「茜色」はどんな色? アカネ(茜・赤根)

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

 

akane

 

 

 「赤坂」の名称は「茜坂」から

前回は、赤坂という地名のもととなった
「紀国坂(茜坂)」を御覧いただきました。

 

現在ではこの場所に茜(赤根)山はありませんが
「アカネ」という言葉は染料に詳しい人でなくても
知っていることでしょう。

 

茜色という色を表す言葉にもなっていますし
また人の名前にもありますね。

 

 

140401sakasutakisakura赤坂サカスのシンボルツリー・紅しだれ桜

 

 

 

ツル性植物だけど巻き付かない?

残念ながら、私は実際の「アカネ」を見た
ことはありませんが、ツル植物でありながら
巻き付く仕組みは持っていないそうです。

 

他の植物に引っ掛けるように
また地を覆いながら生育するのだそう。

 

茎は、水や養分が通る維管束が発達をしていて四角形。
「アカネ」ってちょっとおもしろい植物ですね。

 

花は小さく、1つが3.4ミリほどの大きさで
色は白やうすい黄緑色に見えます。

 

 

akane白いアカネの花

 

 

 

「アカネ」は日本古来からの染料

赤い色の染料といえば、まず紅花が思い浮かび
ますが、日本では茜染めの歴史の方が長く
奈良時代から使われていたそうです。

 

インダス文明の遺跡からは、「アカネ」の
仲間の植物で染められた布も出土しているとか。

 

現存する日本最古の歌集である万葉集にも
「あかねさす 紫野行き標野行き 
     野守は見ずや 君が袖振る」
等と「アカネ」という言葉が使われていますね。

 

 

006_1_20131124160327156

 

 

 

表す色は「臙脂色系」→「オレンジ色系」へ?

万葉の昔、朝日の出る頃の空の印象を
人々は「茜さす」と表現しました。

 

もともとの「茜色」とは
小豆の皮のような色のことだといいます。

 

次の写真は、赤坂4丁目から国会議事堂方面
を見た、朝日の昇る前の空。
本来の「茜色」とは、この空の
明るい部分の色を指すのでしょうか?

 

 

140626yoakemurasaki本来の「茜色」は小豆の皮のような臙脂色系の色

 

 

ところが現在では「茜色」といいますと夕焼けのような
朱色系をイメージすることが多いですよね。

 

こちらも同じく赤坂4丁目にある虎屋の前から
青山方面を見た夕暮れ時の空です。

 

 

151030sora現在の「茜色」は朱色系の色

 

 

朝焼けで朱色系(オレンジ色系)の色と
いいますと、こんな感じでしょうか。

 

 


朱色系(オレンジ色系)の朝焼け

 

 

この写真は、2つ上の臙脂色系の朝焼けの写真と
ほぼ同じアングルでものですが、空の色で
お分かりの通り、時間的には少し後になります。

 

 

 

染料だけではなく生薬としても

「アカネ(赤根)」は根を乾燥させると赤黄色から
橙色に変わり、その赤い根を煮出して染料にします。
この赤い根に含まれる色素はアリザリン等。

 

 

「茜色」といって私が思う浮かぶのはこんな色でしょうか

 

 

また「アカネ」は染料としてだけではなく
生薬としても有名な植物です。

 

薬効としては、利尿、止血、鼻血、吐血、
血尿、血便、腎臓病、黄疸、神経痛、リューマチ、
月経不順と多岐にわたっています。

 

10月から11月といいますから、ちょうど今頃「アカネ」
の根を掘り天日で乾燥させたものを煎じて使うようです。
この場合は「茜草」と書いて、「せんそう」と読みます。

 

 

 

日本の「アカネ」と「セイヨウアカネ」

日本原産の「アカネ」は根が細く、集めるのが
困難なために、現在は根が太く抽出量の多い
セイヨウアカネが使われています。

 

次の写真はセイヨウアカネの根を掘り起こしたもの。

 

 

seiyouakaneセイヨウアカネの根(写真/「絵画材料メモ」)

 

 

こちらは日本の「アカネ」。
『絵画材料メモ』さんのブログには
掘りおこしが上手にいかなかったとも
書いてありますが、それにしてもかなりの違いですね。

 

 

akane同上

 

 

現在の「赤坂」という地名のもとになった
「茜坂(赤根坂)」の「アカネ」は当然のこと
ながら、日本古来の「アカネ」だったことでしょう。

 

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「赤坂」の地名のもととなった「紀伊国坂(茜坂)」 赤坂の坂9

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151030kinokunizaka

 

 

外堀沿いにある坂

今日、御紹介する赤坂の坂は「紀国坂」です。
以前もブログに書きましたが(「『赤坂サカス』
と『赤坂』の
名前の由来」)、赤坂という
地名の由来となった坂といわれています。

 

「紀ノ国坂」「紀之国坂」とも書き、
住所は港区元赤坂1丁目7-22。

 

そんなに急な坂ではなく、全体の距離が231メートル
で、高低差は12.88メートルほどです。

 

下の地図で中央あたりを左下から斜め上に走って
いるのが青山通りで、その通りと首都高速4号
新宿線と交わるように見える場所が赤坂見附。

 

 

kinokunizakaピンク色の部分が「紀国坂」

 

 

 

紀州藩の御屋敷から命名

赤坂見附の交差点から、高架線の首都高速沿い
に、外堀通りを迎賓館の入口の方に向かって
いく途中に「紀国坂」があります。

 

「紀国坂」の始まりの場所がこの写真。
右上の方に見えるのが首都高速4号新宿線です。

 

 

151030kinokunizaka

 

 

左側は、現在は赤坂御用地です。
江戸時代はここに紀州(和歌山)徳川家の上屋敷が
あったので「紀国坂」という名前がつきました。

 

こちらは江戸時代の地図です。

 

 

kinokunizaka (地図「東京の坂と橋」)

kinokunizaka

 

 

こうして並べてみますと、基本的な地形は
江戸時代とほぼ同じでなのですね。

 

次の写真は山王の高台から赤坂を見た古い写真です。
写真の右手前が現在の山王の高台。

 

 

a0277742_15191425山王高台から赤坂を臨む
(写真/「大江戸歴史散歩を楽しむ会」)

 

 

中央に大きな川が横たわっているように
見えるのは、なんと溜池です。

 

これが「溜池山王」の名前の由来でもあり、
今はなくなってしまった溜池です。

 

そして右端に緑が一群見えて、その上
あたりに見えるのが「紀国坂」です。

 

「紀国坂」の左の方にあるのが
赤坂仮皇居、現在の迎賓館。

 

 

 

「紀国坂(茜坂・赤坂)」→地名の「赤坂」へ

「紀国坂」の標識の場所から坂を上っていくと
元紀州家の御屋敷だった左手は
こんな感じで続いていきます。

 

 

151030kinokuni右「紀伊国坂」、左「元紀州家の上屋敷」

 

 

このあたりには染料や生薬として知られる茜(赤根)の
生えている、赤根山と呼ばれる山がありました。

 

その赤根山へ登る坂ということで、この坂が
「赤根坂(茜坂)」と呼ばれるようになり
「あかねざか」が「あかさか」へと変化します。

 

 

akane茜の花

 

 

その後、赤坂という名前は、坂のみならず
このあたり一帯の地名としても
使われるようになったのです。

 

赤坂という地名は、江戸以前にはなかった
そうですので、まさに赤根山が赤坂という
名称のもととなったのですね。

 

 

 

赤坂御用地のお隣は迎賓館

紀州徳川家の上屋敷、現在の赤坂御用地
を通り過ぎますと、旧赤坂離宮、現在の
赤坂迎賓館の敷地に入ります。

 

こちらの門は、赤坂迎賓館の東門。

 

 

151030higashimon迎賓館の東門

 

 

迎賓館の入口付近は、もう「紀国坂」ではありませんが
来てみますと、「釣瓶(つるべ)落とし」といわれる
秋の空は、既に茜色に染まっていました。

 

 

151030geihinkan迎賓館のフェンス

 

 

「紀国坂」といえばラフカディオ・ハーン
(小泉八雲)の「狢(MUJINA)」ですよね。

 

「のっぺらぼう」に出会わないうちに
帰ることにしましょう。
(小泉八雲(Lafcadio Hearn)の「狢」)

 

 

 

「紀国坂」→「弾正坂」→虎屋の前

帰りは来た時の赤坂見附方面ではなく
以前、御紹介した「弾正坂」を通って
青山通りに出ることにしました。

 

 

danjozaka

 

 

次の写真は、地図でいいますと「弾正坂」の上半分
(赤坂御所沿いに青山通りまで)のものです。

 

 

150827danjozaka「弾正坂」右手は赤坂御用地、突き当たりが青山通り

 

 

青山通りに出て、すぐ目の前にあった虎屋の本店は
以前お知らせしたように(「ビル立て替えのため
3年間お休み」
)、もう営業を休止しています。

 

写真は休業前の虎屋、まだ
「とらや」ののれんが見えます。
虎屋と右の赤坂警察署の間の道が
「弾正坂」の、先ほどの続きの部分。

 

 

150827torayakeisatusho左「虎屋」、中「弾正坂(の半分)」、右「赤坂警察署」

 

 

いつもこの場所にあったお店が見えなく
なくなってしまうのは、ちょっと寂しいですね。

 

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「ピーマン」と「パプリカ」の違い

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

 

 

どこが違うの?

前回は我が家で収穫した「ピーマン」を御覧
いただきましたが、たった1つしか収穫できな
かった「ピーマン」を見ていて思いました。

 

「ピーマン」と「パプリカ」って
どこが違うのかなぁ、と。

 

大きさが違うだけとも思えませんし。
大きさ以外は、両者はかなり似ていますよね。

 

原産地は「ピーマン」が南アメリカで
「パプリカ」はハンガリーです。

 

 

120805papurika大きな赤い「パプリカ」

 

 

 

日本に入ってきた時期

「ピーマン」は明治の初期に日本に入ってきて
いましたが、実際に日本人が多く食する
ようになったのは、戦後の1950年代以降です。

 

一方、「パプリカ」が輸入解禁になったのは
1993年といいますから、「ピーマン」より
かなり遅く日本に入ってきたのですね。

 

「パプリカ」は、オランダやメキシコ、
韓国などから輸入しています。

 

 

rosenthalpapurikaシシトウガラシ位の大きさの「ミニパプリカ」

 

 

 

栄養価

両者の栄養面での違いですが、こちらは
「パプリカ」に軍配が上がるようです。

 

ビタミンCやビタミンAは「ピーマン」の約2倍、
ビタミンEでは約5倍。
カロテンはなんと約7倍含まれます。

 

とはいえ、「ピーマン」もビタミンCを
多く含んでいますし、なにより「ピーマン」
「パプリカ」は共に加熱しても、ビタミンCが
壊れにくいという優れものでもあります。

 

 

 

 

これは、ビタミン様物質の一種であるビタミンPが
含まれているためで、これにより加熱調理をしても
ビタミンCが失われにくくなるのです。

 

栄養面では「パプリカ」優勢という感じですが
「ピーマン」の独特の香りに含まれている
ヒラジンという成分は、血栓をふせいで
さらさらな血液にしてくれる効果があります。

 

その結果、血圧を下げたり、脳梗塞や
心筋梗塞の改善にも効果を発揮するそうです。

 

 

rosenthalmpapurika131225「ミニパプリカ」お皿に乗っている、緑が色づいた
ものが、ボールの中の黄色になります

 

 

 

緑色より色づいた方が栄養価が高い

また「ピーマン」「パプリカ」共に、緑色のものより
赤や黄色と色づいたものの方が栄養価が高いそうです。

 

赤く熟するまでに日にちがかりますが、その間に
甘みや栄養価が増し、カロテンが多くなります。

 

熟すにつれ赤くなっていくものはカロチノイドの
一種、カプサイシンが増えるからです。

 

カプサイシンは高い抗酸化作用があり
生活習慣病の予防も期待できます。

 

 

150528pimanhana
「ピーマン」の白い花

 

 

 

「ピーマン」はフランス語、スペイン語から

まず名前の「ピーマン」ですが、これはフランス語、
あるいはスペイン語からきているということは
前回、御紹介しました。

 

「ピーマン」の英語名は「Green pepper」、
「Red pepper」、「Yellow pepper」
というように「pepper」、つまりトウガラシです。

 

トウガラシの辛みを少なく改良したものが「ピーマン」。
日本に入ってきた当初は、「ピーマン」を
「甘とうがらし」とも呼んでいたことからもわかります。

 

 

赤くなる前の緑色の「ピーマン」

 

 

 

「パプリカ」はハンガリー語

一方、「パプリカ(Paprika)」という名前も
英語ではなく、原産国であるハンガリー語です。
かつてハンガリーでは国を挙げて「パプリカ」
栽培に取り組んでいた程でした。

 

それでは「パプリカ」は英語で何というかといいますと
英国では「red pepper」や「green pepper」、
米国では「bell pepper」とも、「red pepper」
「green pepper」ともいうそうです。

 

?、?……
「ピーマン」を英語でいうと「green pepper」
でしたよね?

 

 

ピエール・ガニョールの「北海タコと
チェーリートマト  ピーマンとドライトマト添え」

 

 

そうなんですよ、英語ですと「パプリカ」も
「ピーマン」も、おまけに「シシトウガラシ」
までもぜ〜んぶ「 pepper」だそうです。

 

 

        ピーマン        パプリカ
_________________________
原産地
       南アフリカ       ハンガリー
_________________________
日本へは  
    明治初期(特に1950年代から)  1993年
_________________________
栄養価
     血栓を防ぐヒラジン  ビタミンA.C.E共に
                ピーマンより多い

_________________________
日本名は
    フランス語、スペイン語  ハンガリー語
_________________________

 

英語では(詳しくいいますと色々ですが
おおざっぱに言いいますと)
ピーマン、パプリカ、シシトウガラシは
           
全て「pepper」

 

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