「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!
「臙脂色系」→「朱色系」
前回、赤坂という地名のもととなった
「紀国坂(茜坂)」からアカネのお話を
していて、ふっと思ったことがありました。
それは「茜色」という言葉が
示す色に関してのことです。
万葉の昔、朝日の出る頃の空の印象を
人は「茜さす」と表現しました。
本来の「茜色」とは、小豆の
皮のような色を指したそうです。
現在の私達は、むしろ夕焼けのような
朱色系を「茜色」だと思っていますが
(いない?)昔は臙脂色系だったと
知って納得という感じがしたのです。
「あかねさす」は「紫」の枕詞
「あかねさす 紫野行き標野行き
* 野守は見ずや 君が袖振る」
額田王(ぬかたのおおきみ)が
詠んだ万葉集の有名な歌ですね。
意味は、紫草の生えている野で、私に袖を
振っている姿を、野守にみられてしまい
ますよ、というような感じの歌。
「あかねさす」は「紫」にかかる枕詞です。
(「紫」だけではなく、「日」「昼」
「君」の枕詞でもあります)
「紫野」とは、紫の染料を取る紫草が
生育している場所で、宮廷の直轄地と
して保護されていました。
そこで、5月の節句の年中行事として「薬狩
(くすりがり)」が行われ、その後の宴会
の席で披露されたのがこの歌なのです。
臙脂色系ならば、納得!
「あかねさす」が「紫」の枕詞で
あることが、私自身はちょっと腑に
落ちないという気がしていました。
まあ、私が腑に落ちても落ちなく
ても、これは決まり事なのですが。
ただ「茜色」が本来表していた色
が、小豆の皮のような臙脂色系
だったら納得です。
上ー玄米
下の左ー小豆 右ーハトムギ
1 「あかねさす」→「紫」
2 「あかねさす」→「紫」
「あかね」と「紫」につけた色が
正確か否かは置いておいて、私には
2の流れより、1の色の移り変わり
の方が自然に感じられるからです。
実際の空の色は?
冒頭の写真をもう一度、御覧いただきましょう。
これは朝日が昇る少し前の
夜があけかかっている空の色。
あるいは、別の日でしたが
こういう感じの色になることもありました。
昼は「青空」、朝は「紫」?
夜明けの色は本当に様々で、必ずしも
毎日同じではありませんが、いずれに
せよ太陽が昇る日は、臙脂色から紫へ
と移る日が多いように思えます。
そしてその後、空の色は
青系になって行くのです。
現代人よりはるかに長い時間、空を眺めて
いたであろう人々は、枕詞のみならず多く
のことを、自然から写したように思えます。
とはいいましても以上のことは、あくま
でも私個人の勝手な感想に過ぎません。
「あかねさす」という枕詞が「紫」
にかかる、ということについての
本当のところは私は何も知りません。
ですが、太陽が出る前の空を愛おしく
眺めていると、なんとなくそんな気も
してくるのです。