「優曇華」の花は、クサカゲロウの卵?

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三千年に一度咲く「優曇華」が咲いた?

ここ数年、仏教経典(『法華経』)で如来が
出現する時に咲くといわれている「優曇華」
の花が咲いたというニュースを目にします。

 

「優曇華」の前には枕詞のように「三千年に
一度咲くという」とつきますが、ということは
三千年に一度しか開花しない優曇華が、最近
次々に咲いているいうことなのでしょうか?

 

以前から、優曇華という言葉自体は聞いた
ことがありましたが、それは仏教経典の
想像上の花だと思っていました。

 

今、改めて調べてみましたら
「優曇華」は3つのものを指すようで、

 

1 仏教の経典に出てくる想像上の花

2 実際に存在する植物

3 昆虫の卵

 

この3つを「優曇華」と呼ぶとのこと。

 

 

 

2 実際にある植物

この実在している植物も1つではなく
3種類ほどあるようで、何やらわけが
わからない状態になりつつありますが。

 

 

「相良のアイラトビカズラ」(写真/文化庁)

 

 

2ーA 「相良のアイラトビカズラ」

実在する植物の「優曇華」で最初に御紹介
するのは、熊本県山鹿市と長崎県佐世保市
のみに自生する「アイラトビカズラ」と
いう植物です。

 

この写真は文化庁のサイトからお借りしまし
たが、このサイトでは「アイラトビカズラ」
ではなく、

 

名称として「相良のアイラトビカズラ」
と「相良」がついていて「あいらあいら」
ですが、これは特別天然記念物だそうです。

 

この写真だけですとよくわかりませんが
花の一つ一つはコロコロとしているもの
の藤の花のように房になって見えますね。

 

 

「フサナリイチジク」(写真/「マルシェ青空」)

 

 

2ーB 「フサナリイチジク」

2つ目の実在する植物の
「優曇華」が上の写真です。

 

でもこれは花ではなく果実でしょ? と
突っ込みたくもなりましょうが、何といって
もこれは「無花果」と書くイチジクの仲間。

 

イチジクは、果実の内側に花をつけます
ので、外から花は見えません。
ということで、この写真になりました。

 

 

こちらは「ココナッツ」

 

 

3ーC 「バショウ」

「優曇華」ともいわれる3つ目の花が
次の写真の一見、ココナッツと見紛う
ばかりの「バショウ」です。

 

英語名は「ジャパニーズ・バナナ」
ですが、原産地は中国。

 

バショウというと、私はミズバショウの
花を想像しましたが、全然違いますね。
むしろ、英名のようにバナナっぽいです。

 

 

「バショウ」(写真/「森においでよ」)

 

 

右上に緑色に見える実も、まさにバナナ
そのものですが、タネがたくさん入って
いる上、渋くて食べられないとのこと。

 

楕円形に見えるのがつぼみで、羽のように
上に2枚開いているのは「苞(ほう)」と
いう花を守るために葉が変化したものです。

 

松尾芭蕉の俳号の「芭蕉」は、この木
が松尾さんの家の庭にあったことから
名づけられたそうな。

 

 

 

 

 

実在する3つの植物は似ていない

こうして優曇華とも呼ばれる実在する植物
「相良のアイラトビカズラ」「フサナリ
イチジク」「バショウ」と見てきました。

 

「アイラトビカズラ」と「フサナリイチジク」
は、形状が何となく似ていなくもありません
が「バショウ」は、完全に違います。

 

つまり、元々が想像上の花なのですから
実際の「優曇華」に似ているから名づけ
られたわけではないからでしょうか。

 

 

「クサカゲロウ」(写真/「暮らしーの」)

 

 

 

3 昆虫の卵

さて3つ目の「優曇華」、真打ち登場は
アミメカゲロウ目クサカゲロウ科の
「クサカゲロウ」の卵です。

 

英名は「Green lacewing」「Golden eye」。
クサカゲロウの翅(は)が、繊細なレースの
ように見えるところから「Green lacewing」、

 

またクサカゲロウの眼は緑がかった
金色であることから「Golden eye」
という名前がつけられています。

 

私は見た記憶がないのですが、クサカゲロウ
はそれほど珍しい虫でもないようで、したが
って卵もさほど珍しくないはないとのこと。

 

 

 

「優曇華の花」は「クサカゲロウの卵」

卵は長い卵柄をもち、1つずつ産みつけたり
種によっては卵柄を紙縒(こよ)り状に絡ま
せて卵を塊として産みつける場合があります。

 

 

「優曇華の花」といわれる「クサカゲロウの卵」

 

 

この写真は、後者の紙縒り状の方ですね。
花でしたら「茎」にあたる部分が、クサ
カゲロウの卵の「卵柄」というわけで。

 

白い「花」に見える1つ1つは1ミリ
ほどの大きさだということですが
これが「卵」なのでしょうか?

 

「優曇華」の花が咲いたと報道される
ものは、3の「クサカゲロウの卵」と
いうのが正解のようです。

 

 

「クサカゲロウ」の成虫

 

 

 

クサカゲロウ

クサカゲロウが卵で生存しているのは
3日程で、卵から出たクサカゲロウが
すぐ成虫となるわけではありません。

 

       幼虫(10日)
    ↓
繭を作って蛹(さなぎ、15日)
    ↓
繭から出たあとに脱皮
    ↓
     成虫

 

ちなみに卵が美しいクサカゲロウです
ので蛹も?、と思って調べましたが
そうでもありませんので写真はなしで。

 

 

「優曇華の花」とも呼ばれる「クサカゲロウの卵」

 

 

 

とはいえ、やはり「小さな花束」のよう

台湾の科学技術者が、優曇華の花を顕微鏡
で400倍にして見たところ、花は縁が緑色
で純白、茎は透明で白い点がたくさんある
ということでした。

 

この写真の花のように見えるものが、クサ
カゲロウの卵の1つ1つで、「花が開いた」
ように見えるのは、卵から幼虫(?)が
すでに出た後ということなのでしょうか?

 

神秘的で、可憐な純白の花のようにも
見えますが、お花ではないのですね。
ちょっと残念な気もします。

 

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