花の色を決める色素 白い花はなぜ白く見える? 

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自然界に一番多いのは白い花

自然界の花の色で一番多いものは、ちょっと
意外に思ったのですが白色系だそうです。
白色系が33%、約3割を占めています。

 

そして次に多いのが黄色系で28%、
赤色系が20%、紫系・青色系を合わせて
17%、その他が2%ということです。

 

白色系     33%
黄色系     28%
赤色系     20%
紫・青色系   17%
その他       2%

 

 

 

 

私自身は何となく赤系が多いように思って
いましたので、ちょっと驚きの結果です。

 

このような花の色を決めているのは
花びらに含まれている色素物質です。

 

 

 

赤やピンク、紫、青の花の色素は「アントシアニン」

赤やピンク、紫や青色の花に含まれる
色素は、アントシアニン類です。

 

自然界に一番多い花は白色系でしたが
お花屋さんで一番売られているのは
赤やピンク色の花だそうです。

 

この色素は他の物質と結びついたり、
酸性、アルカリ性の度合いによって
も色の具合が変化します。

 

 

「ツタンカーメンのエンドウ」

 

 

サルビアのような黄色味を含んだ赤、
ウメやコスモスなどのピンク糸、
シクラメンや木蓮の紅紫、
ツユクサやキキョウの青紫、
サツキ、シャクナゲの紅紫。

 

これらは全てアントシアニンの色
ですが、少しずつ種類の違う色素の
ために、異なった花の色となります。

 

 

ツユクサ(露草)

 

 

酸性かアルカリ性かによって
アントシアニン類は花の色を
変えますが、

 

酸性の場合は  ー「赤」
中性ですと   ー「紫」
アルカリ性では ー「青」

 

となりますが、上のツユクサは
青ですので、アルカリ性ですね。

 

 

紫系の「ツユクサ」

 

 

この写真もツユクサですが、こちら
の色は中性の「紫」ということに
なるのでしょうか?

 

 

下の写真のお菓子は、赤坂「青野」の
「つゆ草」ですが、この色に近いですね。

 

 

「ツユクサ」赤坂「青野」

 

 

 

黄色の花の色素は「フラボン類」「カロチン類」

黄色い花が咲くのは、フラボン類や
カロチン類の色素の働きによるものです。

 

秋の山を彩る美しい紅葉の色も
この色素によるもので、栄養的には
ビタミンAに関係する物質でもあります。

 

カロチンといいますと、ニンジンや
カボチャなどがすぐ思い浮かびますが
まさにこれもカロチンの色です。

 

 

 

 

「フラボン類」だけで黄色の花となるのは
ナデシコ、ツツジなど、

 

「カロチン類」だけで黄色になる花は
ユリ、チューリップなど、

 

「フラボン類」「カロチン類」の両方
の色素で黄色系に見える花には
キンセンカ、マリーゴールドなどです。

 

 

シロツメクサ(クローバー)

 

 

 

白い花の色素は「フラボン」「フラボノール」

白い花には、アントシアニンや
カロテノイドのような、赤や黄色
の色素は含まれてはいません。

 

かといって白色の色素が含まれているわけでも
なく、白い花には「フラボノイド」という無色
から薄い黄色を表す色素が含まれています。

 

無色から薄い黄色を表す色素(フラボノイド)
が含まれる花が、なぜ無色透明や薄い
黄色ではなく、白く見えるのでしょう?

 

 

ピーマンの白い花

 

 

その理由は、花びらの中の組織が
スポンジのように空気の小さい泡を
たくさん含んでいるからです。

 

シャンパンを注いだ時のような、また流れ
落ちる滝のにように小さい泡が沢山あると、
光があたった時に反射して白く見えるのです。

 

 

 

 

ですから、白い色の厚さの薄い花びらを親指
と人差し指で強く押さえると、花びらの中に
あった泡が追い出されて無色透明に見えます。

 

次の白いツユクサの写真の
下半分はほぼ透明に見えますね。

 

これは、その泡が追い出された状態に
近いか、あるいは泡が少ないために無色
透明に見えているのかもしれませんね。

 

 

白い「ツユクサ」

 

 

 

1本の木に異なる色の花が咲く

同じ一本の木でも、異なる花の色という
ことも見ることがありますが、これは
「枝変わり」と呼ばれるものです。

 

これは、色素を作る遺伝子などが放射線
などの理由で突然変異をし、別の色の
花を咲かせるようです。

 

また、アジサイも1本の木に色が異なる
花が咲いているのもよく見かけます。

 

学生時代に、土が酸性だと青い色の花、
アルカリ性だとピンク色の花
が咲くと教えてもらいました。

 

 

 

 

その後、一本の木で両者が入り混じっている
のを見ることも多く疑問に思っていましたが
現時点ではこの説は間違いだったよう。

 

土の酸度、アルカリ度によらず、花は常に
弱酸性であることがわかり、アジサイの花の
色はその理由ではないことが判明しました。

 

土が酸性になると、その中のアルミニウムが
溶け出してアジサイに吸収され、アントシアニン
と結びつくことにより青くなるという説もある
ようですが、まだよくわかっていないそうです。

 

 

 


ヤマホロシ

 

 

「青」→「白」に変化するヤマホロシ

また、咲いたときは青い花がその後白へと
変わっていくヤマホロシのような花もあります。

 

これはアントシアニンが分解されて白くなる
と考えられているようですが、分解に働く
酵素の実態はわかっていないということ。

 

宇宙や深海底といった遠い所のものではなく
私たちのごく身近にある花の色についても、まだ
まだわからないというのは逆に面白くも感じます。

 

 

 

 

 

白い花を昆虫は何色に見ているのでしょう?

先ほどの白い花に含まれるフラボノイド
ですが、可視領域の光を全て吸収します
ので、人間には無色に見えます。

 

ですが、紫外領域の光は反射しますので
可視領域だけではなく紫外線が見える昆虫
の目には色がついて見えるのだそうです。

 

昆虫に認識されないと花粉を運んで
もらえないので、自然界にはフラボノイド
を含む色素化合物がなく、虫にとっても
白く見える純白の花はほとんどありません。

 

 

 

 

最初の方で私は、自然界に一番多いのは
赤系なのでは?と思っていたことを書きまし
たが、それは目立つ色だからという理由。

 

でも昆虫は赤い色とは見ていないのです
から私の考えは根本的に間違っています。

 

自然界に白色系が一番多いということは、
昆虫にとって、私たちが白色と見ている色が
一番目立つ色に見えるのかもしれませんね。

 

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切花を長もちさせる方法

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切花の寿命は育ち方による

お花屋さんに並んでいる切花は、それまで
にどのように育ったか、また花を咲かせたか
により、その寿命が大きく異なるといいます。

 

ですが、残念ながらそれを
知ることはできません。

 

私たちが手にした後でできること
で、もっともよい方法で扱い美しい
お花の命を長くできるといいですね。

 

 

 

 

 

1 茎を切るときは水の中で

お花屋さんの切花でも、おうちのお庭の
花壇で切ったものであっても、切り口は
同じように空気にさらされています。

 

まずは、茎を切って水をスムーズに
吸い上げるようにすることが大切です。

 

水は、茎の中の「道菅」という細い管の
中を上っていきますので、その流れを助け
るために、茎は水の中で切りましょう。

 

水の中で切らないと、茎の中に空気が
入ってしまい、道菅の中の水のつながり
を断ってしまいかねません。

 

切る時には、少し斜めに切って断面を多く
するようにし、この「水切り(茎を少し
切る)」と「水換え」を毎日行います。

 

 

 

 

 

2 花瓶に入れる前の処理

花瓶の水に浸かってしまうと思われる葉、
あるいは茎の下半分の葉っぱは落とします。

 

水に浸かることにより細菌が繁殖します
し、葉が多すぎると水分が蒸発して
花まで届かなくなってしまうためです。

 

品種によっては、ごく短時間だけお湯に
つける(湯あげ)、お醤油で煮る・焼くなど
というものもありますが、ほぼ不要とのこと。

 

湯あげは、茎をお湯につけることで道管に
入っている空気を外に押し出し、道管内に
水が通りやすくするための作業で、野の花
やバラに適しているといわれます。

 

茎を焼いたり、叩いて潰したりするのも
同様で、道管の中の空気を出すため。

 

花が、クタッと下を向きかけている時は
湿った新聞紙などで全体を巻いて、水を
たっぷり入れた容器にしばらく入れて
おくと、シャキッとしますよ。

 

 

 

 

 

3 花瓶の中に〇〇をいれる

花瓶の中に「漂白剤」「10円玉」
「お砂糖」「炭酸水」「延命剤」など
を入れると花もちがするといいます。

 

漂白剤は、殺菌作用を期待して。
10円玉も同様で、溶け出した銅イオン
に殺菌作用があるからです。

 

お砂糖=糖は、光合成で作られる
ブドウ糖の代わりで、水に少しの糖を
入れると花の呼吸を助けるといいます。

 

 

 

 

炭酸水には粒子の小さいブドウ糖が
含まれているために、お砂糖よりも
切花がより吸収しやすいとのこと。

 

ただし糖は、栄養になる反面、雑菌の
増殖も促しますので、糖と一緒に殺菌
作用があるものを入れる必要があります。

 

確かにキキョウなどは、4%ほどの糖を
入れると美しさも、寿命も数段上がると
いいますが、慣れていないと難しいとか。

 

 

 

 

 

4 花瓶の水の量

水は多いほどよいとはいえません。
お花の種類によって異なりますが
3〜5割を目安にしましょう。

 

先日、朝から夜まで仕事で外出する友人
が家を出る時に、切花を日の当たる場所
に移動すると聞いて驚きました。

 

彼女は光合成を期待しているのでしょう
が、根のない植物に長時間の強い日差し
は過酷な気がしないでもありません。

 

風通しのよい(あまり強いのはダメ)
涼しめの所に置いておくのがオススメ。
エアコンの風が直接当たるのもNGです。

 

 

 

 

 

5 リンゴはそばに置かない方がいい?

全ての花ではありませんが、中には
リンゴやバナナを近くに置かない方
がいいものもあります。

 

成熟したリンゴやバナナからは
「エチレン」が放出されています。

 

以前、長野県で栽培されたカーネーション
を、つぼみの状態で大阪に運んだところ
花が開かなかったといいます。

 

 

 

 

リンゴが詰められた箱と一緒に
カーネーションが貨物で運送
されたことがその理由でした。

 

カーネーションのつぼみや花は「エチレン」
という気体に敏感で、エチレンが空気中に
数万分の1という低濃度でも反応します。

 

つぼみは開かずに、また開いた花はしおれ
てしまい老化を早めることになります。

 

 

 

 

エチレンの影響を最も受けやすい花は

「カーネーション、デルフィニューム、
スイートピー、ラン、カスミソウ」

 

エチレンに対する感受性が高い花は

「キンギョソウ、トルコギキョウ、
アルストロメリア」

 

反対に、影響を受けない花は

「ガーベラ、キク、グラジオラス、
ユリ(オリエンタルハイブリッド)、
フリージア、チューチップ」

 

 

 

 

カーネーション等を持ち歩く時は逆立ち姿勢

といってもエチレンは、植物が
自らの体の中でエチレンガス
として発してもいる物質です。

 

そのエチレン発生をなるべく少なく
するためには、お花を持ち歩く時は
逆立ち姿勢にするのがよいとのこと。

 

重力により、水分が下にある花の部分
に集まりやすくなるので、エチレンの
発生量が少なくなるからです。

 

また、タバコ、排気ガスやお線香の煙など
にもエチレンは含まれていて、敏感な花達
は老化が早まることもあるようです。

 

 

 

 

 

エチレンを抑える「銀」

エチレンを抑える物資としては
「銀」があり、銀を植物に吸収され
やすいようにした物質もあります。

 

お花屋さんのカーネーションにはこの物質
を吸収させてあること(STS処理)も多い
ので、さほど神経質になる必要はないかも。

 

とはいえリンゴや成熟したバナナは、エチ
レンを放出し、エチレンに弱い花としては
最初にあげたものがあることは覚えていて
もいいかもしれませんね。

 

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江戸時代の香水 

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江戸時代からあった香水

「香水」という言葉には、何とはなしに
ハイカラなイメージが漂います。

 

日本に入ってきたのは明治かな?と思いきや
なんと、江戸時代から売られていたそうです。

 

尾崎左永子さんの「大人の女のこころ化粧」
(リヨン社)で初めて知ったのですが
その本によりますと『都風俗化粧伝』に
「花の露」についての記載があるそうです。

 

もっとも江戸時代に売られていた
「花の露」という製品は、本来は
「匂い油」だったということですが。

 

 

 

 

 

式亭三馬が売り出した「江戸ノ水」

『都風俗化粧法』の本が出版された頃
には「花の露」「菊の露」「江戸ノ水」
という化粧水が売られていました。

 

「江戸ノ水」は、式亭三馬が売り出したとか。
式亭三馬といえば、『浮世風呂』『浮世床』
等の偽作者、つまり作家ですよね?

 

香水、化粧水の類とは一見、縁がないよう
にも思えますが、実は式亭三馬は本屋に奉公
をした後に、薬屋を営んでいたのだそうです。

 

不安定な作家業のため、生活設計をしていた
のでしょうか、などは余計なお世話ですが
これらの化粧水は販売されただけではなく
家庭で作る製法も本に記載されていました。

 

 

 

 

 

家庭での作り方

作り方の説明は以下のようなものです。

 

1 まず白い茨の花を摘み取り、
       ↓
2 欄引きにかけ、中にお湯を入れて沸かし、
       ↓
3 その上に花を入れ、湯気によって抽出
 された露が口からでてくるのを受ける

 

「欄引き」という言葉が出てきましたが
欄引きとはポルトガル語で、ブドウ酒を
つくる時に使う、蒸留機ランビックの転訛。

 

「転訛(てんか)」というのは、言葉のもと
の音が、なまって変わることで、蒸留機の
「ランビック」が「欄引き」とされたよう。

 

ブドウ酒の蒸留がどのようになされるのかは
知りませんが、エッセンシャルオイルを作る
時の製法に「蒸留タイプ」とありますので
「花の露」もそのように製造されたのですね。

 

 

ルネ・ラリックの香水瓶「シダ」

 

 

 

「さして珍しいものでもなかった」!

尾崎さんは
「先日見た『化粧の歴史』の展覧会
にもいくつも展示されていて、さして
珍しいものではなかったのです」

 

とさらっと書いていらっしゃいますが
私にとっては超珍しいものです。

 

名前すら聞いたことがありませんし
そのようなものが存在することすら
知りませんでした。

 

そして、花の露製造に欠かせない
「欄引き」がないときの代用としては
次のような説明しています。

 

 

 

 

 

「欄引き」の家庭版簡易バージョン

ヤカンに水を入れ、ふたを逆さにして、
そこに花をのせ、大きな茶碗をその上に伏せ、
その上に更に、重しとして水入りの茶碗
を重ねて火にかけます。

 

すると蒸気によって花の露が落ちて
くるので、それをとります。

 

正直なところ、あまりイメージがわきませ
んが、このような方法が確かにあり、実践
していた人もいたのですから驚きです。

 

こんなふうに江戸時代の女性が
今でいうローズウォーターのような
ものをつくっていたなんて!

 

 

 

 

 

白麻のハンカチに白薔薇の香水

また尾崎左永子さんのお父様は、大正期
にロンドンに留学していらっしゃり、白麻
のハンカチに、ほんのちょっとの香水を
染ませるのを習慣にしていらしたそうです。
おしゃれですね。

 

お父様が朝出かける時に、お母様が香水の
ビンを逆さにしてほんの一瞬、抑えるよう
にしてハンカチにしませていらしたとか。

 

その同じ香水を、お母様もまた使っていら
したので、尾崎さんにとっては御両親の匂い
として記憶している香りなのだそうです。

 

その香りはお母様によれば、「あれは
ホワイトローズで本当は男の香水なのよ」

 

 

 

 

たしかに、ホワイトローズのエッセンシャル
オイルは、赤いバラのそれとは違った系統の
香りのように感じたことがありました。

 

もっとも、産地やその年によっても違います
から一概にはいえませんが「ローズ」という
言葉から沸き立つイメージとは少々異なり
すっきりというか、凛としていた記憶です。

 

だからこそ、男性の日常使いの白麻のハンカチ
からほのかに香ったとしても、決して出過ぎること
のない最高級のおしゃれになり得る香りですね。

 

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