

 

 

西日本最古の開明学校

西予市は宇和島藩の宿場町として栄え、江戸時代中期から昭和初期
までに造られた商家が現在も並んでいる、白壁、うだつ、出格子
といった伝統的な美しい街並みが続いている町で有名だとか。

 

残念ながら行ったことはありませんが、1882(明治15)年に
造られた、西日本最古の小学校である「開明学校」は有名ですね。
アーチ状の窓枠やドイツ製のガラスを使用している「擬洋風建築」です。

 

開明小学校は現在、重要伝統的建造物保存地区として
指定されている宇和文化の里の施設の一つとなり
1997年5月には、国の重要文化財に指定されています。

 




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