「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!
昨日気づかなかった理由は…
昨日の、ORIGAMIで背中合わせに知人が座って
いたのに気がつかなかった事件(?)に
ついては、少々思い当たることがあります。
ちょっと長くなりましたので
昨日は書かなかったのですが。
私と背中合わせに座っていた知人の話し声が
聞こえなかったのは、彼の声が小さかった
からという理由ではないのかもしれません。
実は、私たちの方がちょっと話に夢中に
なっていて、他の人の声が聞こえなかった
のかもしれないのです。
彼女の父親は造形作家
オリガミで一緒にコーヒーを頂いていた人、
ミーティングや会合、といった場所では
何年も前から知っていた人でした。
ですが、一対一でおしゃべりをする
というのは、この時が初めてのことで
彼女がプライベートのことを話しだしました。
彼女の父親は造形作家でしたが
彼女は、父親の父親、彼女の祖父の
ことを話しだしたのです。
私は初めて知ったのですが彼女の祖父も
また、父親と同じ分野の人でした。
祖父もまた造形作家
彼女が、その祖父の話を、少々複雑な感じで
話し初めて少したった頃、私が言いました。
「まるで、◯◯みたいじゃない!」と。
私は、造形作家の◯◯についてのTV番組を見た
こともあり、彼について書かれた本も読んで
いましたし当然、作品も見ていたのです。
すると彼女は眉をひそめる
という感じで言いました。
「何で知っているのよ?」
「何でって……、有名じゃない」と私。
なんと驚いたことに、彼女の祖父と
いうのは、◯◯その人だったのです。
「詐欺師よっ!」
そしてそれ以上驚いたことは、彼女は
その祖父に強い嫌悪感を抱いていたことです。
確かに、私が見たNHKのTV番組の一つは
◯◯について「天才か? 詐欺師か?」
というようなタイトルだったと思います。
本来でしたら、祖父にあたる人に
ついての、そのようなタイトルを
本人の前で口にするの躊躇われます。
ですが彼女の口調と表情から、私は
そのTV番組、「◯◯は天才か? 詐欺師か?」
を見たことを告げました。
すると彼女はすかさず言い放ったのです。
「詐欺師よ!」と。
口調の強さが、彼女の怒りを物語っていました。
想像もできないこと
この日、彼女から聞いたことを今になって
考えてみますと、私にはその内容を半分も
理解できていなかったと思います。
それは、彼女の言うことを信じない
というわけではないのですが、全く
想像外のことだったからです。
プライバシーの問題で、具体的なこと
には触れられないということ以前に
いくつかを羅列して、理解できるよう
な単純なものではなかったのです。
私は彼女からその後、何度も何度も
彼女の祖父のことを聞かされるうちに
やっと、なんとなくぼんやりとでは
ありますがわかってきました。
愛情が憎しみに変わるとき
実際に何をしたということ以上に
どのような思いが、彼女の祖父に
そのような行為をさせるのか、ということが
私には最も理解できないことでもありました。
大切な家族に、人は最大限の至上の
愛情も抱けば、その裏返しのような
憎しみが生まれることもあるのだと、
私はしみじみ思い知らされました。
最初に、ORIGAMIで彼女から祖父の話を聞いた
時には既に、祖父は亡くなっていたのです。
しかし、その時は勿論、その後もずっと
そしておそらく現在でも、気の毒なことに
とうの昔に亡くなった祖父の亡霊に
彼女は苦しみ続けているのです。
念願の家を建て、優しい夫と
可愛い子ども達に囲まれていながらも……。