勝った方がみかんの皮? 食べるものがない戦時中のこと

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

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 よく「聞く」こと

今日はお盆で、終戦の日ですね。
戦争中は食べるものがなかった
という話は、よく聞きます。

 

先日読んだ本で、それに関することで
驚いたことがありましたので、
今日はそのお話を。

 

著者は,お茶の先生でもあり文筆家
でもあった三田富子さんという方です。

 

 

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ジャンケンで勝った方が、みかんの皮?

三田富子さんは、戦時中は十代の終わり
か二十歳位だったと思われます。

 

食べ物に苦労していた戦時中のこと。
ある時、三田富子さんは珍しく、みかん
を一つ手に入れることができました。

 

彼女はそのみかんを、
弟さんと食べようとします。
その時、弟さんが言いました。

 

「みかんの実と皮にわけて
ジャンケンで勝った方が好きな方
を取ろう」と。

 

彼女は内心、皮の方がいいなあ、と思い
ながら弟さんとじゃんけんをすると……、
残念ながら、負けてしまいました。

 

 

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「読んだ」こと

ここまでのお話で、皆さんは
どう思われましたでしょうか?
私には不思議に思えてなりませんでした。

 

なぜなら、ジャンケンで勝った方が実を
食べるのではなく、「皮」なのですよ。

 

彼女が内心、皮の方がいいと思ったのは、
弟さんに実を譲ろうとしてのこと
だったのでしょうか。

 

先を読んでいくうちに
意味がわかってきました。

 

驚いたことに、二人とも実ではなく
本当に皮が食べたかったのです。

 

 

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実際の「体験」

その理由は、食べるものがない月日が
長く続いたせいで、それほどまでに
「噛む」ことに飢えていたからだそうです。

 

夏みかんやオレンジではない、普通の
みかんの皮など、噛みごたえがあるとも
思えませんし、苦いばかりであまり
おいしいとも思えませんが。

 

それでも、皮が欲しかった、
皮が噛みたかった、というのは
私にとっては衝撃でした。

 

私は戦時中は食べ物がなかった
ということは、何度も聞いたり
読んだりして、知っているつもり
でいたのです。

 

しかし、それは所詮、単に頭で考えた
ことに過ぎず、実際にそれを経験した方
の実感とは、ほど遠いものなのだ
ということを思い知らされました。

 

そして、そのような体験をする人が
今後、2度とでないように祈るばかりです。

 

 

 

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