「最後の面会」 大石内蔵助と瑶泉院

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blog_import_51536735b7f92           写真/twitpic.com/bc8v84

 

 

唯一の家族との最後の面会

昨日のツイッタ―からです。
冒頭の写真は、病人の最後の願いとして
ペットの猫ちゃんと会っている写真です。

 

「病院の粋な計らい。
余命わずかなこの女性のため、唯一
残された家族の猫の面会が許可された」

 

とのことです。
顔は見えませんが、猫ちゃんも
甘えて嬉しそうですね。

 

でも、同時にお別れの気配も感じとって
嬉しくも悲しいのかもしれません。

 

 

 

 

 

300年前の11月14日

最後の面会といえば思い出すことがあります。
ここで急に300年前の東京に
戻ってみることにいたしましょう。
もちろん、当時は東京ではなく江戸。

 

「忠臣蔵」として知られている元禄赤穂
事件ですが、一般に大石内蔵助が討入り前
に瑤泉院と会ったのは、討入りの前日の
12月13日ということになっているようです。

 

「南部坂の別れ」という場面は
お芝居でも有名だとか。

 

南部坂とは赤坂に数多くある坂の一つで
浅野内匠頭亡き後、実家に戻った瑶泉院
が暮らしていた場所の近くにある坂です。

 

しかし「南部坂雪の別れ」はフィクションです。
実際は、討入りの前年の11月14日に
内蔵助が瑤泉院を訪ねたのが最後ということ。

 

 

130617youseninsimoyasiki370        瑶泉院の実家・下屋敷があった場所

 

 

 

 茶縮緬の頭巾

内蔵助はお預かりの拝領金を
「大事」のために使うお許しを
瑶泉院から得るために訪ねました。

 

この拝領金には、瑤泉院の輿入れ時の
化粧料(持参金)も含まれていたのです。

 

これに対して瑤泉院は、内蔵助をねぎらい
茶縮緬の丸頭巾を与えています。
この頭巾を、内蔵助は
討入りに持って行きました。

 

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赤坂の実家で

簡素な美しい部屋に、一組の男女が
少々の距離を保って対面している。

 

障子が閉まっていて外の景色はわから
ないが、眩しいほどの障子の白さと
ぴんと張りつめた空気が、まるで雪でも
降っているかのような冬の日を思わせる。

 

二人の顔も衣類も、二人の間柄も定かではない。
男の人は、女の人の夫でも息子でもない。

 

二人は何も話さず、
ただ静かに見つめ合っている。

 


わかっているのは

今この時が、二人が今世で会う
最後の時ということだけ。

 

 

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このようなシーンが頭に浮かぶようになった
のは、今から19年と少し前のことでした。

 

最後につけた椿の花の写真は、瑶泉院の
実家だった場所の裏手に咲いていたものです。

 

ここは現在の住所表記でいいますと
赤坂6丁目、本氷川坂を上ったところ。

 

瑶泉院は、浅野内匠頭が切腹した後に
こちらの実家に帰り、亡くなるまでの
時を過ごしています。

 

石垣の色に、はかないまでの薄紅色
の椿の花が美しく映えていたのが
心にしみました。

 

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