「ナツメ」と「ナツメヤシ」の違い

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161025natsume

 

 

今日が本当のナツメ

前回「ナツメ」を御紹介するつもりで「ナツメヤシ」
を買ってしまった私は、両者が別のものだ
ということを知りませんでした。

 

今日こそ、ホントの「ナツメ」の御紹介です。
「ナツメヤシ」はヤシ科ナツメヤシ属の木でしたが
「ナツメ」はクロウメモドキ科ナツメ属で落葉広葉樹。

 

英語では「Jujube(ジュジュベ・ジュジュブ) 」、
あるいは「Chinese-date(チャイニーズデーツ)」
といいますので、英語でも、中国のデーツ
(ナツメヤシ)という名前なのですね。

 

 

 

クロウメモドキ

ところでナツメヤシのヤシ科、というのは
わかりますが、「ナツメ」のクロウメモドキ科
クロウメモドキってどんな木でしょう?、
と調べてみましたら、なんと毒草だとか。

 

 

kuroumemodoki可愛い黒い実がついているけど毒草の
「クロウメモドキ」

 

 

毒のある部分は「全草」と「果実」
とありますから……、結局、全部ですやん。

 

毒の成分はアンスロン(Anthrone)
というそうで、症状は嘔吐。

 

いや〜、コワイですね、山の中で見つけたら私など
「あっ、グミだ!」とか言って食べてしまいそう。

 

ちなみに「クロウメモドキ」を漢字で書くと
「黒梅擬」、黒い実は「そりし(鼠李子)」
といって漢方で使うそうです。
まあ、薬と毒は紙一重ですから。

 

それにしても「黒梅擬」という字面といい
「そりし」という音といい、なんやら
全てがコワイ雰囲気を漂わせていますね。

 

 

natsumeナツメの実(写真/「二十世紀ひみつ基地」)

 

 

 

名前の由来

と肝心の「ナツメ」に行く前の、クロウメモドキ科に
寄り道をしてしまいましたが、ナツメの学名は
「Zizyphus jujuba var.inermis」で、

 

こちらもクロウメモドキ同様、生薬として使いますが
その時の名前は「大棗(たいそう)」
「紅棗(こうそう)」「黒棗(こくそう)」。

 

漢字では「棗」ですが、名前の由来は夏に新芽が
出るから「夏芽」、あるいは夏に実が成る
「夏実」が変化したものともいわれます。

 

もう一つ、「抹茶入れの棗に果実の形が似ているから」
と書いてあるものもありましたが、これは反対ですよね。
「ナツメの果実に形が似ているので棗と名づけた」
が正しいと思います。

 

 

161025natsumetyaki茶器の「棗(なつめ)」

 

 

 

古くから書物に登場

「ナツメ」は日本全国で栽培されていますが
原産地は南ヨーロッパかアジア西南部といわれ
中国にも自生しています。

 

紀元前8000年頃の中国の遺跡にも、ナツメ栽培の痕跡
が見られ、現在の新疆ウイグル自治区あたりでは古代
から貴重な食料、栄養源として重宝されていたようです。

 

中国最古の薬物書『神農本草経』(後漢時代頃に成立)
には、ナツメ(大棗)は上品に分類されて
「久しく服すれば身を軽くし、年を長くする」
と記載され、

 

桃(モモ)、李(スモモ)、杏(アンズ)、
棗(ナツメ)、栗(クリ)の5つを「五果」
として五臓を養う働きがあるとされていました。

 

 

blog_import_5153648680ff4アンズ(杏)

 

 

「ナツメ」がいつ日本へ伝来したかはわからないそう
ですが、7世紀後半から8世紀後半の和歌集である
『万葉集』に「ナツメ」を詠んだものがありますので
奈良時代以前には既に伝来していたと考えられます。

 

また、養老律令の施行細則を集大成した法典
『延喜式(えんぎしき)』(927年)にも、乾棗
(ほしなつめ)や大棗(たいそう)という
名前が出ていることからわかるように
すでに生薬としても使われていました。

 

 

 

サクサクとした食感

「ナツメ」は低木から、10メートルほどになる木まで
あり、5月から7月にかけて淡い黄色の小さな花を葉の
脇に数個ずつつけ、8月中旬頃から10月あたりで収穫。

 

果実は楕円形で2センチから4センチほど。
最初は淡い緑色をしていますが
熟すにしたがって暗い赤になります。

 

生でも食べると、サクサクとしたリンゴかナシのような
食感で、ほんのりとした酸味とともに甘みがあるそう。
その感じは、ドライフルーツになっても
うっすらと感じられました。

 

 

natume04m生のナツメの実

 

 

 

漢方薬では大棗(タイソウ)

今回ネットで購入した「ナツメ」は、お砂糖が
加えてあるものですが、漢方薬で使われる
干しナツメにはお砂糖は使われていません。

 

中国や韓国では古くから、干しナツメの効果が
発見されて、大棗(タイソウ)と呼ばれる
漢方薬として薬膳料理に使われています。
効果としては強壮、鎮痛、補血、利尿。

 

韓国料理のサムゲタンにも入っている大棗(タイソウ)
は4、5日天日干しにして表面にシワが入ったら
15〜20分ほど蒸し、その後、再び天日干しを
数日して乾燥したら出来上がり。

 

漢方薬などというと作り方が大変なのかと
思いましたが意外と簡単に作れるようですね。
こうして干したナツメは、生よりも
甘みが強くなるということです。

 

 

161025natsume漢方でない方の「ナツメ」中国産

 

 

 

プルーンよりすごい?

鉄分といいますとプルーンが有名ですが
100グラム当たりの含有量を見ると、プルーンが
1.0ミリグラムであるのに対して、乾燥ナツメは
1.5ミリグラムとかなり多く含まれています。

 

ナツメに含まれる葉酸は「増血のビタミン」
と呼ばれる水溶性ビタミンの一種で
ビタミンB12とともに赤血球を作ります。

 

葉酸はプルーンが3μg(100グラム当たり)
レーズンには9μg含まれていますが
ナツメは140μgと桁違いに多く含まれています。

 

 

130210purunドライプルーン

 

 

 

パントテン酸

炎症を起こした場所に発生する過剰な活性酸素を
除去するサポニンなどの抗酸化物質、パントテン酸
(水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB5とも
呼ばれる)も多く含みます。

 

パントテン酸は副腎皮質ホルモンの合成を
助け、不足するとアトピーや、喘息、花粉症、
アレルギー性鼻炎などの症状の原因ともいわれます。

 

パントテン酸は食品から摂取する以外には、腸内細菌
でも合成されるものですが、腸内フローラが乱れて
いたり、アルコールやコーヒーをよく飲む人は、不足
がちですのでナツメを意識してとるといいですね。

 

(私は花粉症意以外、全部当てはまるり、コーヒー
もよく飲むので、ナツメを食べます!)

 

 

150527rosenthalmatekiアルコールやコーヒーを飲む人にもナツメはおすすめ

 

 

 

睡眠誘導、副作用の緩和

その他、オレアミド(オレイン酸アミド)という睡眠を
誘導すると考えられている成分も含まれているそうです
ので、不眠症や精神安定にもよい影響を与えそうです。

 

また、漢方の考え方としては、ナツメと生姜と組み合わせ
ることにより、副作用の緩和にも効果を発揮するそうです。

 

中国に古くから伝えでは、中高年女性の
様々な悩みを和らげる和漢として
ナツメ、生姜、桂皮(シナモン)があります。

 

特にナツメは「ナツメを1日に3粒食べると
若々しくいられる」という言葉も中国にはあり
楊貴妃も欠かさず食べていたとか。

 

 

161022natumeyasiナツメヤシ(デーツ)

 

 

 

「ナツメ」と「ナツメヤシ」の違い

     ナツメ       ナツメヤシ
  _______________________

分類
クロウメモドキ科ナツメ属  ヤシ科ナツメヤシ属
    落葉広葉樹        常緑高木

和名
    ナツメ(棗)    ナツメヤシ(棗椰子)

英名
  Jujube, Chinese date  Date Palm, Medjool

原産地
 南ヨーロッパか       北アフリカから
 アジア西南部        ペルシャ湾沿岸

産出国
      中国        エジプト、イラン、
                サウジアラビア等

開花
    5月〜7月         3月〜5月

収穫時期
   8月中旬〜10月       10月〜12月

実の大きさ
    2〜4センチ        3〜7センチ

味の特徴
    サッパリ系       ねっとりした甘み

 

 

161025natsumeナツメ

 

 

 

栄養成分

             ナツメ     ナツメヤシ
熱量(kcal)        287      281
脂質 (g)          2       0.4
ナトリウム(mg)        3       2
カリウム(mg)        810        656
炭水化物(g)        71        75
タンパク質(g)        3.9       2.5
ビタミンC(mg)       1       0.4
カルシウム(mg)      65       39
鉄(mg)          1.5         1
マグネシウム(mg)     39       43

 

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