マジョリカ焼(英語・Majolica、イタリア語・Maiolica)

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

 

 

ルネッサンス期のマジョリカ焼

ヨーロッパではザクセンのアウグスト強王の命により
ベトガーが、1710年頃に白磁を完成しましたが
「マイセンが白磁作りに成功するまで」)その他
にも憧れの白磁を作ろうと挑戦した人々がいました。

 

例えばルネッサンス期のイタリア人。
彼らはイタリアの伝統工芸の技術をもって磁器製造を
試みますが、残念ながら成功には至りませんでした。

 

ルネッサンス期のイタリアでは、千年以上前に
古代ペルシャで作られ、イスラム勢力の拡大と
ともにスペインに広まっていた陶器が、マジョリカ島
経由でシチリアにもたらされていました。

 

器作りには成功しませんでしたが、それらの技術は
マジョリカ焼の発展に生かされることになります。

 

 

 

 

 

「マジョリカ」の由来は?

「マジョリカ」という名前の由来は、
スペインからくる陶器の積み替えを
マジョリカ島で行ったからといわれています。

 

これは日本の有田焼が、伊万里港から
積み出されたので「伊万里焼」と称する
ようになったというのと似ていますね。

 

ただしもう一つ別の説もあって、そちらは
スペイン語の「 obra de Malaga、マラガから
(きた)食器」が語源というものです。

 

 

ロイヤルデルフトのお皿 デルフト焼き オランダ

 

 

 

イタリア各地で焼かれている「チェラミカ」

名前の由来はともかく、イタリアに入ってきた
マジョリカ焼は、ルネッサンスの新風の中で
洗練され、生まれ変わった後にフランスやオランダ、
イギリスなどへと広がっていきました。

 

そのためにスペインでは「マジョリカ」、
イタリアでは「マヨルカ」、
ポルトガルでは「アズレージョ」、
オランダでは「デルフト(ファイアンス焼)」
なと様々な呼び方をされます。

 

陶器を英語では「セラミック(ceramic)」
といいますが
イタリア語では「チェラミカ(ceramica))」。

 

磁器の方は英語で「ポーセリン(porcelain)」で
イタリア語では「ポルチェラーナ(porcellana)」
と呼んでいます。

 

 

マジョリカ焼のお皿(写真/「ceramica spumo」)

 

 

 

錫釉陶器

イスラムからきた美しい陶器を見たイタリア人は
それを再現しようと試みて、釉薬に
スズ(錫)を用いるようになりました。

 

マジョリカ焼の作り方を簡単に説明しましょう。

 

1 成形して焼成(1000度以上) 素焼きの状態
       ↓
2 ガラス質の不透明な白いスズ(錫)釉を掛け、
 その上に絵付けをして2度目の焼成(850〜970度)

(絵付けをした後は釉をかけずに焼成しますが、近年は
透明釉をかけることもありこれを「 smalto」といいます)

 

 

ウォルター・ポッセ(Walter Bosse)のマジョリカ焼のウサギ
実はこれ、私のマジョリカ焼のイメージとちょっと違う
のですが、かわいいので(写真/「Nottin Antiques」)

 

 

 

錫釉陶器

マジョリカ焼の特徴といえば釉薬にスズ(錫)
を使う「錫釉」陶器だということです。

 

15世紀以前のイタリアでは、アフリカから伝わった
「鉛釉」陶器がシチリアを中心に作られていました。
その頃の陶器の色は、マンガンの紫と銅の緑のみ。

 

この新しい白いキャンバスにコバルトの青、
酸化鉄の黄土色に近いオレンジ、アンチモンの黄色
というような多彩な色彩が踊るようになりました。

 

 

うちの(多分)マジョリカ焼

「マジョリカ焼」と聞いて私が思い浮かべる
ものも、やはり鮮やかな色彩ですね。
それがおおらかな図案にのせられているお皿。

 

マジョリカ焼は食器以外にもタイルや傘立て
のようなちょっと大きめなものにもぴったりです。

 

実はこの写真のフタ付きの小さな容器も
マジョリカ焼だと思うのですが……。

 

 

本体の後ろと、フタの一部に見える土の色

 

 

 

桜梅桃李

かなり前にいただいたもので忘れてしまい
ましたが、どこか(!)の国のおみやけでした。
この小ささでフタ付きということは
お塩入れでしょうか?

 

ご覧の通りに白い肌にピンク色と茶色で模様が
描かれていますが、本体の裏と蓋の裏側には
一部、釉薬がかかっていない地の色が見えます。

 

このように地の土の色が、スズ(錫)釉を掛ける
ことにことにより真っ白な表面になるのです。

 

中国の景徳鎮の白い磁器に憧れたヨーロッパの
人々は、その白い色がマジョリカ焼のような
釉薬の色ではなく地色であり、透き通るような
肌質であることを知って驚きます。

 

 

「色絵魚介文鮑形鉢」〔天啓赤絵〕
明時代 17世紀前半 幅27.0㎝
日本民藝館

 

 

 

フタが凄いよね

たしかに「土もの」とは違って硬質な磁器
「石もの」は澄んだ透明感のある美しさを持っています。
ですが「土もの」の味わいも格別で桜梅桃李ですよね。

 

趣味に合わないものを所有するのが苦手な
私はものをいただくのが好きではなのですが
このマジョリカ焼の器は大切にしています。

 

手に収まってしまうほどの小さなコロンとした形も色も
気に入っていますが、一番驚いているのはフタの作り。
合わさる部分が一直線ではなく、波々としているのに
フタをすると隙間なくピタッと収まるのです。

 

 

フタをすると、全く隙間がなくピッタリ!

 

 

ルネッサンス期のイタリア人が作れなかった
白磁は、それから100年以上経た18世紀に
マイセンで生まれました。

 

ルネッサンス期に貴族達に愛されたマジョリカ焼は
現在でもイタリアの各地で焼かれて愛されている陶器。
優しい肌触りのマジョリカ焼にも
捨てがたい魅力を感じます。

 

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