精神病床を削減してきた諸外国、依然として多い日本

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入院患者の5人に1人は精神病床

日本にある病院の総数は、2018年の
厚生労働省の「医療施設動態調査」
によりますと 8,389 です。

 

うち一般病院が 7,334 で、
精神科病院が 1,055。

 

一般病院数   7,334  (87%)
精神科病院数  1,055  (13%)

 

 

 

 

病院数ではなく、病床数でいいますと
全体で1,554,524床で、精神病床が 331,126 、
それ以外が 1,223,398 です。

 

それ以外というのは「一般病床」
「感染症病床」「結核病床」
「療養病床」を指します。

 

精神病床数      331,126 (22%)
それ以外の病床数  1,223,398 (78%)

 

つまり日本にある病床のうち
5病床に1床が精神病床です。

 

 

 

 

 

精神病床を削減してきた諸外国

この全体が5分の1が精神病床という数に
対して、諸外国ではどのようになって
いるかをみたものが次のグラフです。

 

1960年から2000年までしか表示されて
いませんが、現在もほぼ同じだそう。
左の縦軸の「1〜5」の数字は
人口1000人あたりの病床数です。

 

 

精神病床数の推移(諸外国との比較)

 

 

現在、病床数は日本がダントツの1位ですが
1986年位までは日本より多い国もありました。

 

1960〜1970年代に病床削減をした国は
オーストラリア、イタリア、ノルウェー、
アメリカ合衆国、

 

1980年代で病床削減率が高い国は
フィンランド、スウェーデン、イギリス、
ルクセンブルグがあげられます。

 

 

 

 

OECDの調査では、1000人あたり1床を超えて
いるのはオランダ、ベルギー、日本で、その
うち2床を超えているのは日本のみです。

 

 

 

平均在院日数は先進諸国の3〜20倍

日本がダントツに多いのは
精神病床の数だけではありません。
在院日数もずば抜けて長いのが特徴。

 

先ほどのグラフでも同様ですが、各国の
定義が異なるために、示された数が必ず
しも正確とはいえないにしろ、それらを
無視できるほど、数値の差は一目瞭然です。

 

 

 

 

先進諸国の入院日数の平均は、
18日前後ですが、日本では
296.1日(2014年)という異常な長さ。

 

日本人でも精神病床でない入院の
場合の平均在院日数は、32.8日です。
ガンー19.5日、呼吸器疾患ー26.5日、
循環器系ー45.3日等。

 

それが精神疾患となりますと
いきおい長期になり、統合失調症
などでは、561.1日にも及びます。

 

 

 

 

しかし精神疾患だから長くても仕方
ないということでないことは、先ほど
のグラフでおわかりの通りです。

 

平均入院日数が50日を超えているのは
ポーランドと日本だけで、300日近い
などという長さは日本のみです。

 

 

 

 

精神病床にいる30万人程の入院者のうち

 

  期間     入数
_______________________________________

 1年以上    20万人以上
*  5年以上   11万人以上
*   10年以上      7万人以上
*   20年以上     3.5万人以上

 

精神病床の入院者のうち1年以上の
長期入院は 64.5%を占めています。

 

 

 

 

 

入院患者の疾病別内訳

精神病床の入院者の疾病で一番多いものは
「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想
性障害」が圧倒的に多く、次いで「認知症
(アルツハイマー症)」が続きます。

 

 


上のグラフは入院患者の疾病別内訳
下は入院患者を含めた総患者数の疾病別内訳

 

 

総患者数では「気分(感情)障害
(躁鬱病を含む)」がトップです。

 

 

 

WHOの調査では諸外国より精神疾患は多くはない

病床数も入院期間も長い日本ですが、WHO
(世界保健機関)のメンタルヘルス調査では
イタリアの8.2%について低い、8.8%です。

 

それに対してアメリカは26.4%、フランスが
184%ですので、日本人が諸外国に比べて
精神疾患が著しく多いとはいえません。

 

にも関わらず世界中の精神病床の5つに1つ
が日本にある理由はいくつかあげられます。

 

 

 

 

 

「社会的入院」

精神疾患があっても早期で退院し、社会生活を
しつつ回復を目指す外国とは異なり、日本では
病院に閉じ込めておくという考えが根強いよう。

 

家族が引き取りたくない、外国のように地域で
ケアするシステムが整っていない等の理由から
長期の「社会的入院」につながっています。

 

厚生省の調査結果では7万人ほどが社会的入院
とされていますが、その数に疑問を呈し15〜
20万人ほどと推測する専門家もいます。

 

 

 

 

 

精神科病院は民間病院が多い

2015年6月の「病院報告」をみますと、
精神科病院と精神病床の多くが国などの
公的医療機関ではなく、ほぼ民間である
ことがわかります。

 

これに対して、先進諸国では
公立病院が中心とのこと。

 

開設者   精神科病院数(単科) 精神病床
_______________________
 国        3(0.3.%)  7,314(2.2%)
公的医療機関  42(3.9%)  21,194(6.3%)
 民間   1,020(95.8%) 308,120(91.5%)

 

 

 

 

 

国が民間精神病院の建設を推進

日本では第二次世界大戦後、戦争に
よる焼失や経営難による閉鎖から
精神病床は4千床まで減りました。

 

一方、1954年の全国精神障害者実態調査では
入院を必要とする患者は全国で35万人と推定。

 

政府は精神病床を増やすため医師、看護師等が
少なくてよい「精神科特例」を定め、国家補助
規定を設けるなどして民間病院の建設を推進。

 

そのような民間の精神科病院は、経営のために
入院ベッドの利用率を高めることが主眼となり
長期入院患者が増えていったともいわれます。

 

 

 

 

 

進まぬ「入院中心から地域生活中心へ」

兵庫県豊岡保健所の柳尚夫さんは
このように語っています。

 

「精神科長期入院患者は、この20年以内に
半分(10万人)が死亡退院する予測である。
長期入院に頼った精神科病院が、現状のまま
存続することは、患者動向からありえない。
患者の死亡を待つのか、地域移行で地域生活
に戻す支援をするのかが問われている」

 

2004年9月には厚労省が「入院中心から
地域生活中心へ」との「精神保健医療
福祉の改革ビジョン」を公表しました。

 

しかし10年経過後も精神保健医療福祉の
改革は予定通りに進んでいないようです。

 

 

 

 

 

「この病を受けたる不幸のほかに
この国に生まれたる不幸」

日本における精神病学の
創立者である呉秀三医師は、

 

「わが国何十万の精神病者は、実にこの病を
受けたるの不幸のほかに、この国に生まれ
たる不幸を重ぬるものというべし」

 

との言葉を『精神病者私宅監置ノ実況及び
其統計的観察』(1918年)のなかで記して
いますが、この言葉が一日も早く過去のもの
となることを願わずにいられません。

 




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