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世界3大スパイスの一つ
「コショウ」「クローブ」とともに世界の3大スパイス
として有名な「シナモン」は「世界最古のスパイス」
ともいわれています。
紀元前4000年頃にはミイラ作り
にも使われてたそうですよ。
シナモンは、高さが10メートルにもなるクスノキ科
の常緑高木で、淡い褐色の厚い樹皮が
お互いに内側に巻いた形態をしています。
樹皮の裏側がシナモンの香りがする部分で
木自体は匂いがしません。
この樹皮を剥いで乾燥させてたものがシナモン
スティック、フランス語では「カネール(cannelle)」。
こんなによい香りなのに、アリや虫は嫌いなんですって。
熱帯地方が原産地と推測されているシナモンは
一年中花を咲かせる木で、葉脈の形が面白いことも
あって観葉植物として楽しむ人もいます。
日本名は「桂皮」「肉桂」。
セイロンシナモン
「シナモン」の英語表記は「Cinnamon」で
学名は「Cinnamomum zeylanicum 」。
「zeylanicum」とは「スリランカの」を意味する言葉。
英語の「cinnamon」は、ギリシャ語の「kinnamon」
が語源といわれ、このギリシャ語はヘブル語の
「qinnamon」からきているといわれています。
インドネシア原産の「Cinnamomum zeylanicum 」を
オランダ人が18世紀にスリランカで栽培したため
「セイロンシナモン」とも呼ばれます。
カシア
普通、シナモンといえば「セイロンシナモン」
を指しますが、中国南部やベトナム、アフリカ
でとれる「カシア」もあります。
「セイロンシナモン」は上品で甘い繊細な香り、
一方「カシア」は、濃厚で辛味が強いのが特徴。
両者は共に、はがした樹皮を丸めて乾燥させた
ものですが、「セイロンシナモン」より
「カシア」の方が少々肉厚です。
「セイロンシナモン」や「カシア」以外では
インドでとれる「シナモン・タマラ」、
中国の「「シナニッケイ」や「ニッキ」があります。
偽装「セイロンシナモン」?
「セイロンシナモン」には「オイゲノール」という
成分が含まれていて、「セイロンシナモン」独特の
マイルドな香りを生み出しています。
ところが最近の日本では、「シナニッケイ」が
「セイロンシナモン」として売られている
こともあるのだとか。
安さや供給の安定ばかりを望むことで
ホンモノがすり替わってしまうのですね。
少し前の記事の杏仁豆腐の元となる
「杏仁霜(あんにんそう)」もそうでしたが
消費者の姿勢が問われているようです。
シルクロードやスパイスロードを渡って
中国やタイ、インドネシア、セイロンと、東洋の
シナモンは陸路のシルクロードや、「香料の道
(スパイスロード)」、またインド洋やアラビア海、
紅海を経る海上ルート等で、地中海沿岸地方
へと運ばれました。
シナモンの産地を明かさなかったり、あるいは
神秘的な付加価値をつけたりすることにより、
価格を上げていたともいわれるほどシナモンは
遠い異国の神秘的なスパイスだったよう。
こうして長い旅を経たシナモンは、紀元前6世紀頃
書かれた旧約聖書の『エセキエル書』や、
古代ギリシアの詩人だった、サッポーの
書いた詩にも登場することになります。
フェニックスもミイラも、権力者も
エジプト神話のなかで不死鳥として知られる
フェニックスは、死期が近づくと、シナモンの小枝を
集めて火をともし自らの身を焼き、その灰の中から
復活するという、永遠の時を生きるとされる火の鳥。
そして永遠の時を生きるミイラもまた
シナモンによって作られます。
クミンやアニス、マジョラムなどで作られていた
ミイラは、紀元前4000年頃からは、シナモンや
クローブで作ることが主流になりました。
ミイラ作りにおいては、殺菌作用や防腐作用を期待
されていたシナモンですが、その芳香は当時の
エジプトの権力者たちの日々の生活や、聖なる儀式に
欠かせないものとなり、重要な位置を占めてゆきます。
またシナモンは愛情を表すための
プレゼントでもありました。
ローマ帝国第2代皇帝のネロは、妻が亡くなった
際に、1年分もの大量のシナモンを焚くことで
愛情を表したともいわれています。
日本に伝わったのは奈良時代
一方、中国でシナモンが初めて登場
するのは、後漢時代(25〜220年)。
薬学書である『神農本草経』にシナモンは
「牡桂」や「菌桂」という名前で記載されおり
漢方薬として扱われていたことがわかります。
日本にも聖武天皇の時代(724〜749年)には、中国
から伝わっていたようで、コショウやクローブ、香木
などと一緒に中国産のシナモンが正倉院に「桂心」
という名の生薬として現在でも保存されています。
奈良時代に日本に入ってきてはいましたが、当時
「桂心」と呼ばれていたシナモンは天皇や貴族たち
のもので、一般庶民に親しまれるようになった
のは江戸時代になってからのこと。
「シナニッケイ」という品種の樹木が、江戸時代
の享保年間に日本に伝り栽培が始まったため
一般庶民にも浸透するようになりました。
八つ橋やお屠蘇にも
日本で栽培されていくうちに
シナモンは「日本肉桂」や「ニッキ」
と呼ばれるようになっていきます。
シナモンは普通、樹皮を利用するものですが
ニッキは根の部分を乾燥させて作るため
シナモンより一層スパイシー。
これを利用したものが、京都の
有名なお菓子「八つ橋」です。
ニッキの油を生地に加えて、おせんべいのように
焼いたもので、江戸時代から作られていました。
焼かないものの方は「生八ツ橋」と呼ばれています。
またお正月に頂くお屠蘇にも、シナモンは入っています。
三国時代の中国で医師により作られたという
お屠蘇は、病を防ぐ飲み物とされていました。
煮込み料理やお菓子に
シナモンの香りの主成分は「桂皮アルデヒド」です。
「桂皮アルデヒド」とは、「シンナムアルデヒド
(cinnamaldehyde)示性式 C6H5CH=CH?CHO 」
という芳香族アルデヒドの一種。
この桂皮アルデヒドは、40度前後で香りが最もよく
発散するといわれ、さまざまなお料理に使われています。
もちろん、カレーにもシナモンは欠かせない香辛料ですね。
煮込み料理に、ローレル(月桂樹)の葉っぱを入れる
ことがありますが、インドでは、シナモンの葉を
同様に煮込み料理に使うことから、シナモンの葉を
「インディアンベイリーフ」とも呼ぶそう。
シナモンはお砂糖との相性も抜群なため、パンや
クッキーにジャム、特にアップルパイや
シナモンロールなどはシナモンの独擅場。
グラニュー糖とあわせるシナモンシュガーも、
トーストやヨーグルト、アイスクリーム
などで大活躍すること間違いなしです。
薬効
漢方の「桂皮(ケイヒ)」は、体を温める作用、
発汗作用、健胃作用をもつとされ、多くの方剤に
処方されていますので、シナモンもその働きに
近い効果があるといわれます。
血行促進
冷え性の改善も期待でき、むくみの予防にもなります。
風邪の症状の緩和
粘液の排出を促進してくれるので、風邪の症状が
和らぐだけではなく、悪寒や暑熱にも良いそう。
消化促進作用
食後に飲むと胃腸を守ってくれます。
血糖値を下げる
毛細血管の修復を促し、心筋梗塞の予防にも。
神経の痛みを除去
手が痺れるなどの軽い神経の痛み、筋肉痛
などに効果があり、精神面での不安を
取り除きリラックスされてくれます。
手軽に作れるシナモンレシピ
シナモンをお料理に使うだけではなく、もっと手軽に
いつもシナモンを摂りたいという方へのお手軽レシピを。
さっと焼いた食パンに、ココナッツオイルとシナモン
シュガー(お砂糖にシナモンパウダーを混ぜたもの)
+塩を乗せて焼くだけのシナモントースト。
シナモンをもっとも簡単に摂ることが
できるのは飲み物でしょうか。
カプチーノコーヒーに添えるものはいうまでも
ありませんが、ココアなどにシナモンを入れたり、
クエン酸にハチミツを加えてレモネードのようにした
ものに、シナモンを加えるなどなど、色々なドリンク
にシナモンを試してみるのも楽しそうです。
使用に際しての注意点
ただし注意も必要で、シナモンはクマリンを含むため
過剰摂取をすると肝障害を起こすこともあります。
1日に3グラムまでを目安にするとよいよう。
シナモンパウダー1振りは0,1グラム、と聞くと
全然、平気と思いますが、シナモンロール1つは
2,5グラムですので、やっぱり注意が必要かも。
「チャイナシナモン」より「セイロンシナモン」の方が
肝臓にかかる負担が少ないといいますので、いつも摂り
たい方は「セイロンシナモン」を選ぶ方がよいようです。
もう一点、シナモンには子宮収縮作用があり、子宮出血
や流産の危険性もあり、ドイツ連邦リスクアセスメント
研究所ではシナモンに含まれる、シンナムアルデヒドが
胎児に悪影響を及ぼすと注意を促しています。
妊娠中の方は避けてくださいね。