マロングラッセは栗で作っていなかった? マロングラッセ「フタバ食品株式会社」

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140915marongurase

 

 

随分前に買ったのですが 

今日の写真の「マロングラッセ」は
かなり前に、赤坂店ではなく青山一丁目店
の方の「やまや」で買ったものです。

 

御覧になっておわかりのように
形がきちんとしていないブロークンタイプ。

 

このタイプのものは何度か買ったことは
あるのですが、今回、はじめてフタバ食品
株式会社のサイトを見てみると、

 

この「マロングラッセ」は
イタリア産の栗でできているそうです。

 

 

f5bc640934ee6913909f618523bd783a-270x200ニンジンのグラッセ

 

 

 

ニンジンのグラッセと同じ「グラッセ」

「マロングラッセ」という名前の
後半の「グラッセ」とは、フランス料理
で使われる言葉ですね。

 

本来は、凍らせる、冷やすという意味
だそうですが、凍らせたり冷やしたりすると
表面がツヤツヤするからでしょうか、
つやをつけるという意味もあるそうです。

 

そういえば付け合わせに使うニンジンなど
のお野菜を、バターとお砂糖などで煮たものを
ニンジンのグラッセ、と呼んだりしますよね。

 

つまり「マロングラッセ」は、ニンジンの
グラッセのグラッセ、と同じ意味なのです。

 

 

 

 

 

マロンはマロニエの実

「マロングラッセ」の「グラッセ」のもう一方の
「マロン」については、もう説明の必要もなく
栗のこと、と思いますよね?

 

ところが、「マロン」については
少々ややこしいようです。

 

フランス語では本来、
マロン(marron)」は
マロニエの実を指す単語でした。

 

 

P1130831-270x200マロンの実がなっているところ
(写真/「初・海外がさがさ団!」)

 

 

マロニエは、トチノキ科トチノキ属の
「marronnier セイヨウトチノキ」。

 

マロニエになる実がマロン
葉っぱはこんなふうな感じね。

 

 

pyumeori89706マロニエの葉(写真/「夢織」)

 

 

 

 マロングラッセは
マロニエの実(マロン)でつくっていた

もともと「マロングラッセ」はマロニエの実、
マロンで作っていたといいます。

 

ところがマロンはアクが強くて
アク抜き作業が大変でした。

 

(といいますか、アクがとても強いもの
だからこそ、何日もかけてシロップを
浸透させる「マロングラッセ」が考え
られたともいえるのかもしれませんが)

 

 

asa0504_3フランスのクリ(シャテニエ)の花
(写真/「月刊・朝比奈ふらんす語」)

 

 

 

マロンのかわりに、クリ(シャテーニュ)を
代用し、マロンと呼ぶことに

そこで、マロンで作っていた「マロングラッセ」を
フランスのクリで代用するようになったのです。

 

フランスのクリの実は、シャテーニュ、
木はシャテニエ(châtaignier)というようです。

 

シャテニエになる実が、シャテーニュ。

 

 

huransunokuri フランスのクリ
(写真/「super  toinette」)

 

 

こちらはブナ科クリ属の木です。
「châtaignier、ヨーロッパグリ」。

 

こちらのクリは、日本のクリと
そっくり(←シャレではない)。

 

本来、マロニエの実のマロンで作っていた
「マロングラッセ」を、「クリ(シャテーニュ)」
で作るようになったことから
クリ(シャテーニュ)も「マロン
と呼ぶようになりました。

 

 

IMG_5044_convert_20091005220637上がマロニエの実のマロン、下がクリ(マロン)
(写真/「ドルドーニュ日和」)

 

 

 

イガの中の実が1つのものを
「マロングラッセ」に使う 

というところまでは、まあいいのですが
この上に、また混乱をするような事実があります。

 

そのクリのイガの中に、クリが1つあるものと
2,3個入っているものを、呼び分けるのです。

 

イガの中に2.3個入っているクリは
先ほどのシャテーニュ(châtaignier)
とそのままです。

 

ところが、マロングラッセに使う、
イガの中に1つの実が入っているものを
マロン(marron)と呼ぶのです。

 

ちょっとややこしいので整理してみましょう。

 

 

イガの中に複数の実が入っている
シャテーニュ(写真/同上)

 

 

1 最初は、マロニエの実のマロン
 「マロングラッセ」作っていた

 

2 アクが強いのでクリ(シャテーニュ)で
 代用するようになったことから
 クリ(シャテーニュ)もマロン
 呼ぶようになった

 

3 マロンと呼ぶようになったクリ(シャテーニュ)
 をまた、イガの中の実の数によって呼び分ける

 —— シャテーニュ(実が2.3個入っている)
 —— マロン   (実が1つのもの)
        こちらでマロングラッセを作る

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

マロニエの実 → クリ(シャテーニュ)
マロン」     「マロン

   _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
       イガの中に

        実が2,3個 = シャテーニュ
        実が1個  = マロン

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして現在、「マロングラッセ」を作って
いるのは、マロニエのマロンではなく
クリの木のマロンで作っているというわけでした。

 

(参照/「フランスの食ネタ帳」
色々調べてみましたが、シャテーニュの
表記及び、内容がかなり様々でした。
こちらが一番信頼できるように思われ
ましたので参考にさせていただきました)

 

 

マロングラッセ

 

 

 

なぜ同じ「マロン」という名前にしたの? 

ふ〜っ、ややこしいね。
書き出した時は、こんなことになる
とは思っていなかったよ。

 

マロニエのマロンの方はオレンジ色にして
クリのマロンの方をピンク色にしてみたのですが。
(私が間違えていなければ……)

 

ここで疑問なのですが、箇条書きにした「3」
のところで、イガの中の実の数によって
別々の名前にした時になぜ、マロンなどと
いう、ややこしい名前にしたのでしょう?

 

 

 

 

イガの中の実が複数のものを、例えば
「三つ子ちゃん」、1つは「一人っ子さん」
等と呼ぶとか何とかできたのではないかと。

 

ですが、この名前を決めた人がいるわけでは
なく、自然にそう呼ぶようになったのでしょうね。

 

 

 

言葉は生きていて変化する 

同じ「マロン」という言葉ではややこしい、
と思うのは、私が実際にそれらにかかわって
いない人間だからです。

 

 

20120920_20133-270x200現在は食べられることのない
マロニエの実、マロン

 

 

マロニエのマロンの代用に、クリを使うように
なった時もそれをマロンと呼ぶようになりました。

 

またクリの中でも、イガの中に1つ実がある
ものだけをマロングラッセにするため、これ
またマロンと呼ぶようになったというのは
考えてみればあたりまえのことかもしれません。

 

人間が使い勝手がいいように、ものの名前を
決めていくといいますか、いつのまに
そう呼ぶようになっていくものなのでしょう。

 

言葉は生きていますからね。

 

140915marronsglaces

 




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2 thoughts on “マロングラッセは栗で作っていなかった? マロングラッセ「フタバ食品株式会社」

  1. マロニエの実に興味をもってしまったわ
    マロニエって昔からおしゃれなイメージだったじゃない
    そのマロニエで作ったマロングラッセって素敵♪
    時々年配の方への贈り物に使うけど、私はあまり得意じゃないの(笑)

    • マロニエの実って、名前を知ったのは随分後のこと
      だったけど、可愛くてすっごく好きだった、葉っぱも好き。
      当然、食べられるものだとも思っていたし。
      それにしても今は食べないっていうのはすごくもったいない
      気がする、前は食べていたんだから。

      私はマロングラッセを作ったことはないんだけど
      結構、大変そうだよね。
      マロニエで作るマロングラッセは、きっともっと大変
      なんだとは思う。
      でも、日本でも縄文時代にはドングリを灰汁抜きして
      食べていたんだから、食べようよ、食料危機だし。
      って、誰に言ってんだか。
      ナッツ好きの私には、どう考えてもマロニエの実
      (本当のマロン)は美味しそうに見えて仕方がない。
      マロングラッセにしない別の調理法だってあるような
      気がするんだけど、とまだ言っている……。

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