ひきこもり 4 若者の自立を助ける「レンタルお姉さん・お兄さん」

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

 

 

「レンタルお姉さん」

今日、御紹介するのはひきこもりの人の
もとに訪れて、共に話しあう方法で問題を
解決していこうという取り組みです。

 

BBC News JAPAN 、2019年
1月29日の記事からです。

 

「認定NPO法人ニュースタート事務局」が
運営する「レンタルお姉さん・お兄さん」
千葉県を拠点としていますが
訪問は全国に対応しています。

 

(郵便番号272-0122
千葉県市川市宝2-10-18
ニュースタート行徳センター
Tel.047-307-3676)

 

 

 

 

 

「相手に合わそうという気持ちが相手に伝わる」

ひきこもりには、もちろん女性もいますが
その多くは18〜35歳の男性です。
親が世間体を気にしたりして隠すことが多く
適切な支援が受けられないこともあります。

 

ニュースタートという団体が考え出した
「レンタルお姉さん・お兄さん」として活動
する人は、医療的な資格はもっていません。

 

週1時間の訪問を1ヶ月行い、10万円の
報酬を受ける彼女らの仕事は、ひきこもり
の人を通常の生活に戻すことです。

 

十年以上も「レンタルお姉さん」を続けている
彩子さんは、技術というよりは、自分が相手に
合わそうとする気持ちが相手に伝わると言います。

 

 

 

 

 

自宅からは出ることができた健太さん

20代後半の健太さんの回復を半年前
から手伝う彩子さんは、健太さんの
両親から週2回の依頼を受けています。

 

健太さんは自宅からは出られましたが
まだ定職につけていない状況です。
信頼を築き、回復が始まるまでに半年
から2年ほどかかることもあります。

 

健太さんは男性にしては声が
高かったこともあり、男友達から
「お前は男なのか、女なのか」
などと言われていたそうです。

 

ひきこもっている時には、精神科で
もらった薬を服用していました。

 

 

 

 

気持ちが悪く、毎日泣いていて親を責め、
どうしようもない気持ちで暴れたりして
警察のお世話になったこともありました。

 

昼夜逆転の生活で夜中に
ゲームをする日々が続きました。

 

ひきこもりになる原因というのは複雑で
必ずしもはっきりしていないようです。

 

健太さんのようにいじめが原因となる
こともありますし、うつからのくるもの、
また親や学校、仕事がプレッシャーで
なることもあるといいます。

 

 

 

 

 

健太さんにとって「レンタルお姉さん」は

「会うのがとても楽しいです、
一緒に食事に行ったり、散歩をしたり
支えられてるなって思います」

 

「いてくれるだけで心強いし、一人でいる
時と全然気持ちが違って元気をもらえます」
といいます。

 

しかし彩子さんによれば、レンタルお姉さん
といて楽しいという人は、かなり珍しいとか。
彩子さんは、健太さんがそろそろ自分を
必要としなくなるのを期待しています。

 

健太さん
「会えなくなるのは寂しいですけど
自分がちゃんと働けるようになり
安定した頃かなと思います」

 

 

 

 

 

途方にくれる父

親の立場の晴人(仮名)さんは、
子どもが10代でひきこもり、20年たっても
ほとんど部屋から出てこない状態でした。

 

ある日、突然学校に行かなくなり、それでも
最初は時々漫画を買いに出たりもしましたが
その後は全く外出しなくなってしまいました。

 

「どうしたらいいかわかりません、
打つ手がありません」
「母親が死んでも息子は変わらなかった
ので、この先希望はありません」

 

「息子が暴れて窓を割ったり
妻を殴ってあばらを折り、警察呼ぶしか
なかったことも2.3度あります」

 

という晴人さんは、レンタルお姉さん
を試してみることにしました。

 

 

 

 

 

ベテランの敦子さんが担当

15回ほど訪問したものの部屋から出て
こないので、ドア越しの会話をしまし
たが、これはごく普通の反応だそうです。

 

敦子さんは長い手紙を書いて
ドアの下から入れます。

 

上からの、先生のような感じでは
なくお姉さん、近所の人のように
「軽い感じで心配している優しい存在」
で接することを心がけています。

 

 

 

 

暴力を振るわれることは滅多にありま
せんが、敦子さんはいつも、不測の事態
を忘れないようにしています。

 

ひきこもりの人は落ち着いて部屋にいる人
が多いですが、中には他人が来ると不安に
なったり暴力的になったりする人もいます。

 

以前、敦子さんは首を掴まれ
警察に通報したこともありました。

 

 

 

 

 

精神科医・斎藤環さんの言葉

「ひきこもりはよくある問題です。
日本のホームレスは1万人以下と外国より
かなり少ないですが、代わりに日本では
ひきこもる人が約100万人います。
日本ではこうやって社会から
排除されるのだと思います」

 

ひきこもりは、英米、イタリア、韓国
でも問題になりつつあります。
経済的成功を求められる圧力に、若者が
押しつぶされるようになっている現状、

 

「ひきこもりはひどい怠け者だと思われ
がちで、ひきこもりは犯罪者予備軍だと
思う人もいますが、そんなことはありません。
統計的に違います」

 

 

 

 

 

ニュースタートの寮

自活をすることが、回復にとって重要
ですが、自分の部屋は出られても
社会復帰はまだ無理だという人のため
にあるのがニュースタートの寮です。

 

家賃を払いパートタイムで働き、NPOの
ボランティアをしなくてはなりません。
携帯電話も禁止で、テレビも決まった部屋
で見るだけ、もちろんゲームもダメです。

 

18年間における寮のなかで、1年以上滞在
したのは2000人、うち8割が独立しました。
そのうちの1人、現在30代半ばの郁男さんは、

 

 

 

 

「寮の生活が転機になりました。
引きこもっていた時期は部屋で
一人でゲームとテレビ漬けでした。
自分や社会に対する怒りで
どうしようもない自暴自棄でした。
ニュースタートの寮に行ったのは
親の家にいたくなかったから。
深く考えず、ただ両親から離れたかった」

 

寮でのボランティアで知り合ったのが
先ほど紹介したレンタルお姉さんの彩子さん。

 

彩子さんは、郁男さんにレンタル
お兄さんになるよう勧めます。
そして二人は結婚しました。

 

 

 

 

 

ひきこもりの人の持つ長所

彩子さんはいいます。
「ひきこもったことのある人には
大事な長所が色々あります。
確かに決まった枠組みの中で働くのは苦手
かもしれないけれど、社会を公平な目で見て
いて女性に対して優しい目線を持っています」

 

ひきこもりの実態調査はまだ不十分です。
これまで、レンタルお姉さん・お兄さん
の助けで社会復帰した人は約3000人。

 

しかし日本で引きこもる人の
多くはまだ孤立した状態にあります。

 

スポンサードリンク