世界で一番大きな葉「オオオニバス(大鬼蓮)」

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世界一大きな葉に関しては異論がないよう

木や、花とは異なり、葉っぱに関しては
直径が1.5〜2.3mにも及ぶというスイレン科
の中で最も大きな「オオオニバス」が
「世界最大の葉」といわれています。

 

ブラジル、アマゾン流域やパラグアイ、
アルゼンチンに自生する一年草の水生植物。

 

科 名  スイレン科 Nymphaeaceae
属 名  オオオニバス属
    Victoria Lidley (1837)
学 名  Victoria amazonica
英 名  Amazon water lily,
    Amazon water-plattter, royal water lily
原産地  南米アマゾン地方

 

漢字の「大鬼蓮」は、日本で自生している
「オニバス(鬼蓮)」よりも大きいことから
つけられましたが、英名の「royal water lily」
と比べちょっとゴツすぎでかわいそうですね。

 

 

 

 

 

ビクトリア女王に捧げられた花

1801年に、南米でオオオニバスが発見されて
以来、ヴィクトリア朝の園芸家達はイギリスに
持ち帰った種子の栽培にこぞって挑戦しました。

 

そのうちの一人、デボォンシャー公に仕えて
いた造園家のジョセフ・パクストンが、オオ
オニバスの種子がイギリスにもたらされて
から約50年後の1849年、開花に成功。

 

その花は、当時のビクトリア女王
( Queen VictoriaーAlexandrina Victoria Wettin
1819〜1901)に捧げられました。

 

学名の「ビクトリア・アマゾニカ(Victoria
amazonica)の「ビクトリア」は女王に因み、
「アマゾニカ」はアマゾン川に自生すること
を意味しています。(『植物の世界』)

 

 

 

 

 

20kgまでの子どもなら乗れます

あまりに巨大な葉ゆえでしょうか、最大
200kgまで耐えられるなどと書いてあるもの
もありますが、そこまでは無理なよう。

 

でも20kgほどならば大丈夫で、小さな
子どもでしたら余裕で乗ることができます。
鳥が巣を作り子育てをすることもあるそう。

 

葉っぱ自体に撥水性はありませんが
葉の縁が一部切れているため、水が溜ま
らず、落ちるような構造になっています。

 

また、葉の縁の立ち上がりですが、これは
生育時に光線不足だと立ち上がりがなく
平らな葉っぱになってしまうそう。

 

後から日を当てても立ち上がる
ことはないということです。

 

 

 

オオオニバスの白い花(1日目)

 

 

初日は香り高い白い花

上の写真の左手前に見える白い花が
開花1日目のオオオニバスの花で
直径は20〜40cmほど。

 

私のイメージするハスの花より
花びらが多いような気もしますが
(八重蓮?)純白で美しいですね。

 

開花は、なんと夜で白い花の初日は
香りが高く、それに誘われた虫が
花の中にもぐりこんで食事を始めます。

 

翌朝、花はゆっくりと閉じて虫は
中に閉じ込められてしまうそう。

 

 

開花2日目のピンク色のオオオニバスの花

 

 

 

2日目はピンク色 3日目は水中に

そして2日目の夜、再びオオオニバス
の、今度は白からピンクに色を変え、
ほとんど香りのない花が開きます。

 

すると虫は解放され、新しい花に
向かいますが、その行く先は白く
香りの強いオオオニバスの花です。

 

花は、3日目に水中に沈み、そのまま
タネができるそうですが、なんとも
幻想的な色と香りで彩られた夜々です。

 

と夢のような美しい花が沈んだ先のオオ
オニバスの葉の裏側が、次の写真です。
表情が全く違いますね。

 

 

オオオニバスの葉の裏側
(写真/「世界の植物」)

 

 

 

実は全身トゲだらけ

裏面は、網目になった太い葉脈と
鋭いトゲに覆われています。

 

葉の表面と花、根以外は全身トゲだらけ
ですが、これは魚に食べられるのを防ぐ
役目を果たしていると考えられています。

 

クモの巣のように張り巡らされた太い
葉脈の間には、空気が溜まって葉を
浮かせる役目をしています。

 

また、葉脈自体も中が海面状になって
いて浮き葉、「浮き袋」状態。

 

 

 

 

この頑丈なクモの巣葉脈の構造が骨組みに
なることで、オオオニバスの葉の重さを分散
し、水面に浮く巨大な葉を支えているのです。

 

この葉の中央にある葉柄は、10mほどの
長さで水中の茎につながっています。

 

この葉柄はストロー状で中は空洞。
空中の酸素を根まで送るパイプの
役割を果たします。

 

 

 

 

 

1株の寿命はわずか10か月

オオオニバスの仲間のパラグアイオニバス
のある北大農学部附属植物園によりますと
オオオニバス類は成長が早いそうです。

 

1週間に1枚の割で葉が出てきて、水面に
出てきた葉の芽(?)はおよそ1週間で
全開、寿命は1〜2か月。

 

また、1つの株の寿命もわずか10か月程度
なので、次々とタネを蒔いて育てておき、
古くなったものとかえるようです。

 

何しろ巨大ですので、枯葉1枚の移動も大変
なようで、庭に大きな池があったとしても
簡単に栽培できるものではなさそうですね。

 

 

 

 

 

1851年 ロンドン万博

先ほど、1801年に発見されたオオオニバス
のタネがイギリスに持ち帰られ、1849年
に開花に成功したことを書きました。

 

オオオニバスの花が開花し、エリザベス
女王に捧げられた2年後、ロンドン初であり、
世界初でもある万博が開催されています。

 

開催1年前に会場についてのコンペが
行われましたが、245もの案がだされた
ものの決定打はありません。

 

王立博覧会委員会も独自のプランを
発表しましたが、巨大なレンガ造り
の建物は不評でした。

 

1801年 オオオニバス発見 タネがイギリスに
1849年 多くの園芸家が挑戦する中、園芸家の
   ジョセフ・パクストンが開花に成功
1951年 第1回ロンドン万博

 

 

 

 

 

「水晶宮」

デヴォンシャー侯爵邸の庭園技師で、数々の
温室を設計したジョセフ・パクストン
(Joseph・Paxton)の案が持ち込まれます。

 

重苦しいレンガ造りの建物とは異なり
ガラスを多用した明るく美しい建物案は
大きな賛同とともに採用されました。

 

当時の最新技術であった鉄とガラスを使い
工場で作られた部品を現地で10か月(7か月
説も)で仕上げるプレハブ工法の建物。

 

長さ約563m、幅124mほどの幕張メッセ
とほぼ同じ大きさの、温室のような建物
が完成しました。

 

美しい建物のニックネームは
「水晶宮(クリスタルパレス)」。

 

 

 

 

園芸家でもあり建築家でもあったパクストン
が水晶宮を作るにあたって参考にしたのが
彼が開花に成功したオオオニバスでした。

 

オオオニバスの巨大な葉を支える葉脈の
構造と葉柄の如く、30万枚ほどのガラス
をオオオニバスの葉脈のように交差した
鉄筋の支柱に埋め込みます。

 

屋根を直接支える骨組みの部分には、オオオニ
バスの葉柄のようなパイプ状の鉄柱を使用する
ことで、骨組みと鉄柱が雨水を集めて流す雨樋
としての役目も果たしました。

 

 

 

 

 

ジョン・F・ケネディ空港にも

万博終了後も取り壊しを惜しむ声が多い
ため1854年、水晶宮はにロンドン郊外の
シデナムに移設されることになりました。

 

植物園、博物館、コンサートホール等に
生まれ変わった施設は人々に親しまれ
1862年には、日本からも福沢諭吉と文久
使節団が訪れています。

 

しかし残念なことに1863年、火災に
よって消失し現在は公園となっています。

 

 

 

 

それから1世紀後、1960年に建設された
ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際
空港のジェット機専用ターミナルビルの屋根は、

 

オオオニバスの葉の形にデザインされ
支える骨組みにはオオオニバスの葉脈構造
が取り入れられているということです。

 

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