江戸時代の香水 

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江戸時代からあった香水

「香水」という言葉には、何とはなしに
ハイカラなイメージが漂います。

 

日本に入ってきたのは明治かな?と思いきや
なんと、江戸時代から売られていたそうです。

 

尾崎左永子さんの「大人の女のこころ化粧」
(リヨン社)で初めて知ったのですが
その本によりますと『都風俗化粧伝』に
「花の露」についての記載があるそうです。

 

もっとも江戸時代に売られていた
「花の露」という製品は、本来は
「匂い油」だったということですが。

 

 

 

 

 

式亭三馬が売り出した「江戸ノ水」

『都風俗化粧法』の本が出版された頃
には「花の露」「菊の露」「江戸ノ水」
という化粧水が売られていました。

 

「江戸ノ水」は、式亭三馬が売り出したとか。
式亭三馬といえば、『浮世風呂』『浮世床』
等の偽作者、つまり作家ですよね?

 

香水、化粧水の類とは一見、縁がないよう
にも思えますが、実は式亭三馬は本屋に奉公
をした後に、薬屋を営んでいたのだそうです。

 

不安定な作家業のため、生活設計をしていた
のでしょうか、などは余計なお世話ですが
これらの化粧水は販売されただけではなく
家庭で作る製法も本に記載されていました。

 

 

 

 

 

家庭での作り方

作り方の説明は以下のようなものです。

 

1 まず白い茨の花を摘み取り、
       ↓
2 欄引きにかけ、中にお湯を入れて沸かし、
       ↓
3 その上に花を入れ、湯気によって抽出
 された露が口からでてくるのを受ける

 

「欄引き」という言葉が出てきましたが
欄引きとはポルトガル語で、ブドウ酒を
つくる時に使う、蒸留機ランビックの転訛。

 

「転訛(てんか)」というのは、言葉のもと
の音が、なまって変わることで、蒸留機の
「ランビック」が「欄引き」とされたよう。

 

ブドウ酒の蒸留がどのようになされるのかは
知りませんが、エッセンシャルオイルを作る
時の製法に「蒸留タイプ」とありますので
「花の露」もそのように製造されたのですね。

 

 

ルネ・ラリックの香水瓶「シダ」

 

 

 

「さして珍しいものでもなかった」!

尾崎さんは
「先日見た『化粧の歴史』の展覧会
にもいくつも展示されていて、さして
珍しいものではなかったのです」

 

とさらっと書いていらっしゃいますが
私にとっては超珍しいものです。

 

名前すら聞いたことがありませんし
そのようなものが存在することすら
知りませんでした。

 

そして、花の露製造に欠かせない
「欄引き」がないときの代用としては
次のような説明しています。

 

 

 

 

 

「欄引き」の家庭版簡易バージョン

ヤカンに水を入れ、ふたを逆さにして、
そこに花をのせ、大きな茶碗をその上に伏せ、
その上に更に、重しとして水入りの茶碗
を重ねて火にかけます。

 

すると蒸気によって花の露が落ちて
くるので、それをとります。

 

正直なところ、あまりイメージがわきませ
んが、このような方法が確かにあり、実践
していた人もいたのですから驚きです。

 

こんなふうに江戸時代の女性が
今でいうローズウォーターのような
ものをつくっていたなんて!

 

 

 

 

 

白麻のハンカチに白薔薇の香水

また尾崎左永子さんのお父様は、大正期
にロンドンに留学していらっしゃり、白麻
のハンカチに、ほんのちょっとの香水を
染ませるのを習慣にしていらしたそうです。
おしゃれですね。

 

お父様が朝出かける時に、お母様が香水の
ビンを逆さにしてほんの一瞬、抑えるよう
にしてハンカチにしませていらしたとか。

 

その同じ香水を、お母様もまた使っていら
したので、尾崎さんにとっては御両親の匂い
として記憶している香りなのだそうです。

 

その香りはお母様によれば、「あれは
ホワイトローズで本当は男の香水なのよ」

 

 

 

 

たしかに、ホワイトローズのエッセンシャル
オイルは、赤いバラのそれとは違った系統の
香りのように感じたことがありました。

 

もっとも、産地やその年によっても違います
から一概にはいえませんが「ローズ」という
言葉から沸き立つイメージとは少々異なり
すっきりというか、凛としていた記憶です。

 

だからこそ、男性の日常使いの白麻のハンカチ
からほのかに香ったとしても、決して出過ぎること
のない最高級のおしゃれになり得る香りですね。

 




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