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焼物は4種類あります
「陶磁器」とは、土や粉末状の鉱物を練って成形し焼いた
「陶器」と「磁器」を指しますが、広義ではそれ以外に
「土器」と「炻器(せっき)」を含めることもあります。
つまり「焼物」といった場合「土器」と「炻器」、
「陶器」に「磁器」の4種類があるわけですが
「土器」といえば縄文土器とすぐ思い浮かびますよね。
ところが「炻器(せっき)」の方は、私のパソコン
では出てこないほどで、あまり馴染みのない言葉。
説明を読んでもいまいちわかったようなわからないような。
4種類の焼物の特徴
焼物の4種類の特徴を表にしてみました。
「炻器」は焼成温度でいうと「土器」と「陶器」の
中間で……、といわれてもあまりピンと来ませんし。
* 土 焼成温度 吸水性
_________________________
土器 粘土 700〜800度 ある
炻器 粘土 1100〜1300度 少ない
陶器 粘土 1200〜1300度 少ない
磁器 陶石 1300〜1400度 ない
(じゅわ樹「日本の陶磁器 」メイツ出版)
「炻器」は素地が固く焼きしまっていて、
非透光性(光を透さない)ことで磁器と区別され、
気孔性(水分を通す)がないことで陶器と区別されます。
固く焼きしまって吸水性がほとんどないことから
日曜雑器の他には土管や火鉢なども作られるそうです。
備前焼や信楽焼も「炻器」に分類する方法も
ありますが、一方「陶器」とする説もあって
この辺りの境界は曖昧のよう。
ウェッジウッドのジャスパーウェア (Jasper ware)が
「炻器」と聞くと、なんとなくイメージが湧きますね。
「土もの」と「石もの」
今日の本題の「陶器」と「磁器」に入りますと
「陶器」といえば「土もの」、
「磁器」といえば「石もの」といわれます。
先ほどの表のように、「陶器」は陶土という粘土で作られ、
「磁器」の方は、陶石という石を小さく砕いて水などを
加えて作られるものです。
したがって粘土で作られた土ものの
「陶器」は吸水性があって、光は透しませんが
「磁器」は給水性はあまりなく光を透します。
カオリンから作られる「磁器」
「磁器」は、長石を含む岩石の風化によってできた粘土
カオリン(kaolin)を使って高温で焼成するのが特徴で
磁器作りにはカオリンが重要な役目を果たしています。
古くから焼かれていた「陶器」と違って「磁器」が
作られるようになったのは、かなり後のことに
なりますが、それはカオリンが発見されてからの
歴史ということになるからです。
北宋(960〜1126)の景徳皇帝の頃に高領山から
採取した磁土により初めて時期が焼かれるように
なりましたが、その磁土「観音(カオリン)」が
そのまま代名詞となりました。
デルフト焼(陶器)「ロイヤル・デルフト」
フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』ですね
(写真/「 Holland + Flanders」)
代表的なもの
「陶器」の代表的なものといえば、徳利を持っている
たぬきでおなじみの信楽焼に、萩焼、楽焼、唐津焼、
西洋のものでいうとオランダのデルフト焼が「陶器」です。
「磁器」といいますと、有田焼(伊万里焼、鍋島焼)、
美濃焼、清水焼(京焼)、九谷焼などがあげられます。
西洋ではマイセン、ロイヤルコペンハーゲン、
ローゼンタール、リチャード・ジノリ、アウガルテン
ヘレンド等々、すぐに思い浮かぶのは殆どが磁器ですね。
「陶器」と「磁器」の見分け方
大まかにいいますと。温かみのある素朴な
風合いが「陶器」で、ガラスのような滑らかさで
硬質な感じがするのが「磁器」です。
とこれでは抽象的すぎるので付け足しますと、
厚手のものが「陶器」で、薄いものは「磁器」
(光に透ける)ともいえますし、指で縁を弾いて
鈍い音がするのが「陶器」、キン、ピンと
いうような金属的な高い音がするのが「磁器」。
手に取った時に少しボコボコするのが「陶器」で、
ムラがなくツルッとした感じがするのが「磁器」です。
高台(こうだい)
それでもわからなければ、器をひっくり返してみましょう。
写真をご覧になりますとおわかりのように
器の下には台がついていますが、これを
「高台(こうだい)」といいます。
左の「磁器」は、高台が白くて滑らかでツルッとした感じ。
釉薬の色は別として、「磁器」本体の色は
黄味がかった色もありますが、基本は白ですので
高台には白い色が見えるはずです。
それに対して右の「陶器」は、ボコッとした
感じで、手で触るとザラザラとしています。
使用上の注意
「陶器」は吸水性があり、お醤油などの色が染み込んで
しまうことがありますので、初めて使用する前に30分
程度水に浸けておいてから使うのが良いとされています。
また「陶器」「磁器」ともに、使用後に長時間、洗剤の
中に浸けておいたり、熱湯で洗ったりは避けましょう。
金銀が施されているものは電子レンジにかけない
ようにといわれますが、金銀ではなくても器は本来
電子レンジは避けた方がよいと私は思っています。
私は食器洗いに洗剤を使いません
今回のお話とちょっとずれてしまいますが
私は食器用洗剤は使っていません。
食器類を丁寧に扱っているとは決していえない
使い方をしていますが、それでも食器洗い機と
電子レンジは使用せず(現在は両方、持っては
いませんが、たとえあったとしても)
基本は布巾を使って水だけで洗っています。
油汚れのようなものは、洗う前に紙や布(処分
する布をあらかじめ小さく切ってストックして
おいたもの)で拭き取った後に布巾を使って
水で洗うと、それだけで充分きれいになります。
流す汚れが少なくてすみ、廃物利用ができ、かつ経済的
と一石二鳥ならぬ一石三鳥、と思いきや、
それだけではなく器にとってもよいということ。
これはもう、一石何鳥になるかわらないほどのよいこと
ずくめですので、そうぞみなさんも試してくださいね。