花粉症8 イネ科の植物「オオアワガエリ(チモシー)」

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オオアワガエリ(チモシー)

イネ科の植物で、花粉症の原因となっ
ている主なものといえば「オオアワガ
エリ」と「カモガヤ」。

 

ということで、今日はオオアワ
ガエリを取り上げてみます。

 

学名「Phleum pratense」
別名は「キヌイトソウ」ともいい、
英名は「Timothy(チモシー)」。

 

オオアワガエリという名前自体に
は全く馴染みはなかったのですが
ティモシー、牧草……ときて、私は
突然「!」という感じになりました。

 

オオアワガエリとは、ウサギさん
のごはんの一つとして有名な
チモシーのことだったのですね。

 

 

イネ科の「オオアワガエリ」
(写真/「みんなの花図鑑」)

 

 

そういえば、うさ友さんがウサギ用に購入
した牧草を整理する時に「アレルギーで
大変だ」と言っていた記憶がありますが
彼女はイネ科の花粉症だったのでしょう。

 

ちなみにチモシーという名は、18世紀初頭
にアメリカへ導入した「Timothy Hansen」
から名付けられたということです。

 

一方、ヨーロッパでは「Cat’ tail」と
呼ぶそうですが、可愛い名前ですね。

 

 

 

 

 

牧草として日本に入り、現在は野生化して全国に

ヨーロッパ原産のイネ科多年草で
明治時代の初頭、北海道に家畜の牧草
としてアメリカから入ってきました。

 

オオアワガエリは、繁殖力旺盛で
寒さにも強いことから、現在では野
生化して日本全国に広がっています。

 

穂先に淡い緑色をした円柱形の花穂を
つけますが、小さくて目立たないため
花粉どころか、花の存在にさえ気が
つかないかもしれません。

 

 

 

 

症状と口腔アレルギーを起こす食物

飛散距離はそれほどでもありませんが
河原や道端に結構生えてますので、側を
を通る時にはマスクをするといいですね。

 

症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに加え
アレルギー結膜炎の症状が出やすいので
予防のためにメガネをするのも効果的。

 

外出時にはマスクや、つばの広い帽子、
ツルツルする素材の洋服を着るなど
極力、花粉を防ぐ対策をしましょう。

 

家の中には花粉を持ち込まないことが
何よりですが、そうもいきませんので
こまめな掃除や、空気清浄機の利用で
のりきりたいものです。

 

 

 

 

口腔アレルギーをおこす食物は
メロン、スイカ、キウイなど。

 

(口腔アレルギー症候群・OAS
    (oral allergy syndrome)

 果物や野菜を食べた時に、数分
 以内に唇や舌、口の中やノドに
 刺激、かゆみ、しびれがでる症状

 

 原因は、花粉症の原因物質と似た物質
 物質が含まれている食物に対しても
 反応してしまうからといわれている)

 

 

 

 

 

新芽は「絹糸草」

また、花粉症とは関係がないのですが
ちょっと驚いたことなのでお伝えします。

 

オオアワガエリの地味な花が終わって
できる実ですが、この種子を水盤に
脱脂綿などを置いて撒き、芽が出た
ものが「絹糸草」なのだとか。

 

ひぃえっ〜〜という感じの驚きです。
私は絹糸草のあの優しげな繊細な葉っぱが
大好きでしたが、チモシーだったとは……。

 

 

 

 

これは絹糸草ではなく葉ネギです
が、真似をして植えてみました。
が数が少なくてあの圧倒的な細い芽
の絹糸草群には足元にも及びません。

 

ということは、絹糸草をそのまま
育てていくと、ウサギの食料の
チモシーになるのでしょうか?
ちょっと信じられない思いです。

 

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花粉症7 イネ科の植物

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意外に多いイネ科の花粉症

イネの花粉症というと、あまり聞く
ことのない言葉のような感じがしま
すが、近年は増加傾向にあります。

 

花粉症といえば、日本ではスギ花粉症
ですが、ヨーロッパではイネ科、アメリ
カではキク科(ブタクサ)が主な原因。

 

花粉症の英語を「Hay Fever(枯葉熱)」
といいますが、これは牧草の刈り入れの
際に起きるためにつけられた名前です。

 

それが19世紀初めになって、牧草
そのものというよりは、牧草の花
粉によるものと判明したのです。

 

 

 

 

 

飛散時期が長いイネ科の植物

イネ科は飛散時期が長く、スギやヒノキ
の花粉が終わった頃に飛んでいる花粉で
春と秋の2回、飛散ピークがあります。

 

スギやヒノキの花粉症の人は
イネ科の花粉症も持っている
可能性が高いともいいます。

 

スギ花粉症が長引いていると思って
いる方は、イネ科の花粉症を疑った
ほうがいいかもしれませんね。

 

 

実際のイネの花粉症の人は少ない
そうですが、皆無ではないとのこと

 

 

 

アレルギー性結膜炎や肌荒れも

特に、春から初夏にかけては、抗原性の
強い花粉が飛散しますので注意が必要です。
症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりが中心。

 

ただ、スギ花粉症よりも、目のかゆみ
や充血など、アレルギー結膜炎の症状
が強く出やすい傾向があります。

 

また、イネ科の花粉に直接触れた
場合は、花粉皮膚炎による肌荒れ
や赤い発疹を起こすことも。

 

イネ科の食物のなかでも特に小麦、
食品としてはパンやうどんなどが
症状を悪化させたりします。

 

その他には、イネ科の油、米油や
コーン油はもとより、それらの加工
品にも注意が必要とのことですが
そうなりますと結構大変ですね。

 

 

 

 

 

木本植物に比べると飛散距離は短め

花粉症の原因となるイネ科の植物は
オニウシノケグサ、オオアワガエリ、
カモガヤ、ハルガヤ、ネズミホソムギ等。

 

このようなイネのような草を
「草本(そうほん)植物」といい、

 

今まで御紹介してきた
シラカンバ、ハンノキなどを
「木本(もくほん)植物」といいます。

 

草本植物の花粉の飛ぶ範囲はさほど
でもなく、数十m〜100m位。

 

木本植物の花粉のように、遠くまで
飛ぶということはありませんので
近づかないことが最大の防御です。

 

 

シラカンバ(シラカバ)
左上ー木 右上ー葉
左下ー花 右下ー実

 

 

 

イネ(米)そのものの花粉症は少ない

イネは、イネ科イネ属で学名は
「Oryza sativa」、別名は
「とうか(稲禾)」「かとう(禾稲)」。

 

学名の「Oryza」は、古代ギリシア語由来
のラテン語で「米」「イネ」を意味します。

 

いわゆるお米のイネの花粉症の人もいる
もの、数としてはそう多くないようです。

 

とはいえ水田で稲刈り後に出る、稲わら
の粉や、脱穀時の埃やイネ殻のカスを
吸い込むことで、イネ科花粉症の症状
が出る場合もあります。

 

イネの花粉に反応しているわけではあり
ませんが、イネのダストが原因ですので
稲刈り中の水田や、天日干しをしている
稲藁には近づかないほうが無難でしょう。

 

 

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花粉症6 「シラカンバ花粉症」の口腔アレルギー 豆乳

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豆乳も口腔アレルギーの原因に

2000年代に入ってから、シラカンバ
アレルギーの人に、豆乳で強い症状
を起こす人が目立つようになりました。

 

リンゴなどの果物で口腔アレルギーの
症状が出ていた人が、豆乳を飲むと
胸から上腹部の焼ける感じがあり
息がしにくくなったり、

 

豆乳を飲んだ直後から目が痒くなり腫れて、
ノドが痛く、詰まり感が起こり、右顔が
腫れたなどの症状がでるようです。

 

シラカンバ花粉関連の口腔アレルギー
症候群( OAS)のうち、10%位が
豆乳で症状が出るとのことです。

 

 

 

 

 

北海道、東北以外にお住いの方も要注意

シラカンバは北海道や東北に多いので
それ以外の地域は大丈夫かといえば
さにあらず。

 

シラカンバはブナ目で、ハンノキやオオ
バヤシャブシなどと同じ仲間ですので
それらの木でも同様の症状がでるのです。

 

ハンノキやオオバヤシャブシなどは
北海道や東北以外にも生育していますので
決して他人事とはいえません。

 

 

ハンノキの葉と花と実
(左下の長い方が雄花、短いのは雌花)

 

 

 

アレルゲンとなるタンパク質「PR10」

シラカンバ花粉に「Bet v 1」という
タンパク質があり、これに対する
アレルギーがシラカンバ花粉症の
原因の一つと考えられています。

 

(「Bet v 1」は、ハンノキの「Aln g 1」
というタンパク質とも非常に似ている)

 

リンゴの「Mal d 1」や
モモの「Pru p 1」、
ダイズの「Gly m 4」
などとも構造が似ています。

 

これらは、PR-10という野菜や果物
によく含まれている、汎アレルゲン
といわれるタンパク質です。

 

 

シラカンバ     ハンノキ 
* Bet v 1   Aln g 1

リンゴ      モモ     ダイズ
Mal d 1  Pru p 1  Gly m 4

      |

       PR-10

(野菜や果物によく含まれている
アレルギーをおこすタンパク質)

 

 

気を付けないといけない食べ物は
リンゴ、ナシ、ビワ、サクランボ、
イチゴなどのバラ科の果物やセロリ、
ニンジン、ダイズなどです。

 

 

 

 

 

 「熱」と「酸」に弱いPR-10

他のアレルゲンのリンゴなどの果物
の場合ですと、加熱した後に摂取すれ
ば症状が出ないこともあります。

 

アップルパイやリンゴジャムのなどの
リンゴ食品は、加熱処理によりPR-10
が抗原性を失い、アレルギー反応を
起こさなくなるからです。

 

熱だけではなく、PR-10は酸にも弱い
という特徴がありますので、胃酸のある
胃を通り抜けると抗原性を失って、アレ
ルギー反応は起こりにくくなります。

 

 

アップルバイはリンゴを加熱しているのでOK

 

 

 

豆乳は例外ですので注意が必要

ところが豆乳は例外で、ある程度耐熱性
がありますので、加熱さえすれば大丈夫
ということでもないのが厄介なところ。

 

ダイズの貯蔵タンパクである
「Gly m 5(β―コングリシニン)」と
「 Gly m 6(グリシニン)」が、

 

熱耐性や消化耐性をもつアレルゲン
であることがその理由のようです。

 

 

 

 

 

それ以外のダイズ製品は?

お豆腐は凝固しているので、多くの
場合は大丈夫なことが多いようですが
一部の人には症状が出ます。

 

また、納豆になりますと、お豆腐より
少ない割合ですが症状が出るようです。

 

*  豆乳  9.6%
*  豆腐  5.4%
*  納豆  0.6%
*  モヤシ 3%
* (緑豆やブラックマッペの新芽)

 

 豆乳  >  豆腐  >  納豆

 

 

 

 

同じダイズ製品でも、醤油やお味噌
などは、アナフィラキシーを起こす人
は少ないそうです。

 

 

 

「花粉の口腔アレルギー」と「一般的な食物アレルギー」

確かに豆乳はダイズのアレルギーなので
すが、アレルギー検査(血液検査)では
ダイズが陰性になることもあります。

 

今回取り上げているのは、カバノキ科植物
の花粉症患者が大豆・豆乳を摂ることにより
発症する「口腔アレルギー症候群」ですが、

 

それとは異なり、ダイズを原材料とした
食品により発症する「一般的な食物アレ
ルギー」もあります。

 

卵や牛乳、小麦、そばなどが
通常の食物アレルギーの代表的
な食べ物として知られています。

 

その一般的な食物アレルギーがダイズ
の人の場合、検査でダイズが陰性になる
ことはありませんが、カバノキ科花粉症
の口腔アレルギーでは、ダイズが陰性と
いうこともあり得るということなのです。

 

 

 

 

 

豆乳アレルギーの特徴

・果物の場合は、異常を感じた時点で
すぐに口から出すことも少なくないが
豆乳ではそれもできずらい

 

・水溶性であることが大きく、
粘膜に満遍なく付着するため
症状自体が強くなりがち

 

・また粘膜へ接触する面積が広い
ことから、全身症状を引き起こ
しやすい可能性もある

 

・嚥下とともに下咽頭、食道や胃まで
達してしまうため、前胸部の症状な
どがでやすい

 

などが挙げられます。

 

 

ダイズの芽

 

 

 

健康食品ブームで豆乳生産量が増加

豆乳は、シラカンバ花粉関連食品の中では
最も注意すべき食品とも言われています。

 

ですがこのグラフをご覧になってもおわか
りのように、2005年から2〜3年は、一時
は減ったものの、豆乳の生産量はうなぎ
のぼりに増え続けています。

 

 

豆乳生産量の推移
(グラフ/『ガベージニュース』)

 

 

国民生活センターには、2008年頃から
豆乳を飲んでアレルギーが出たという
相談が寄せられるようになり2013年に
は消費者に注意喚起を行いました。

 

専門家は、花粉症の人が初めて豆乳を
飲む時は、少量から飲むように呼びかけ
日本豆乳協会も、製品のパッケージに
少量からの試飲を表示しています。

 

 

ダイズができました!

 

 

 

山本哲夫医師の語る増加の原因と対策

「ステロイド点鼻や初期療法などの
花粉症に対する対処療法の進歩が原因
の一つと思います。
花粉を少々浴びても普通に生活できる
ようになり、鼻眼症状がなくても体内
の花粉のIgEは増え、果物アレルギー症
状が増加し、強くなってきます。
根本的な対策は、花粉を浴びないように
ライフスタイルを変えていただくことだ
と思います。
本州のスギは花粉数が1〜2桁多く、家
の中にいても、ある程度の数の花粉を浴
びてしまいます。
一方、北海道のシラカバは花粉数が
そこまで多くはなく、花粉対策を続ける
ことによって果物のアレルギー症状をコン
トロールすることも可能かと思います」

(札幌やまもと耳鼻咽喉科 山本哲夫)

 

個人的に、「ステロイド点鼻や初期療法
などの花粉症に対する対処療法の進歩が
原因の一つ」という意見がとても興味深く
感じられました。

 

 

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