「誘惑」 「本物」「ニセモノ」5

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

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お彼岸に

秋のお彼岸ですね。
お彼岸には亡くなった方の供養を
しますが、死後のこと、人の命
などに思いを馳せたりもします。

 

今日は、先月に書いた
「じゃんけんで勝った方がみかんの皮?」
の三田富子さんのお話を
もう一つ御紹介しましょう。

 

 

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「霊感が備わりますよ」

彼女が街を歩いている時のこと、
霊感商法の人が近づいてきました。

 

手にしていた商品を見せて購入すると
「霊感が備わりますよ」と言って
彼女を勧誘をしたそうです。

 

その時に、彼女は言います。

 

「霊感なんてもって、何になるんです?
人は人らしく,この目で見える以外
のものは見えない方が良いのです。
未来が見えるなんて不幸なこと」と。

 

 

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見えない方が幸せ

彼女がこう強く言い切ったのは、実は
彼女の母親が霊能者だったからなのです。

 

彼女の母親は昭和15年に一度死んだ後、
生き返ってから霊感ができたといいます。

 

昭和18年の2月、元気で机の
前に座っている夫を見ると
彼女には夫の死が見えました。

 

何度見直しても7月に死ぬ
と見えてしまうのです。

 

そして迎えた7月……、
その通りになりました。

 

人は人らしく、この目で見える以外
のものは見えない方が幸せなのだ
と、その時に身にしみたそうです。

 

 

 

戦後の家族三人一間暮らし

昭和25年、まだ敗戦の爪痕が色濃く
残る東京で、彼女は母と弟の三人で
知り合いの家の一間に住んでいました。

 

そこにある日、母親の霊能力を知った
二人の男性が訪れてきたのです。

 

 

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その日、彼女はどうしても必要という
わけではないリボンを買ってしまったために
今晩のおかずを買うお金もない有様でした。

 

 

 

新興宗教の教祖に

そんな、母と彼女と弟の三人が
住む知り合いの家の一間に
二人の男性は現れたのです。

 

彼等は、霊能者である彼女の
母親に、新興宗教の教祖に
なってほしいと言いました。

 

「先生には御殿に住んで頂き、
お嬢様には緋の袴をはいて頂いて
月50万円のお小遣いをさしあげます。
こんな生活からぬけられますよ」と。

 

 

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「今の暮らしが嫌であれば、私は教祖を

引き受けて、この人達と地獄へ堕ちます」

「当時、月給が4千円から5千円だった時代。
すごい誘惑である。

懐中に一文もなく、今夜のおかず代
を心配している二十代の娘には、
七色に光ることばである」

 

すると彼らの言葉を、終始半眼
で聞いていた母親が言います。

 

「あなたたちが、今の暮らしが嫌
であれば、私は教祖を引き受けて、
この人達と共に地獄に堕ちます」と。

 

 

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七色に光る言葉

まず彼女の弟が言いました。
「僕は自分の暮らしは
自分で働くからやめて下さい」
そして彼女もそれに続きます。

 

その後も二人の男性は、彼女を的
にかなりねばったようでした。

 

東京は空襲で焼け野原となり、知人
の家の一間に親子三人で住みながら
お金も物も充分ではない状態。

 

その上、終戦までには、みかんの皮
でもいいから噛む物が欲しい、という
窮乏生活が、何年も続いていたのです。

 

そんな時のこれらの言葉は
今の私たちには想像もできない
ような誘惑と響いたことでしょう。

 

この章を三田富子さんは「誘惑」
とつけていらしたので
そのままいただきました。

 




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