お饅頭はいつ日本に入ってきたのか? 初めてお饅頭を作った「虎屋」と「塩瀬」

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

 

 

中国からきた「おまんじゅう」

いつも私たちが美味しくいただいているおまんじゅう。
「あぷりのお茶会赤坂・麻布・六本木」でも「和菓子」
のカテゴリーに入れていますが
おまんじゅうは中国からきたものです。

 

おまんじゅうは中国生まれの「饅頭(マントウ)」が
日本でお菓子として変身したのですが、「饅頭」が
日本に入ってきた時期については現在のところ
2つの説があるようです。

 

1241年説と1349年説の二つですが、その1349年説
の方が現在の「塩瀬総本家」の初代が、日本で
初めておまんじゅうを作ったといわれるものです。

 

 

青山通りに面していた虎屋ビル(2015年10月まで)

 

 

 

日本におまんじゅうが入ってきた年
その1 1241年説「虎屋」

鎌倉時代の僧の円爾(えんに、1202年11月1日〜
1280年11月10日)が南宋から日本に帰ってきた後に
おまんじゅうの作り方を日本人に伝えたというのが
日本におまんじゅうが入ってきたとされる一番古い説。

 

1235(嘉禎元)年に宋に渡った円爾(
聖一国師)は、1241(仁治2)年に帰国した際、
福岡の博多に上陸しました。

 

現在の博多駅前にあたる辻堂付近で、円爾はいつも
お世話になっているお礼として、茶屋の主人・
栗波吉右衛門におまんじゅうの作り方を伝授します。

 

 

虎屋に伝わっている「御饅頭所」と
書かれた看板(写真/「虎屋」)

 

 

 

赤坂「虎屋」に伝わる看板

この時に円爾が、茶屋の主人に書いて与えた
という「御饅頭所」という看板が、現在
赤坂にある「虎屋」に伝わっています。

 

(「虎屋」
本店は建て替え工事のため
2015年10月7日から休業中
2018年にリニューアルオーオープンの予定
〒107-0052 東京都港区赤坂4丁目9-22

 

「東京ミッドタウン店」
〒107-0052 港区赤坂9丁目7-4  D-B 117
東京ミッドタウン  ガレリア地下1階
Tel.03-7544-6101

 

「東急プラザ赤坂店」
千代田区永田町2丁目14-3 東急ブラザ赤坂2階
Tel.050-6457-9784)

 

 

2015年10月まで営業していた「虎屋」の本店

 

 

この時のおまんじゅうは米麹を使った酒饅頭
だったそうですが、吉右衛門の茶店の屋号から
「虎屋饅頭」とも呼ばれていました。

 

とはいえ吉右衛門の茶店の屋号が「虎屋」だった
ことが現在、赤坂にある「虎屋」の名前に
つながったのかといえば、そうではないよう。

 

「虎屋」のサイトには、「吉右衛門の店と当社
との関係は不明」と記されています。

 

 

赤坂「虎屋」の最中「御代の春」

 

 

 

「虎屋」独自の「虎屋饅頭(酒饅頭)」

円爾からつくり方を伝授されたという
おまんじゅうについては現在「虎屋」のサイト
では「酒饅頭  虎屋饅頭  御膳餡入」、
「初出年代  明治39年(1906)」となっています。

 

風味のある独特の酒の香りが楽しめる「虎屋饅頭」の
元種は、長い時間をかけてもち米と麹(こうじ)を使って
作られたもので生地作りは、前の夜から始まるのだとか。

 

ひとつひとつを丹精込め、手間暇かけて作られている
「虎屋饅頭」は、工夫を加え「虎屋」独自の酒饅頭
として代々受け継がれてきたものです。

 

本店(休業中)の他は一部の店舗でしか
手に入れることができません。

 

 

赤坂「虎屋」の「虎屋饅頭(酒饅頭)」
(写真/「虎屋」)

 

 

なお「虎屋饅頭」の皮が硬くなってしまった
時は、蒸し直して頂くのもよいようです。
ちょっと意外ですが、焼いてもまた美味しいのだとか。

 

子どもの頃、大福餅が硬くなった時には、母が焼いて
くれたこともありましたが、このようなふわふわ
おまんじゅうを焼くと、どのような味になるので
しょう?、ちょっと試してみたいですね。

 

 

虎屋「ルーブルの光・白」

 

 

 

日本におまんじゅうが入ってきた年 
その2 1349年説「塩瀬」

そしてもう一つの説といわれるのは
最初の説から1世紀ほど後のこと。

 

1349(南朝ー正平4、北朝ー貞和5)年に、中国から
来朝した林浄因(りんじょういん)が、奈良に住居
を定めおまんじゅうを作ったという説です。

 

この林浄因が現在の「塩瀬総本家」の初代となった人。
(「塩瀬総本家」 本店
〒104-0044 東京都中央区明石町7-14
 Tel.03-3541-0776)

 

浄因は、中国の「饅頭(マントウ)」の中身を
肉のかわりに、小豆を煮詰めて、甘葛の甘味と
塩味を加えた餡を入れることを考え出しました。

 

 

 

 

 

小豆餡入りのおまんじゅう誕生

その頃の日本にあった甘いもの、お菓子
といえばクルミや栗、干し柿、お餅に小豆の
呉汁をつけるお汁粉の元祖のようなもの位。

 

小麦粉をこねて蒸し、十字に切れ込みを入れた
「十字」や、中身のない菜饅頭(なまんじゅう)の
ようなものはあったようですが、現在にある
小豆餡入りのおまんじゅうはありませんでした。

 

浄因の作ったおまんじゅうは、日本人の評判を呼びます。
発酵した皮の香りとふわふわの
歯ごたえに、ほのかな甘みの小豆あん。

 

豆類を多く食し、小豆好きの
日本人にとっては画期的なものでした。

 

 

「塩瀬」の元祖 林浄因(りんじょういん)
(肖像図/「塩瀬総本家」)

 

 

 

お祝い事に紅白饅頭

浄因は、おまんじゅうを後村上天皇
(1328〜1368)に献上します。
天皇は大変喜ばれ、浄因に官女を賜ったといいます。

 

当時は一商人が官女を下賜(!)されるという
ことは特別な栄誉だそうで、結婚に際し
浄因は、紅白饅頭を諸方に配りました。

 

これが現在のお祝い事に際し
紅白饅頭を配る習慣の始まりだそうです。

 

 

 

 

浄因はその後、中国に戻ったということですが
子孫は残り、幾代か経たあとの店主・紹絆の時代のこと。
紹絆は中国の宮廷菓子を学ぶために中国に渡ります。

 

帰国した紹絆は、山芋をこねて作る
おまんじゅうを売り出しました。

 

これが今も「塩瀬総本家」の看板商品の一つで
ある、「薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)」
の元となったおまんじゅうです。

 

 

一口薯蕷饅頭「塩瀬総本家」

 

 

 

「塩瀬」の屋号は三河塩瀬村から

以来、その子孫は饅頭屋と称し京都に移りましたが
応仁の乱(1467〜1478年)の戦火を逃れて、
三河国設楽郡塩瀬村(現在の愛知県新城市)に行き
後に城主の娘を妻に迎えることになります。

 

その折、塩瀬姓を受けて「塩瀬」を
屋号とすることになりました。

 

東山文化が栄え始めた頃、再び京都に戻った
「塩瀬」は引きも切らぬほどの賑わいで
お店の所在地は「饅頭屋町」と呼ばれるほどの大繁盛。

 

室町幕府の8代将軍・足利義政(1435〜1490)
からは、「日本   第一番   本饅頭所   塩瀬」との
看板を授かったり、時の帝・後土御門天皇
からは、「五七桐」の家紋も拝領しています。

 

「塩瀬」はその後も天皇や、豊臣秀吉、徳川家康
などの権力者の寵愛を受け、塩瀬宗味が千利休の
孫娘を妻としたこともあり、おまんじゅうは
茶菓子として洗練を増してゆきました。

 

 

「塩瀬総本家」の看板(写真/「塩瀬総本家」)
桐の紋と共に「日本   第一番   本饅頭所   塩瀬」の文字

 

 

 

京都から江戸へ

徳川家康が関ヶ原の戦いを制し、江戸に築城するにあたり
京都の「塩瀬」は家康に従い、江戸に移ることになります。

 

皮が薄くて柔らかい「塩瀬」の
おまんじゅうは江戸っ子にも大評判。

 

江戸での繁盛ぶりは『紫の一本』(1674年)、
『元禄江戸名物』(1688年)、『江戸名物詩選』
(1836 年)などに記されています。

 

 

 

 

そして明治初年、「塩瀬総本家」は
宮内庁御用達となりました。
創業660年を誇る「塩瀬」の35代目の
現在の店主は川島一世さん。

 

35代店主の母親である川島英子さんは
34代目の店主だった方で、90歳を過ぎた今も
元気でお仕事をしていらっしゃるそうです。

 

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薯蕷饅頭 「薯蕷」か「上用」か? 「じょうよ」か「じょうよう」か?  

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「薯蕷饅頭」の名前の由来

「塩瀬」の「一口薯蕷饅頭」です。
原材料名の表記が見つからないのですが
サイトの「製造工程」には国内産のやまといも、
上新粉、砂糖、小豆などと書いてあります。

 

実は驚いたのは「薯蕷饅頭」の読み方です。
私は今まで「じょうまんじゅう」だと思っていた
のですが、今回調べていて「じょうようまんじゅう」
という言い方もあることを知りました。

 

「じょうよまんじゅう」の名前に
ついては、次のような説明があります。

 

A 「『薯蕷饅頭』を当て字である『上用饅頭』と
 書くこともあり、現在では『上用饅頭』と書く
 ことの方が多いかもしれません」という説。

 

B 「この和菓子は、薯蕷饅頭と難しい漢字ですが
 上用饅頭と書き直すことで名前の由来がわかります。
 大昔、和菓子は一般庶民にはとても口にする
 ことが出来ないくらい高価なものでした。
 貴族など位が上の者しか食べることが
 出来なかったのです。
 そのため上に用いる饅頭ということで上用饅頭と
 つけられた歴史がある上品な和菓子の代表です。」
             (「くり屋南陽軒」)

 

C 「山芋(ヤマノイモ)を「しょよ」といい、
 これが転じて「じょうよ」となった。
 すりおろした山芋を用いてつくる料理
 に薯蕷の名をつける。」   
(「手前板前」)

 

 

(B)の、上つ方が用いるという意味の「上用」
だった場合の読み方は、「じょうよ」ではなく
「じょうよう」という方が妥当でしょうか。

 

 

ヤマノイモの花(写真/「きーさんち」)

 

 

 

「薯蕷」とはヤマノイモのこと

「薯蕷(じょうよ)饅頭」の特徴といえば皮に「薯蕷」
が入ってあるお饅頭で、「薯蕷」とは山芋のこと。
ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草
の根の部分を指しています。

 

古くは「薯蕷」と書いて「ヤマノイモ」と読み、
日本原産で、学名は「Dioscorea japonica」。
すりおろしたものを「トロロ」といい
粘りが高いお芋ですね。

 

トロロが口の周りなどにつくと、痒くてかぶれて
しまうこともありますが、ってこれは私のこと。
「自然生(ジネンジョウ)」、
「自然薯(ジネンジョ)」ともいいます。

 

「ジネンジョ」や「ジネンジョウ」という音
だけ聞きますと何のことやら、とも思いますが
漢字を見ると「自然に生えてきた」
「自然にある薯蕷(ヤマノイモ)」という
意味ですので、漢字の方が理解しやすいかも。

 

なお「薯蕷」に似ているものに「ナガイモ」
があり、こちらもヤマノイモ科ヤマノイモ属
ではありますが、日本原産ではないという説
もあり、染色体の数も異なるそうです。

 

 

ヤマノイモの花のアップ(写真/「さらさらきらきら」)

 

 

 

皮に「薯蕷」を入れるのが薯蕷饅頭

薯蕷饅頭を作るに際して、京都地方では
「つくね芋」、中部地方では「伊勢芋」、
関東では「大和芋」などとというように
それぞれの土地でとれるものが使われています。

 

これらのお芋をすりおろして上新粉、砂糖を練り
合わせた皮であんこを包み、蒸したものが薯蕷饅頭。

 

薯蕷(じょうよ)は蒸すと膨らむ性質を持っています
ので、蒸しあがったお饅頭の皮は、ふわふわとした
優しさとともにしっとりとしたキメの細かい
上質な食感になるのが特徴です。

 

 

ヤマトイモ

 

 

 

「山芋(しょよ)」→「じょうよ」

「薯蕷(じょうよ)」については
和食用語集では次のように説明しています。

 

「山芋(ヤマノイモ)を「しょよ」といい、
これが転じて*「じょうよ」となった。
すりおろした山芋を用いて作る料理に
『薯蕷』の名をつける。

 

料理で最も一般的なのは白身魚の『薯蕷蒸し』
であり、和菓子の『薯蕷饅頭』も
よく知られるところ。」  (「手前板前」)

 

 

 

「白身魚の薯蕷蒸し」

薯蕷(じょうよ)を使った「白身魚の薯蕷蒸し」
とは、昆布を敷いた蒸し鉢に、薄塩を振った
白身魚の切り身を乗せて鉢ごと蒸したお料理。

 

6〜7分火が通った時点でトロロ(卵白を
加えても可)をかけ、完全に蒸しあがった
ところで、銀あんをかけて頂くというものです。

 

 

金目鯛の薯蕷蒸し(写真/箱根「知客茶家」)

 

 

紅葉の型に抜いたニンジンやギンナン、シメジなどが
乗っていてちょっとわかりづらいですが、全体に
白っぽく見えるのがすりおろした山芋(薯蕷)です。

 

こちらは卵白はなしのようですが
下に敷いてるある昆布が見えますね。
昆布と薯蕷の間に金目鯛があります。

 

 

 

職人の技の見せどころ

このふわふわを皮に使用しているのが薯蕷饅頭です。
これを作るのは高度な技を必要とするため、薯蕷饅頭
を見るとそのお店の職人の技術がわかるといわれるほど。

 

粘りの強いすりおろした薯蕷と、粉を混ぜ合わ
せる生地作りは、空気を抱かせるように混ぜて
蒸した時に破れる寸前まで、ふっくらと
膨らむように調整するのが難しいそうです

 

その日の薯蕷の状態と、気温や湿度といった
毎回異なる条件の中で、最善の生地を作り出す
見極めは長年の勘と腕がなくては叶わないこと。

 

 

一口薯蕷饅頭「塩瀬総本家」

 

 

 

「薯蕷饅頭」? 「上用饅頭」?

ところで私は「薯蕷饅頭」の読み方が気に
なるのですが、今まで見てきた限りでは
「薯蕷」は「じょうよう」ではなく、
「じょう」と読む方が自然なように思われます。

 

「薯蕷饅頭」を「上用饅頭」とも書くように
なったことから、「じょうよう」とも
読むようになったのでしょうか?

 

いくつかの和菓子屋さんで、このお饅頭を
どちらの字で表記し、何と呼んでいるか調べてみました。

 

 

 

 

 

和菓子屋さんでは?

   所在地・店名      表記   読み方
  _______________________

(1) 東京都港区赤坂「青野」  上用 (振り仮名なし)

(2)   〃  赤坂「虎屋」  薯蕷   じょうよ

(3) 東京都新宿区「
  五十鈴(いすゞ)        薯蕷   じょうよ

(4) 埼玉県戸田市
  「季乃杜 」(ときのもり)  薯蕷   じょうよ

(5) 福島県会津若松市
 「やまでら茶屋」        薯蕷   じょうよ

(6) 静岡県浜松市「梅月」     上用   じょうよう

(7) 岐阜県岐阜市
 「おきなや総本店」      上用  (振り仮名なし)

(8) 岐阜県中津川市
 「くり屋南陽軒」        薯蕷   じょうよ

(9) 石川県金沢市「森八」     薯蕷   じょうよ

(10) 京都府京都市
 「鶴屋吉信」          薯蕷   じょうよ

(11) 京都府京都市
 「京華堂利保」         薯蕷  (振り仮名なし)

(12) 京都府京都市「末富」     薯蕷  じょうよ

(13) 京都府京都市
 「塩治軒」(しおじけん)    薯蕷  じょうよう

(14) 滋賀県近江八幡市
 「たねや」           薯蕷  じょうよ

(15) 山口県山口市
「茶蔵庵」(さくらあん)     薯蕷  じょうよ

(16) 福岡県太宰府市「梅園」    薯蕷  じょうよ

(17) 北九州市小倉北区
 「湖月堂」           薯蕷  じょうよう

 

 

 

 

 

「薯蕷」と「じょうよ」が優勢?

というような感じでした。
わずか20足らずという少ないものですので
これだけでは何ともいえませんが「薯蕷饅頭
(じょうよまんじゅう)」が一番多いですね。

 

(6)の「梅月」と、(7)の「おきなや総本店」
は、「上用」と表記して、読み方は(6)が
「じょうよう」で、(7)は振り仮名の
記載がなかったのでわかりません。

 

ただここには載せませんでしたが、「上用」と書いた
場合は「じょうよう」と読ませることが多いようです。

 

 

こちらも「薯蕷饅頭」だそうです。京都「京華堂利保」
「松茸」(左)と「京鏑」(右)(写真/「婦人画報.com」)

 

 

ですが(13)の「塩自軒」ように、「薯蕷」と
書いても「じょうよう」と読ませるお店も
ありますので、これは色々のよう。

 

こうして見てみますと地域性もあまり関係
がないようですしあくまでも、それぞれの
お店の好みなのかもしれません。

 

ただ興味深く思ったのは、「コトバンク」
「英語例文Weblio」「日本の食べ物用語辞典」
という辞典系(?)のサイトが共に「上用饅頭
(じょうようまんじゅう)」を使っていたこと。

 

 

 

 

また「漢字書き方・筆順調べ無料辞典」では
筆順を示す漢字として表示しているのは「薯蕷饅頭」
ですが、読み方はひらがな、かたかな、ローマ字
の全てで、「じょうよう」と読んでいます。

 

これからの時代は書くのも読むこともできない
「薯蕷」という小難しい字は使わず、こちらで統一
していこうではないかということなのでしょうか?

 

私は「薯蕷饅頭」の字は残って欲しいなぁ、
「薯蕷」は書けないけど。

 

本当は塩瀬総本店のことで、もっと書きたい
ことがあったのですが、長くなってしまい
ましたので、次回にします、また見てね。

 

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クコ(枸杞) 「クコ茶」

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「ゴジベリー」?

先日、お友達が来てくれたときに
いくつかのドライフルーツをお皿に
並べると、彼女がクコの実を手にして
「これゴジベリーでしょ?」と聞くのです。

 

「ゴジベリー」なる言葉を知らなかった私は
その時、「日本ではクコだけど……」と
何とも間が抜けた返事をしたのですが。

 

彼女はこのゴジベリー(クコ)と一緒に
ナッツ等をグラインダーで小さくして
お料理に使っているということでした。
うん、それはいかにも体によさそう。

 

 

クコ(枸杞)・ゴジベリー( GOJI  BERRIES)

 

 

 

こう見えて「ナス科」

「ゴジベリー(GOJI  BERRIES)」という名の
「クコ」は、今やスーパーフードとして
人気の食品なのだとか。

 

私は「クコ」がそんな有名人だとはつゆ知らず
たまたまついでに購入しただけなのですが。

 

ちっちゃいけど大きな効果を誇るクコは漢字で書くと
「枸杞」、ちょっと意外なことにナス科の植物です。
学名は「Lycium chinense」。

 

学名の「Lycium(リシウム)」というのは
中央アジアのLyciaという土地に生えていた
棘の多い木、「lycion」の名前に由来しています。

 

夏から秋にかけて美しい紫色の花が
咲いた後に、赤い実がなります。

 

 

クコの実(左)とクコの花(右)

 

 

 

根も葉も、実も

中国では果実を「枸杞子(くこし)」と読んで
枸杞酒や薬膳料理の材料として使われていますが
クコという植物の活躍はそれだけではありません。

 

葉は「枸杞葉(くこよう)」と呼ばれる
漢方薬になり、根皮は「地骨皮(じこっぴ)」
という解熱や強壮薬に使われます。

 

私とクコの出会いは小学生の頃
母がクコの葉を煎じていたことが最初でした。

 

クコは中国と日本では「沼美久須利(ぬみくすり)」
と呼ばれて、古くから栽培されていた植物です。
枝にトゲがあることから
生垣にも利用されていました。

 

 

元は薬膳料理だった「杏仁豆腐」に使われている「クコ」

 

 

 

クコの「副作用」と「避けた方がいい人」

子どもの頃は、腎臓病の改善のために母の煎じるクコ
の葉の何とも言い難い香りが、キッチンに充満していた
経験から「おばあちゃんの漢方薬」のイメージのあった
クコが、現在はなんとヨーロッパのセレブ御用達とは。

 

地味な高校生と思っていた隣のお姉さんが、いつの間に
やらパリコレで、ランウェイを颯爽と歩むスーパーモデル
になっていた位の驚きですが、クコの薬効を御紹介する
前に、副作用と摂取しない方がいい人のことを。

 

副作用としては、生理が早くなってしまう
生理作用の促進があります。

 

また人工中絶薬の作用として知られる「ベタイン」
を含んでいますので、妊娠している方や、
授乳中の方は控えた方がよささそうです。

 

 

アラボンヌーの「ゼリー杏仁」の真ん中にもクコが

 

 

 

クレオパトラと楊貴妃も毎日摂取

産地によって含まれる成分は多少異なるようですが
基本的に、クコの実には100種類以上の
ビタミンやミネラルが含まれています。

 

様々な薬効の中でも多くの女性に支持される美容面の
効果といえば、肌の美白効果、保湿効果、コラーゲンの
生成等のアンチエイジング効果があげられるでしょう。

 

世界三大美女(出た!)のうちの、クレオパトラ
と楊貴妃が(今回は小野小町はお休み)
毎日クコの実を食べていたといいます。

 

と御常連の三大美女のお話ですが、巷でいわれる
三代美女も食べていたという食品を集めてみたら、
彼女らは美容のために毎日、どれほどの食品を
摂取していたのやらと他人事ながら心配になるほど。

 

 

 

 

 

美肌効果(美白、保湿、コラーゲン生成)

そんな昔にクコが肌によいということを知っていたのも
すごいことではありますが、現在では、クコの実エキスが
紫外線ダメージによる色素沈着の程度を軽くするという
実験結果を資生堂リサーチセンターが発表しています。

 

クコの実エキスは、ビタミンCの2倍の美白効果が
あり、シミの予防や、あるいはすでにできてしまった
シミの回復にと効果を発揮するそうです。

 

またクコには、オレンジの約500倍もの
ビタミンCも含まれているとか。

 

 

 

 

先ほど、妊娠中、授乳中は避けた方がよいという
「ベタイン」ですが、プラス面としては、保湿効果、
血液浄化作用、肝機能活性作用もありますので
肝臓の働きを助け糖尿病にもよい作用が期待できます。

 

クコにはヒドロキシプロリンという、コラーゲンの
生成を促す成分も含まれ、同時にコラゲナーゼ
活性を阻害する働きも持っています。

 

ということは、コラーゼン生成だけではなく
コラーゲンを壊すことを防いでくれる働きもします
ので、これは願ったり叶ったりといえますね。

 

その上、クコに多く含まれている、βカロテンは
抗酸化作用があり、コラゲナーゼが活性酸素を阻害し、
シワやたるみなどの進行を遅らせ、ゼアキサンチンは
体内で発生した過酸化物を無害な物質にします。

 

 

クコの実は紅茶にも合いますよ

 

 

 

「不死の実」

美容効果に比べてちょっとテンションは落ち気味ですが
目にもよく、クコの実は「飲む目薬」とも言われています。
中医学で「枸杞子(くこし)」は
滋養強壮、目の疲れを取る漢方です。

 

ゼアキサンチンという、目の網膜中心部に含まれる
成分を有効に摂取でき網膜を守ってくれるため
眼精疲労、白内障、緑内障の予防によいよう。
これ実は、私はかなり期待したいです。

 

ビタミン Pは冷え性やむくみ、血行不良による
肩こりに効き、ルチンが毛細血管を丈夫にし、
ベタインが血行をよくして高血圧も予防。

 

 

 

 

疲れた神経を興奮させるアルカロイドには
疲労回復作用も期待できます。

 

その他には、乾燥性の「カラ咳」にも
効果があり、うずくような腰やひざの痛み
にも効果を発揮するといわれています。

 

また精子を増加させる効果もあり、精子
が少ない男性の治療にも使われるとか。

 

というようにクコの実の効果は満載ですが、それ故に
クコの実は「不死の実」ともいわれているそうです。
すごいですね、「不死」ですって!

 

 

クコ入り茶  その1 紅茶に入れる

 

 

 

1日の摂取量は3〜5グラム

でも効果がすごいからといって、とり過ぎはやはり
禁物、1日に大さじ1杯、20粒前後がよいようです。

 

摂り方は私の友人のように、他のものと混ぜて
グラインダーで細かくするのも消化によさそうですが
うちにはグラインダーがありませんので
そのままサラダやスープにと入れています。

 

クコの実をそのままいただくと
レーズンに似ているともいわれます。
現在、私はレーズンが苦手なのですが
クコの実は全然平気でした。

 

というより美味しかったので
そのままというのも充分ありですよ。

 

 

クコ入り茶  その2 緑茶に入れる

 

 

 

クコ茶(クコの葉を煎じるお茶)

それ以外ではお茶にするという方法もありますね。
私の母がしていたように葉っぱを煎じて、クコに
薬効を期待するお茶と、もっと気軽にハーブティー
感覚で様々なお茶にクコを入れるものと。

 

クコの葉を煎じるクコ茶の作り方
1リットルの水に、大さじ2〜3杯ほどの乾燥
したクコの葉を入れて火にかけ、沸騰後は
10分程度とろ火にすれば出来上がります。

 

また煎じず直接、急須に入れて熱湯を注い
日本茶を入れるように出すこともできます。
この場合も、クコの葉の量は
大さじ1〜2杯でお好みで。

 

 

クコ入り  その茶3 お湯に入れる(あるいは水から煮出す)

 

 

 

クコ茶(クコの実を入れたお茶)

今回、写真に撮ってみたクコ入り茶は、
1  紅茶、2  お湯、3  緑茶、の3種類ですが
コーヒーのような強いもの以外でしたら
中国茶やハーブティーに加えてみてもいいですね。

 

今回は、クコをあまり多くは入れないように
して、それぞれ10粒ずつにしてみました。

 

2のお湯バージョンですが、私はほとんど
お湯という感じはつまらないので
クコの実をお水から煮出してみました。

 

 

 

 

カップに直接、クコの実を入れてお湯を注ぐ
方法もあるようですが、実は柔らかくはなり
ますが、お茶としては薄く味気ない気もします。
煮出しても、結構薄めでしたから。

 

もっとも産地や購入したお店によって違うと思います
ので、色々試してみると楽しいかもしれませんね。

 

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