「タンニン」って何? 柿の渋も、栗の渋皮も「タンニン」

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「タンニン」はフラボノイド系ポリフェノール

前回、柿は本来は渋柿で、甘い柿は突然変異種と
考えられていること、また渋柿のシブというのは
「タンニン」ということでした。

 

「タンニン」とは植物界に広く存在している
ポリフェノールの一種です。

 

ポリフェノールという言葉はよく聞きますが
これは自然界に存在する苦み、渋み、色素成分
のことで、その種類は5000以上にものぼるそう。

 

 

ヨーグルトに入れたブルーベリー

 

「タンニン」は、フラボノイド系の
ポリフェノールで、ブルーベリーに含まれている
アントシアニンなどと同じ仲間です。

 

 

 

「タンニン」の語源

「タンニン」という名前は、「皮を鞣(なめ)す」
という意味の英語「tan」に由来する言葉で
本来の意味は、製革につかう物質のことを
指す言葉なのだそうです。

 

下の絵は、皮を鞣す方法を
表したエジプトの古代壁画です。
(テーベン壁画) 澤山 智「鞣製学」より )

 

 

ejiputokawanamesi-400x196(「日本皮革技術協会」)

 

 

話は違いますが、今回「なめ(鞣)す」という
漢字を初めて知りましたが、「革」に
柔らかくする、の「柔」と書くのですね。

 

 

 

「タンニン」は植物を守っている

なぜ植物が「タンニン」を持っているかといえば、
それは動物や昆虫に食べられないためや、病原菌による
感染、また紫外線や活性酸素等から身を守るためです。

 

木の部分や樹皮、枝、葉っぱ、実、サヤ、根と、
色々な部分に「タンニン」は含まれていますが、
果実の場合は、熟すに従って「タンニン」の
含有量が少なくなっていきます。

 

 

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渋皮が剥きづらい和栗

前回は柿で、その前は栗でしたが、栗の実にも
「タンニン」が含まれている部分がありますね。
そう、栗の実とかたい皮(鬼皮)の間にある渋皮です。

 

世界の5大栗の中で、和栗は大きくて風味も良いの
ですが、渋皮が実にぴったりと張り付いて剥きづらい
ので天津甘栗には向かないということでした。

 

 

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「タンニン」が沁みだし接着剤となる

栗は、実っていく最後の方で「タンニン」
を含む細胞が増殖します。
和栗の「タンニン」細胞の含有率は
他の種の栗よりも多いのが特徴です。

 

そして栗の実が木から落ち、渋皮の水分が
蒸発すると「タンニン」細胞が壊れて
「タンニン」が沁み出してきます。
それが実と渋皮を接着する働きをするのです。

 

天津甘栗に使われる中国栗やヨーロッパ栗は
この接着物質がほどんどないため、実と渋皮の
間は離れていて剥くのが容易なのです。

 

 


やまえ堂「栗の渋皮煮」

 

 

 

 やまえ堂「やまえ栗渋皮煮」

今日の最初の写真は、赤坂Bizタワーにある
紀ノ国屋アントレで買った栗の渋皮煮です。

 

こんな風に一つずつ真空パックになっています。
熊本県の球磨郡山江村で採れた栗を使って
やまえ堂というお店が作った「やまえ栗渋皮煮」。

 

栗の渋皮煮はアクを出してありますので
渋皮がついたこのままを頂くのですが
まったく渋みを感じない美味しい栗でした。

 

 

やまえ堂「栗の渋皮煮」
渋皮がついているのに、ちっとも苦くない!

 

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柿は本来、渋柿が基本で甘柿は突然変異種(!) 

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「筆柿」

毛筆の穂先に似ているところからつけられた
「筆柿」は、愛知県幸田町周辺の特産品です。

 

「筆柿」の原木は、幕末の頃に植えられたもの
といわれ、樹齢150から200年と推定されています。

 

1つが100グラムほどの小さめの柿。
「筆柿」は不完全甘柿品種といって、一本の木に
甘い実と渋い実が同時になるそうですよ。

 

このため渋い実は選別機で選り分け
渋を抜いてから出荷します。

 

 

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甘柿は突然変異種

いままで私は、柿は甘いもので渋柿ははずれ
と思っていましたが、柿というのは本来は
渋柿であり、甘柿は突然変異種なのだとか。

 

日本には1000を超える柿の品種がありますが、
この中で完全甘柿は17しかなく、この中から
選ばれ栽培されるようになった柿が
最も有名な「富有柿」と「次郎柿」。

 

柿は「甘柿」と「渋柿」という2つの区分け
ではなく、実は4つに分類されるそうです。

 

 

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1 完全甘柿

種の有無にかかわらず全く渋みのないもので、
先ほどの「富有」「次郎」に加え、「伊豆」
「前川次郎(まえかわじろう)」「松本早生富有
(まつもとわせふゆう)」「太秋(たいしゅう)」等。

 

 

 

2 不完全甘柿

種子が作られるとその周辺に、いわゆる「ゴマ」
と呼ばれる褐班が生じて、甘柿となるもの。

 

 

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ですから、種子が入らなかったり、入っても
少なかったりすると、渋い部分が残ってしまいます。

 

品種としては「西村早生(にしむらわせ)」
「赤柿(あかがき)」「久保(くぼ)」
「甘百目(あまひゃくめ)」「筆柿(ふでがき)」等。

 

 

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3 不完全渋柿

2と同様、種子の近くはゴマが入り
甘くなりますが、そのまわりと柿の実全体
としては渋く感じられる柿のこと。

 

「平核無(ひらたねなし)」
「会津身不知(あいづみしらず)」
「甲州百目(こうしゅうひゃくめ)」
「刀根早生(とねわせ)」、今日の「筆柿」等。

 

 

 

4 完全渋柿

そして最後は種子の有る無しにかかわらず
ゴマが生じない渋柿。
「愛宕(あたご)」「西条」等です。

 

 

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柿の渋みはタンニン

こうしてみてみますと、柿の渋みを感じるか
否かは、種子のまわりに出来るゴマ(褐班)
が作用しているようです。

 

柿の渋は「タンニン性物質 シブオール」ですが
これが消えてしまうか、水溶性→不溶性になる
渋みを感じなくなります。

 

この「不溶性」になるという意味は、
唾液に溶けずに固まったものをいうのですが
これを「ゴマ(褐班)」と呼びます。

 

 

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不完全渋柿を甘柿に変化させる

この柿は、「3不完全渋柿」の平核無柿ですが
右が何もしないそのままのもの。

 

 

w18b「紀ノ川柿」と「平核無柿」(写真/「近畿農政局」)

 

 

左はまだ色づかない平核無柿の実に
固形アルコールの入った袋を被せて作ったもの
ですが、ゴマが沢山入り甘くなっています。

 

ゴマ入りも平核無柿なのですが
甘く加工したものは「平核無柿」とは呼ばずに
「紀ノ川柿」と呼ぶそうです。

 

 

 

「渋を抜く」とはタンニンを変化させること 

甘柿にもタンニンが含まれているのですが
熟すに従ってタンニンが水溶性→不溶性に変化
するため渋みを感じなくなります。
(酸化して褐班となり黒ごま状に固まる)

 

焼酎に漬ける等、柿の渋を抜く方法は様々ある
ようですが、「渋を抜く」といっても
実際は渋を取り除いているわけでも
糖に変わっているわけでもないのですね。

 

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