ニオイの変調(変調法)

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

 

 

濃度の違いで別のニオイに感じられる

ニオイには、一つ一つはごくわずかな量
であっても、いくつか混ぜ合わせること
により強いにおいと感じる「相乗作用」、

 

それとは反対に、混ぜ合わせる
ことによりニオイが弱く感じられる
「相殺作用」もあります。

 

これは「感覚中和」ともいいますが
弱く感じられはしても、ニオイが
なくなったわけではなく、測定器で
計測するとニオイ物質は存在します。

 

また、同じニオイ物質であっても
濃度が異なると、全く違うニオイに
感じられることもあります。

 

 

 

 

 

少量では花の香り

排泄臭、大便臭として知られている
インドールやスカトールが有名です。

 

どこから見ても悪臭と思われるこれらが
ごく低濃度の場合は、オレンジやジャス
ミンなどの花の香りとなるのです。

 

インドール、スカトールは当然の
ことながら、人間の体内でも作られ
主に腸内で生成されています。

 

腸には様々な常在菌、大腸菌や
乳酸菌、腸球菌、ビフィズス菌、
ウェルシュ菌などが生息しています。

 

 

 

 

乳酸菌などは、ヨーグルトなどの
乳酸発酵と同じで、分解・生成物に
悪臭がするものは多くはありません。

 

しかし、ウェルシュ菌などのタンパク質
を分解する菌は、インドール、スカトール、
硫化水素などの悪臭物質を作りやすい
性質があります。

 

この臭いニオイの代表ともいうべき
インドールですが、香水に使われる天然
ジャスミン油には約2.5%含まれています。

 

濃いと「ケモノ臭」や「加齢臭」のよう
な不快なスカトールも、やはり薄いと
「爽やかな香り」に感じられます。

 

 

 

 

 

「スカンク臭」→「炒ったナッツの香り」

このように、濃度の差によってニオイの
感じ方が変化する物質は色々あります。

 

硫化水素は、高濃度では「温泉場のニオイ」
ですが、低濃度ですと「ゆで卵」のニオイ。
これは皆さんも何となく経験的
におわかりではないでしょうか?

 

また高濃度では「脂肪臭」がする
ウンデシレニックアルデヒドは
低濃度だと「バラの花の香り」が、

 

 

 

 

高濃度では「木の香り」のヨノン
(英語 ionone  イオノン)は
低濃度では「スミレの花の香り」、

 

高濃度では「スカンク臭」というフル
フリルメルカプタンは、低濃度ですと
「炒ったナッツの香り」という具合です。

 

 

 

 

 

変調(変調法)

このようにニオイ物質の混合により別の
ニオイに変わったり、ニオイのニュアンス
が変わることを「変調」といいます。

 

日常生活の中で感じる悪臭も、その大部分
は混合臭であり、変調されたニオイです。

 

最近は悪臭をニオイ物質の一つとして捉え
ここに複数の香料を混ぜ合わせることで
新しい香りとして感じるようにする
変調法が使われているようです。

 

 

 

 

 

「変調」を利用した香水作り

この変調を利用したものが、各種の
調合香料であり、その代表例が香水です。

 

フローラル調に分類されるシャネル
のNo.5は、合成香料のアルデヒド
がわずかに含まれています。

 

とても良い香りとはいえない
脂っこさを感じさせるアルデヒドが
強い拡散力と他のニオイを引き上げる
役目を果たしているといいます。

 

トップノートにこのアルデヒドが
あるために、最初に発する香りは
甘いものの、その中に大人の雰囲気を
漂わせた香りに感じられるのです。

 

アルデヒドは、シャネルのNo.5の
魅力を作り上げる重要な一翼を
担っているといえるでしょう。

 

 

 

 

秘められた真理

美しい花の芳しい香りには
わずかの「悪臭」が含まれて
いるというのも興味深いですね。

 

また、シャネルのNo.5の魅力の
立役者が、あの悪臭ともいうべき
アルデヒドだとは……。

 

単にニオイの不思議という
よりは、それ以上の美の仕組み、
深い哲理さえ感じさせます。

 

 

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