「ハチミツ」と「ロイヤルゼリー」

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「花蜜」と「ハチミツ」の成分は異なる

ハチミツはミツバチが花の蜜から作ったものですが、成分は異なります。
自然界の中で、最も甘いものといわれるハチミツ。
その原料である花の蜜自体には、ハチミツほどの甘さはありません。

 

ハチミツに含まれる糖分の大半は、ミツバチが花蜜を体内に
入れることによって作られたものであり、ミツバチがいなければ
人間はハチミツを作り出すことはできないのです。

 

最初、私はたくさん花からほんの少しずつのミツを集めるという
膨大な手間のかかる仕事をミツバチにしもらい、集めたミツを
人間がいただいていると思っていたのですが、違うようです。

 

 

 

 

 

ハチミツを作ることができるのはミツバチだけ

花の蜜をミツバチが集めて加工することによって
初めてハチミツが出来上がるというわけです。

 

またハチならば、どの種のハチもハチミツを作れるのかというと
そうではなく、ハチミツを作ることができるのはミツバチだけだそう。

 

ミツバチの主なエネルギー源であるハチミツは、
1 花が咲かなくなる季節の食料や、
2 幼虫を育てる時の餌に、
3 ハチの巣を作る蜜蝋(ミツロウ)の原材料にもなります。

 

これらに使う以外のハチミツは、巣の中で濃縮され、貯蔵されます。
ハチミツが不足をすると、群れが増えなくなり、蓄えていた
ハチミツがなくなってしまうと、ミツバチは餓死してしまいます。

 

 

中央に見えるちょっと大きめのものが
女王蜂専用の飼育部屋「王台」

 

 

 

ハチミツ→ミツロウ(蜜蝋)

蜜蝋は、働きバチの「蝋線」と呼ばれる器官で作られるものです。
分泌した瞬間は液状ですが、空気に触れると固まる性質があり、お腹
から分泌した蜂ロウを、足ですくい取って口まで運んで巣作りをします。

 

巣板の下に、女王蜂専用の飼育部屋・王台が作られ
ますが、幼虫の成長に従って、王台は増築されて
最後にはピーナッツの殻ほどの大きさにまでなります。

 

ミツロウは、これもまたハチミツ同様、ミツバチたち
から人間がいただいているものでもあり、古くから
ロウソクの原料として重宝してきたものでもあります。

 

 

 

 

 

花蜜+ミツバチの消化酵素=ハチミツ

ミツバチたちは花から花蜜を吸いとると、ミツバチの胃袋である
「蜜胃」という容れ物の中にためて、巣まで持ち帰ります。

 

この時にミツバチの体内の消化酵素や唾液酵素が
ミツに加わることにより、科学変化が起こります。

 

花の蜜はお砂糖と同じように、主成分はショ糖ですが、
ミツバチの体内酵素等によりショ糖が、ブドウ糖果糖に分解、熟成
されて、巣に戻るまでの間に、花蜜はハチミツへと変化しています。

 

 

 

 

巣に戻った働きバチは、ハチミツを仲間に口移しで渡します。
受け取った側の働きバチは、35度前後の巣温の中で羽根を羽ばたかせ
ハチミツの水分を蒸発させ、糖度が80パーセントになるまで濃縮します。

 

こうして濃縮されたハチミツは、サラサラとした
花蜜から、トロリとしたハチミツに変わっています。
この状態になったハチミツを、働きバチは貯蔵部屋に移して蓋をします。

 

 

           花の蜜    →    ハチミツ

*  ____________________________

   水分量    70パーセント  →   20パーセント

     成分       ショ糖    →    果糖+ブドウ糖

 

 

 

「天然ハチミツ」

人間がハチミツを利用する場合、水分が80パーセントになった
時点で採取し出荷されるものを「天然ハチミツ」と呼んでいますが
正確な定義はなく、少々曖昧に使われているというのが現状のよう。

 

ミツバチにより、自然に水分が80パーセントになるまで寝かせて
おくのは、時間がかかって効率が悪いために、機械を使って
早く水分を飛ばすハチミツも、かなり流通しているようです。

 

公正取引規約では「ハチミツの水分量は21パーセント以下」と
定められていますが、その数値にするためにミツバチに任せるか、
あるいは人間が機械で処理するかについての規定はないからです。
ただし、味の差は歴然だとか。

 

 

       「ビーポーレン(beepollen)」花粉団子

 

 

 

花粉→花粉団子(ビーポーレン)

働きバチが花の中で蜜を吸うと、花粉が体の毛についてしまいます。
ミツを吸い終わった働きバチは、足に生えているブラシ状の毛に
ミツを少しだけつけて湿り気を与え、体についた花粉を湿らします。

 

そして器用なことに、飛んでいる間にそれらをまとめるのです。
前足と中足で花粉をまとめ終わると、後ろ足の体毛でカゴのようになって
いる花粉カゴに入れ、1本の長い毛に花粉を団子のように串刺しにします。

 

この花粉団子は、ミツバチ(bee)の花粉( pollen)で
「ビーポーレン(beepollen)」と呼ばれるものです。
「ミツバチのパン」とか「蜂パン」ともいいます。

 

 

       花粉カゴに花粉団子を入れて運ぶミツバチ

 

 

串刺しにして持ち帰った花粉団子は、巣の中の
働きバチに渡され、噛み砕かれて巣房に蓄えられます。
その後、ハチミツを塗られて「蜂パン」と呼ばれる保存食になります。

 

 

 

花粉は大切な食糧

働きバチの幼虫は孵化後、3日までは女王バチと同じように
ロイヤルゼリーを与えられますが、それ以降は
花粉にハチミツを混ぜたものが食料になります。

 

アミノ酸、脂質、ビタミン、ミネラル等を豊富に含んでいる花粉は
ミツバチの体の基になる重要な食糧ですので、巣の大きさにもより
ますが、年間に集める花粉量は、10〜30キログラムにもなるそう。

 

一匹の幼虫が成虫になるまでには、0.1グラムほどの花粉が必要ですが
これは働きバチ一匹の重さと同じくらいの量であり、それが1日に
1000匹、2000匹と孵るのですから、大量の花粉が必要というわけです。

 

 

 

 

 

貯花粉量をどのように認識しているのかは不明

巣に花粉が足りなくなると、働きバチの免疫力が低下したり、寿命が短く
なったりして、働きバチが卵や幼虫を食べてしまうこともありますので
蓄えている花粉が少なくなると、花粉を集めに行く働きバチが増えます。

 

幼虫がフェロモンを出して、働きバチたちに花粉集めを促進させる
といわれていますが、群れが必要とする花粉量をどのように
認識しているのかは、まだ解明されていないようです。

 

ミツバチは幼虫の時が、最も花粉を必要とするようで、羽化した
働きバチは羽化後、10日ほどで育児係になった時までが
花粉消費量が最大となり、その後は急激に少なくなります。

 

羽化後20日以降、門番係や外回りになるとあまり花粉を必要としません。
一方、ハチミツを作る花蜜は、巣に蓄えているハチミツの
量に関わりなく、いつでも集めてくるのだそうです。

 

働きバチの仕事の変化
 生後3日〜    掃除、世話 巣の掃除、幼虫の給餌、女王蜂の世話
 生後7日〜    巣作り、ロイヤルゼリー作り
 生後10日〜  貯蔵 採集してきた働きバチから受け取ったミツを貯蔵
 生後14日〜  門番 出入口で敵の侵入を防ぐ
 生後20日〜 外回り 花蜜、花粉の収集

 

 

 

 

 

花粉→ロイヤルゼリー

花粉はミツバチたちの食料であるとともに
女王バチの食料のロイヤルゼリーの材料でもあります。

 

巣房に蓄えられている「蜂パン」を働きバチが食べると
腸に送られた花粉は、アミノ酸となって顎にある唾液腺に
送られ、そこで生合成が行われます。

 

他のハナバチ類では、花粉と花蜜をただ混ぜ合わせるだけですが
ミツバチは、一度体内に取り込み、生合成を経ることにより
栄養価の高いロイヤルゼリーが出来上がるのです。

 

ロイヤルゼリーは、ハチミツのような甘さはなく
酸味が強く、舌を刺激するような収斂性があるのが特徴です。

 

 

 

 

 

栄養成分の違い

ハチミツは、80パーセントが果糖で、残りはほぼ水分。
そのうち数パーセントにビタミンやミネラルが含まれます。

 

ロイヤルゼリーは、糖分は10パーセントに過ぎず、水分が60パーセント、
後の30パーセントは、40種類以上もの豊富な栄養素で構成されています。
中にはロイヤルゼリーにしか含まれていない「デセン酸」
成分などを含んでいるのも特徴の一つです。

 

文献に初めてローヤルゼリーが現れたのは、古代ローマ時代。
アリストテレス(B.C.384~B.C.322)の著書の『動物誌』の中に
「濃厚な蜂蜜に似た淡黄色の柔らかいもの」と記されています。

 

また「ロイヤルゼリー」という名前は、約200年前から使われていて
フランソワ・ユベールの『ミツバチの新観察』には
「ゼレー・ロワイヤル」という言葉が見えるそうです。

 

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ミツバチダンス ミツバチの言葉(The Language of Bee)

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曇りの日でも太陽の位置がわかる

ミツバチは、花からミツを採取して巣へ運ぶという作業を
一日に何度も繰り返していますが、花を見つけるために
むやみやたらに飛んでいるわけではありません。

 

ミツバチ同士で、花のある場所を教えあっているようです。
伝達にはダンスを使っていますが、これは花の位置を伝えるのみ
ならず、新しく巣を作る候補地を知らせる時にも使われている方法。

 

巣に新たに女王バチが誕生すると、今までの女王バチは半数ほどの
ミツバチを連れて巣を出ますが、これを「分峰」といいます。

 

「分峰」をしたミツバチの群れが、一時的に木の枝などに
丸く固まって「蜂球」といわれる状態になっている時に
新しい巣を作る場所を偵察に行っているミツバチがいます。

 

目星をつけて戻って来た偵察バチが、候補地の場所を
仲間に伝える時も、やはりこのダンスを使うということです。

 

 

    「分峰」をし、一時的に木の枝にいる蜂の群れ「蜂球」

 

 

 

太陽が目印 それでは曇りの日は?

ダンスをすることで「場所」を伝えるといっても、グーグルマップなど
持っていないミツバチに教えるには、基本になる目印が必要です。
日中に世界のどこでも必ず存在するもの、それは太陽。

 

となりますと、太陽の出ていない曇りの日は目標が見えず、ミツバチは
迷ってしまうのかといえばさにあらず、曇りの日でも紫外線は出ています
ので、紫外線をキャッチできるミツバチには全く問題はありません。

 

空の一角を見るだけで、ミツバチには太陽の位置がちゃんとわかります。
これは「偏光解析能力」と呼ばれるものですが、昆虫や甲殻類などが
もつ、小さな個眼が多く集まって出来ている複眼の効果でもあります。

 

 

蝶々も複眼をもっています
これはガラスの羽を持つ蝶々といわれる「ツマジロスカシマダラ」

 

 

 

赤い色は見えない?

紫外線を見ることのできるミツバチには
黄、青緑、青、紫外が区別されることが証明されています。

 

ということは赤い色は見えないということですね、
赤い色の花は多いように思うので、ちょっと意外な感じもします。
ミツバチは白や青、紫色の花を見つけるのが得意だそうです。

 

ミツバチは匂いを、触覚に広く分布する感覚子(かんかくし)
と呼ばれる、体の表面などにある小さな器官で識別しています。
匂いによって、花の種類さえ他のミツバチに伝えることも可能だとか。

 

また味覚に関しては、口と足の跗節(ふせつ)という
先端の節や、その他の触覚にも味覚の受容体があります。

 

 

    これはショウガの花ですが、ミツバチには見えるかな?

 

 

 

ミツバチのダンス「言葉」

ミツバチには何色が見えているか?、という研究をしたのは
カール・フォン・フリッシュ(Karl von Frisch、1886〜1982)
という、オーストリアの動物行動学者です。

 

彼は40余年にもわたる長い間、冒頭のミツバチの「言葉」と
いわれる、ミツバチダンスの解明に取り組んだ学者でもあります。
その研究により、1973年にはノーベル賞を受賞。

 

置いてある濃厚な砂糖溶液にミツバチが来た後に、同じ巣の多くの
ミツバチが訪れるのを見たカール・フォン・フリッシュは、ミツバチ
たちがその情報を伝える手段を持っているに違いないと確信します。

 

そこで彼は、特殊な細工をして、ガラス板越しに
巣の中が見えるミツバチの巣箱を作って設置。

 

すると彼の予想に違わず、豊富な花蜜がある場所から巣に戻った
ミツバチは、巣板の上で興奮気味にダンスをしていたのです。
観察するうちにミツバチのダンスには、2種類あることがわかりました。

 

 

             「円形ダンス」

 

 

 

1 「円形ダンス(円舞)」(Rundtanz)

一つ目のダンスはミツバチが、ただグルグルと回るだけ
の「円形ダンス(円舞)」といわれるものです。
「巣の近くに蜜がいっぱいの花があるので、集めに行こう」という意味。
これは100メートル以内という、近い距離のみを伝えるダンスです。

 

 

 

2 「8の字ダンス」(Schwanzeltanz)

こちらは、目的の花が100メートル以上、離れている場所にある場合。
「8の字ダンス」の「8」は、「蜂」ではなく数字の「8」の字
を描くように、ミツバチがダンスをすることによる命名です。

 

 

 

             「8の字」ダンス

 

 

「尻振りダンス」ともいわれ、規則正しく「8」の字を描きますが
その中央の直線部分に来ると、特に腹部を激しく振動させます。

 

ミツバチは15秒間に、何回「8」の字を描くかという実験を
カール・フォン・フリッシュはしていますが、その結果は以下の通り。

 

 

   巣から花までの距離    ミツバチが15秒間に踊る回数
  ____________________________
     100メートル          9〜10回
      1000メートル          4〜5回
      6000メートル            2回

 

 

というように、巣からの距離が近いとダンスの速度は速く、
離れれば離れるほど、速度はゆっくりになることがわかりました。

 

次の表は「8の字ダンス」の速度と、花までの距離を表したもの。
ミツバチほど賢くない私には正直なところ、もうついていけないという
感じもしますが、15秒の間に何回踊るかをグラフにしているそうです。

 

 

            グラフ(「B*topia」

 

 

15秒間に5回踊ったとすると
「巣から750メートル離れた所に花がある」という意味だとか。

 

「8の字ダンス」を動画で見ると、ミツバチが実際に
どのようにダンスをしているかがわかり、とても面白いです。
「あぷりのお茶会」史上(!)初めての動画をつけてみました。

 

54秒ほどの、短い「8の字ダンスの動画」で、ドイツ語ですが
映像を見るだけでわかっちゃいますので、解説は必要ないかと。
動画を見ますと、「8の字ダンス」の中央の直線部分は、

 

「__  」という感じではなく、「〜〜〜」と
ジグザクとかなり激しく動いているのがわかります。
だから「運動」ではなく、「ダンス」なのですね。

 

 

 

 

 

「8の字ダンス」は方向も示す

ダンスの速度が、巣から花までの距離を表している
ということも驚きますが、次はもっと驚いちゃいますよ。
「8の字ダンス」は距離だけではなく、方向も示しているのです。

 

「8の字ダンス」の中央の直線は、花がある方向を示しています。
ミツバチが巣板の上で横向きになって(下のように)ダンスをしていた
場合、ダンスの中央の直線は左を差していますので、そちらが花の方向。

 

 

                太陽

 *                  ↑
              90度     |
                     |
 花  ←_____

 

 

その時に、垂直の上の方が太陽のある方向で、
花(左)と太陽(上)の作る角度(この場合は90度)を示しています。

 

「巣から出て太陽のある方向から、左に90度の所に花がある」
と教えているのです。

 

いくら何でも、これは凄すぎませんか?
私は言葉を失うほどの驚きを覚えました。
ホント、ミツバチってすごい。

 

このダンスの規則を覚えれば、人間が見てもその意図するところを
理解することができ、花のありかがわかるといいます。

 

この実験に付随して、カール・フォン・フリッシュの弟子である
リンダウエル(Lindauer)は「オオミツバチ」「コミツバチ」
「トウヨウミツバチ」のダンスを研究し、ミツバチの
種によってダンスが少しずつ異なっていることを発見しました。

 

また、「トウヨウミツバチ」や「セイヨウミツバチ」の場合は
ダンスを暗い巣の中で行なっていることから、現在では、仲間への
情報の伝達に際して、音も関与していることがわかっているそうです。
         (参照/「SCIENTIFIC AMERICAN」、酒井哲夫)

 

 

 

 

 

決定方法や、合図の出し方は?

このミツバチのダンスは、花の蜜のある場所を教えるだけではなく
「分峰」をした後、新しい巣を作る候補地を教える方法でもありました。

 

偵察をしてきた複数のミツバチが、それぞれにダンスをして伝えます。
新しい巣の場所を決定するのに、数時間から数日かかることもある
といいますが、それはどのように決められるのでしょうか?

 

また「分峰」の合図は働きバチが出すそうですが(女王バチは巣別れ
フェロモンを放出するそう)、「コロニーの中でどのような位置にある
働きバチ」が「いつ」「どんな方法」でこの合図を出すのか等々。

 

これらの研究をしている方がいらっしゃるのかどうか
わかりませんけれど、ミツバチってもうホント面白すぎて
次々と興味が湧いてきてしまいますね。

 

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「女王バチ」 女王のお仕事も結構たいへん 

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「女王」とはいうけれど

「女王バチ(queen bee)」と聞くと、たくさんの働きバチを
従えて君臨している凜とした女王様というイメージを受けます。
確かにある面ではそうなのかもしれません。

 

ですが、実際に女王バチが4〜5年の寿命の間にして
いることといいますと、これがなかなか大変そうです。

 

「女王」という華麗な名称とは、少々異なる
女王蜂の日々のお仕事をちょっと見てみましょう。

 

 

 

 

 

毎年、同じ場所、同じ時間に集合のナゾ

卵から孵った女王バチは羽化した1週間から十日ほど後の、4月から
6月の繁殖期にオスバチ(drone bee)たちと交尾ために出かけます。
                  (「ミツバチの不思議」

 

女王バチとオスバチが出かけた場所は
他の巣のミツバチたちが集まっている場所。
毎年、同じ集合場所、同じ時間に集まるそうです。

 

なぜ、彼らにそれがわかるのでしょう?
この情報が次の世代のミツバチたちに、どのように伝えられている
のかは、現在はまだ解明されていませんが、本当に不思議ですね。

 

 

 

 

 

交尾後、オスバチは地面に落ちて死ぬ

女王バチは、いつものロイヤルゼリーからハチミツに食事を
変えて体を軽くし、またオスバチもハチミツをたくさん
もらって集合場所に出かけて行きます。

 

多くのミツバチが集まったこの場所で、女王バチは
貯精嚢(ちょせいのう)がいっぱいになるまで
複数のオスバチと空中で交尾を繰り返します。

 

これは近親交配の可能性を低くするためと
遺伝的多様性を高めるためといわれています。

 

交尾時にオスバチは、交尾器の一部分を女王バチの体内に
残しますが、交尾後オスバチは地面に落ちて死んでしまいます。

 

 

           蜂蜜ふらい「松崎製菓」

 

 

 

突然、女王バチがいなくなってしまった時は

交尾はいつも成功するとは限らず、交尾飛行中に
女王バチが捕食されたりことも発生します。
また交尾時に限らず、女王バチが病気で死ぬという事態も起こること。

 

そのように女王バチがいなくなった巣では、働きバチが卵を生むよう
になりますが、未交尾の働きバチから生まれた卵は無性卵で生まれる
のは全てオスバチばかりですので、その群れは消滅してしまいます。

 

そこで女王バチが急死、失踪した時などは、働きバチ用の飼育部屋で
孵化した幼虫を、急遽、女王バチに育てるべく専用の飼育部屋・王台
を作って移し、ロイヤルゼリーを与えて女王バチを誕生させるのです。

 

 

 

 

 

次の世代のハチの卵を産む

捕食をされることもなく無事、交尾を終えた女王バチは、巣に戻ると
働きバチたちが用意をした巣房に卵を産み続ける仕事に入ります。

 

交尾時に貯精嚢(ちょせいのう)に蓄えられた精子の数は
700万個にも達し、女王バチの生存中は貯精嚢の中で生き続けます。
そして排卵時に、精子が輸卵管から出て来るのです。

 

排卵数は、毎日1000個から3000個。
その大量の卵を、東京近郊あたりですと2月中旬から
12月中旬までの期間、産み続けるといいます。

 

貯精嚢に蓄えられた精子を使い、働きバチが用意した
ロイヤルゼリーを食べて、女王バチの寿命である
4〜5年の間、ひたすら卵を産み続けるのです。

 

女王というイメージとは程遠い「産卵器械(egg laying machine)」
にすぎない(酒井哲夫)、という言葉には頷くばかり。

 

 

       ここ(王台)に女王蜂の卵が産みつけられる

 

 

 

卵は、働きバチ→オスバチ→女王バチの順に

女王バチが最初に産むのは働きバチの卵で、次がオスバチの卵。
オスバチの飼育部屋は、働きバチより少し大きくできています。

 

女王バチは、オスバチの卵を産む時は精子をかけずに
産みますので、オスバチには父親がいないことになります。
(「メスの受精卵・2n」と「オスの無精卵・n」)

 

そして最後は、次の女王バチ候補の産卵です。
女王バチは1つの巣に必要なのは1匹ですが、女王バチ用の
飼育部屋である王台は、複数用意してあるのが普通です。

 

 

 

 

 

新女王蜂の誕生

王台の中で、一番最初に生まれた女王バチが次の女王バチになります。
新女王バチが、王台の中から外に出てくる時には
「チューーー、チュ、チュ、チュ」と鳴くそうです。

 

これは「クイーン パイピング」と呼ばれ
他の女王バチに自分の存在を知らせるためと
働きバチたちを制御するために鳴くといわれています。

 

最初の新女王バチが生まれると、その他の王台は
新女王バチや働きバチたちによって処分されてしまいます。

 

また時には、今までの女王バチが老齢だったりすると
新女王バチが誕生する際に、働きバチたちが
今までの女王バチを殺してしまうこともあるとか。

 

 

 

 

 

大量の蜂が巣から出る「分峰」

こうして新女王バチが誕生する頃に、今までの女王バチは半数ほどの
働きバチたちを連れて巣を出て、新しい巣を作ることになります。
これを「分峰(ぶんぽう)」といいます。

 

分峰の合図である「ワーカーパイピング」を
出すのは女王バチではなく働きバチ。(「浦添養蜂園」

 

晴れた日の午前中に起こることが多いという分峰ですが
巣から大量のハチが飛び出してきて、巣から半径
10メートルほどは、ハチだらけになるそうです。

 

 

   「蜂球」(写真/「東京葛飾堀切菖蒲園またはお花茶屋発」

 

 

 

新しい巣を作る準備

大量のミツバチたちが巣の上空を旋回した後に、近くの木の枝に
一時的に大きなボールのような形で集まるのが「蜂球」(上の写真)。
このままの状態で数時間から数日、待機しています。

 

偵察隊のハチたちが、新たな巣にふさわしい場所を物色に行きます。
戻ってきた偵察隊が紹介する候補地を協議した後、移転先を決めます
が、この決定には何時間も、あるいは何日もかかることがあるそうです。

 

(「協議」だの「決定」だのって、どういう意味?、と思うでしょう?
実はこれ、ミツバチのダンスという「言葉」があるのです。
ちょっと長くなりますので、次回にお話しましょうね)

 

そうして決めた場所にミツバチたちは移り、新たな巣作りに入ります。
ミツバチは群れごとに独自の臭いがあり、体臭で仲間を認識している
ようで、体臭が異なると敵とみなされ攻撃されてしまうようですよ。

 

 

 

 

 

本当に「女王」待遇なの?

最後に、女王バチの「女王」について思うことをを少々。
あくまでも私の勝手な考えに過ぎませんけれど。

 

1 ロイヤルゼリーを与えられている

確かに女王バチは、王台という広い飼育部屋で育てられますし
ロイヤルゼリーも与えられるという、特別待遇を受けています。

 

ですが女王バチは卵を産み、貯精嚢に一生分の産卵用の精子を保存
するため大きな体が必要なので、その為に与えられているともいえます。

 

先ほど出てきたように、交尾に出かける時は、ロイヤルゼリーではなく
ハチミツを食べて体を軽くする、ということからもわかるように
ロイヤルゼリーが栄養、質量ともにヘビーだということが伺えます。

 

ということはロイヤルゼリーを与えられるのは特権ではありますが
贅沢が許されるというよりは、体を大きするためや、卵を産み続ける
ために必要な栄養ということに過ぎないのではないかという気も。

 

また、ロイヤルゼリーを与えられて体が大きくなるということは
1回の交尾旅行で一生分の産卵用の精子を保存することに役立ちます。
4〜5年の寿命の間、必要量を蓄えられる体の大きさがあれば、何度も
交尾に行かなくてすみ、したがって危険の可能性も低くなるわけです。

 

 

 

 

2 働きバチに世話をしてもらう

女王バチの世話は働きバチがしますが、これも先ほどと同様で
国王や王妃の世話をする従者というよりは、産卵を続ける
女王バチには必要な措置に過ぎないのではという気もします。

 

人間の妊娠時とは異なるものの、女王バチが一生分の
精子を蓄え、大量に産卵を続けている状態というのは
やはりそれなりの介助が必要なのかもしれません。

 

女王バチは毎日、大量の卵を産む「産卵器械にすぎない」
ともいわれることを、先ほどお話ししました。

 

一見、女王待遇に見える、ロイヤルゼリー与えられ、働きバチに世話を
してもらうことも、もしかしたら「産卵器械」であり続けるために必要な
単なる合理的な措置に過ぎないのではないかという気もするのです。

 

とはいえ、女王バチ自身が「自分は女王だ」と言ったのではなく
あくまでも、人間が勝手に名付けただけではありますが、

 

 

 

 

 

母と子どもたち

考えてみますと、ミツバチの1つのコロニーというのは
血統的には家族でもあるわけで、大抵の場合は女王バチが母親で
働きバチは娘たち、オスバチが息子ということですからね。

 

唯一、新女王バチが生まれて、母バチが分峰をして巣を出た
直後は、新女王と働きバチたちの関係は姉妹ですが
時間の経過に従って、母と娘たちに移行すると思われます。

 

ただ彼らはやはり、家族というよりはコロニーであって
群れのため、強いてはミツバチという種の保存のために
行動するよう、遺伝子にプログラムされているのでしょう。

 

 

 

 

 

最後はみんな一緒

前回、冬が近くなって食べ物が乏しくなる季節になると
オスバチたちは、働きバチたちに羽根をかじられたり
巣の外に追い出されたりすると書きました。

 

食料採取、幼虫の世話、掃除、家づくりと補修、門番等、あらゆることを
一手に引き受けている働きバチは、オスバチのような扱いはされないもの
の体が弱ってきたものに関しては、外に出されてしまいます。

 

そしてこれは、女王バチとて同様。
先ほど、新女王バチが生まれる際に、今までの女王バチが老齢の時
など、働きバチに殺されてしまうこともあると書いた通りです。

 

女王バチだからといって、老齢や病気の時に大切にされるわけでは
なく、他のハチと同じく外に出されて地面に落ちて死ぬのです。

 

そこには 不満も悲しみもありません。
淡々と死を受け入れる生き物の姿があるのみです。

 

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