においを感じる仕組み 嗅覚2

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においを感じる仕組み

    空気中のにおい分子が

         ↓

*  鼻から入り鼻腔最上部の嗅上皮と
    呼ばれる
嗅粘膜へ到達し、

         ↓

   嗅上皮にある、数千万個の嗅細胞
   の先端にある繊毛、さらに先の
     におい分子受容体が捉え、

         ↓

   電気信号として脳の嗅球に伝える

         ↓

     さらに大脳の嗅皮質に伝達
    することでにおいを認識します

 

 

          B 嗅上皮から嗅球への嗅覚神経回路図
1 虹ニューロン
2 糸球体
3 篩板(しばん)
4 嗅神経細胞
5 嗅繊毛
6 基底細胞
7 支持細胞
8 粘膜
9 におい分子
(イラスト/「化学工学会」)

 

 

 

約400種類の受容体がにおいを検知

嗅上皮(きゅうじょうひ)の粘膜層に
広がっている嗅毛(きゅうもう)には
においを捉える嗅覚受容体があります。

 

何かのにおい分子に対し、いくつか
の嗅覚受容体が反応してにおいを
検知する仕組みです。

 

受容体の数は、910種類といわれ
ますが、これがわかったのは
わずか30年前の1991年のこと
コロンビア大学のL.バックとR.
アクセルにより判明しました。

 

910個といっても、半数以上は機能を
もった形では発現しない「偽遺伝子」
であり、機能するのは347個です。

 

視覚では、視細胞は「赤・緑・青」の
たった3種類の受容体で、あらゆる色
を受けとっています。

 

ですので嗅覚の受容体が発見される
以前は、20種類ぐらいではないかと
考えられていたので、約400という数は
驚きをもって迎えられたということです。

 

 

 

 

 

構造的に類似したにおい分子を認識できる受容体

嗅上皮には約400種類のセンサー・受容体
が並んでいて、嗅細胞はその受容体のなか
から1種類を選んで配備します。

 

嗅細胞が備えている嗅覚受容体はポケット
のような構造をしていて、ポケットに
ぴったりのにおい分子をキャッチします。

 

ただこれは厳密なものではなく、よく
似た構造を持っている分子であれば
ポケットに入れることになっています。

 

ということは受容体は、ある特定のにおい
分子だけではなく、構造的に類似した複数
のにおい分子を認識できるということです。

 

 

 

 

 

40万種のにおい物質の嗅ぎ分けが可能

40万種あるといわれるにおい物質
の嗅ぎ分けは、受容体の無限の組み
合わせにより可能になります。

 

たとえば、123  の 3種類の受容体で
「123」と認識されるにおいが
あるとしましょう。

 

1 や 12 、13が機能するだけでは
「1」や「12」「13」になるだけ
で、「123」というにおいとは
異なるにおいをとして捉えられます。

 

あくまでも 123 の全てがそろって初めて
「123」というにおいになるのです。

 

 

 

 

 

直接、本能に作用する嗅覚

嗅覚は、他の感覚と異なり、直接
本能に作用するという特徴があります。

 

においを嗅いだ時に、鼻の粘膜
から脳に直接に働きかけるため
そのような現象が起こります。

 

においの情報は、大脳辺縁系の扁桃体
や海馬という、本能行動や感情・記憶
を司る部分に直接伝わるのです。

 

 

 

大脳辺縁系にダイレクトに行くにおい

嗅覚以外の感覚からの情報は
まず「大脳新皮質」にいき、その後
「大脳辺縁系」に届きますが、

 

嗅覚だけはその情報が
「大脳新皮質」を通さずに
直接「大脳辺縁系」に送られます。

 

 

kyukaku(イラスト/健康管理情報」)

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
嗅覚以外 → 「大脳新皮質」「大脳辺縁系」
嗅覚   → 「大脳辺縁系」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

このイラストでは「大脳辺縁系」
「古い脳」と表記してあります。
大脳辺縁系は喜怒哀楽の情動の表出や
食欲等の本能、睡眠や夢などに関連し
原始的な部分を司っているものです。

 

「大脳新皮質」の「新しい脳」の意味
は、進化的に新しい部分の意味。
大脳新皮質は、合理的、分析的な考えや
創造性、意欲、長期的な記憶、言語機能
を司るものですので、下等生物より高等
生物の方が大きいようです。

 

 

「マドレーヌ」ディーン&デルーカ

 

 

 

「プルースト効果」

以上のような特徴的な嗅覚の作用に
より、過去の記憶を引き起こす心理現象
を「プルースト効果」と呼びます

 

『失われた時を求めて
(A la Recherche du Temps Perdu)』
という超々長編小説の作者、マルセル・
プルーストさんのプルーストですね。

 

紅茶に浸したマドレーヌをスプーン
で口元に運んだ主人公の脳裏に
鮮やかに浮かんだ幼い頃の思い出、

 

 

 

 

そこから物語は始まります。
そして延々、延々……
と続いて終わらないのです。

 

いえ、もちろん終わりますが
終わらないのでは?、
と思えるほどの長さなのです。

 

たしかに、ものと場所は異なっても
このような経験は『失われた時を求めて』
の作者のプルーストのみならず
どなたにもあることでしょう。

 

 

 

 

 

脳における嗅覚経路はまだ未解明

においを感じる仕組みは、
嗅上皮の嗅粘膜へ到達したにおい分子
を嗅細胞の先の受容体が捉えて
電気信号を脳に伝えます。

 

そしてその後は、

 

1 嗅覚の第一次中枢である嗅球へ伝え、

 

2 二次神経に信号が受け渡されて
 前梨状皮質、前嗅覚、扁桃体、視床下部、
 嗅内野といった脳領域に信号が伝わり、

 

3 梨状皮質で三次ニューロンに連絡し
 大脳皮質内の前頭皮質嗅覚野へ
 情報が伝達され、

        ↓

においに対するイメージが作られ
においの認知にいたると考えられています。

 

 

(イラスト/「化学工学会」)

 

 

においの情報は、脳の記憶や空間学習能力
に関わる器官である海馬に伝えられると
他の情報とともに、においの記憶が形成
される、

 

と考えられていますが、脳における
嗅覚経路には、まだわからない部分
が多いということです。

 

  (参照/東野和成「生物が
   においを識別する仕組み」)

 

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言葉を持つ以前の記憶

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25年も前の新聞記事なのですが
とても興味深く思いましたので
残しておきたいと思います。

 

 

 

「言葉を持つ以前の記憶」

1996.1.16 朝日新聞 夕刊
アーチスト 日比野克彦
私の宝物

 

「言葉を持つ以前の記憶がありますか?」
と質問されたら困る。
なぜかというと、ことばで答えなければ
ならないからである。
でも人間、生まれてすぐしゃべるのは
「天才バカボン」のパパくらいなのだから、
だれしも、ことばをはっきりと持っていない
時期が確実に1-2年はあったのである。

 

「じゃ締めて、赤色を見た時のことを
覚えていますか?」と言われても困る。
赤色を初めて見た時というのは絶対に
存在したのだろうけれど、その時はまだ、
ことばを持たなくて、赤とか色とかいう
ことも知らないのである。
だから、「赤色を見たときの記憶はことば
では私の中に記録されていません」としか
申し上げられない。

 

しかし、初めて赤色を見た時や黄色と見た
時は確実にあったわけで、きっとその時は、
一体これは何なんだと、驚いたに違いない。
初めての黒色なんていうのは、想像する
だけで卒倒しそうだ。
今は何万回も見てきて慣れてしまっている
のだが。

 

言葉を持っていない時に、きっと、「怖い」
とか「うれしい」とか「奇麗」とかの
人間の感覚の初体験というものは、
ほとんど済ませてしまっているのであろう。
それを後から大ざっぱに、ことばで分類し、
自分の感情の伝達手段に使用しているが、
まあ、その感覚に近いってところで使って
いるだけで、ことばじゃ伝わらない部分って
のが九十九パーセントであろう。

 

だから、ことばを持つ以前の記憶ってのが、
その人の個性そのものであり、その人の宝
であると思う。

 

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