ミツバチダンス ミツバチの言葉(The Language of Bee)

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

 

 

曇りの日でも太陽の位置がわかる

ミツバチは、花からミツを採取して巣へ運ぶ
という作業を、一日に何度も繰り返していますが
花をみつけるために、むやみやたらに飛んで
いるわけではありません。

 

ミツバチ同士で、花のある場所を
教えあっているということです。

 

その伝達にはダンスを使っていますが、これは
花の位置を伝えるのみならず、新しく巣を作る
候補地を知らせる時にも使われている方法です。

 

 

 

 

巣に新たに女王バチが誕生すると、今までの
女王バチは半数ほどのミツバチを連れて巣を
出ますが、これを「分峰」といいます。

 

「分峰」をしたミツバチの群れが、一時的に
木の枝などに丸く固まって「蜂球」といわれる
状態になっている時に、新しい巣を作る場所を
偵察に行っているミツバチがいます。

 

目星をつけて戻って来た偵察バチが
候補地の場所を仲間に伝える時も
やはりこのダンスを使うといいます。

 

 

「分峰」をし、一時的に木の枝に
いる蜂の群れ「蜂球」

 

 

 

太陽が目印 それでは曇りの日は?

ダンスをすることで「場所」を伝えるといっても
グーグルマップなどを持っていないミツバチに
教えるには、基本になる目印が必要です。

 

日中に世界のどこでも必ず存在するもの、
それは太陽。

 

 

 

 

となりますと、太陽の出ていない曇りの日は
目標が見えず、ミツバチは迷ってしまうのか
といえばさにあらず、曇りの日でも紫外線は
出ていますので、紫外線をキャッチできる
ミツバチには全く問題はありません。

 

空の一角を見るだけで、ミツバチには
太陽の位置がちゃんとわかります。

 

これは「偏光解析能力」と呼ばれるものですが
昆虫や甲殻類などがもつ、小さな個眼が多く
集まって出来ている複眼の効果でもあります。

 

 

蝶々も複眼をもっています
これはガラスの羽を持つ蝶々といわれる「ツマジロスカシマダラ」

 

 

 

赤い色は見えない?

紫外線を見ることのできるミツバチには、黄、青緑、
青、紫外が区別されることが証明されています。
ということは赤い色は見えないということですね。

 

赤い色の花は多いように思うので、ちょっと
意外な感じもしますが、ミツバチは白や青、
紫色の花を見つけるのが得意だそうです。

 

 

 

 

ミツバチは匂いを、触覚に広く分布する
感覚子(かんかくし)と呼ばれる、体の表面
などにある、小さな器官で識別しています。

 

匂いによって、花の種類さえ他の
ミツバチに伝えることも可能だとか。

 

また味覚に関しては、口と足の
跗節(ふせつ)という先端の節や
その他の触覚にも味覚の受容体があります。

 

 

これはショウガの花ですが
ミツバチには見えるかな?

 

 

 

ミツバチのダンス「言葉」

ミツバチには何色が見えているか?、という
研究をしたのは、カール・フォン・フリッシュ
(Karl von Frisch、1886〜1982)という
オーストリアの動物行動学者です。

 

彼は40余年にもわたる長い間、冒頭のミツバチ
の「言葉」といわれる、ミツバチダンスの
解明に取り組んだ学者でもあります。
その研究により、1973年にはノーベル賞を受賞。

 

置いてある濃厚な砂糖溶液にミツバチが来た後に
同じ巣の多くのミツバチが訪れるのを見たカール・
フォン・フリッシュは、ミツバチたちが、その情報を
伝える手段を持っているに違いないと確信します。

 

 

 

 

そこで彼は、特殊な細工をして、ガラス板越しに
巣の中が見えるミツバチの巣箱を作って設置。

 

すると彼の予想に違わず、豊富な花蜜が
ある場所から巣に戻ったミツバチは、巣板
の上で興奮気味にダンスをしていたのです。

 

観察するうちにミツバチのダンスには
2種類あることがわかりました。

 

 

「円形ダンス」

 

 

 

1 「円形ダンス(円舞)」(Rundtanz)

一つ目のダンスはミツバチが、ただグルグルと
回るだけの「円形ダンス(円舞)」と
いわれるものです。

 

「巣の近くに蜜がいっぱいの花が
あるので集めに行こう」という意味。
これは100メートル以内という
近い距離のみを伝えるダンスです。

 

 

 

2 「8の字ダンス」(Schwanzeltanz)

こちらは、目的の花が100メートル以上、
離れている場所にある場合。

 

「8の字ダンス」の「8」は、「蜂」では
なく、数字の「8」の字を描くように
ミツバチがダンスをすることによる命名です。

 

 

「8の字」ダンス

 

 

「尻振りダンス」ともいわれ、規則正しく
「8」の字を描きますが、その中央の直線部分
に来ると、特に腹部を激しく振動させます。

 

 

ミツバチは15秒間に、何回「8」の字を描くか
という実験をカール・フォン・フリッシュは
していますが、その結果は以下の通り。

 

 

巣から花までの距離 ミツバチが15秒間に踊る回数
_______________________
  100メートル      9〜10回
     1000メートル       4〜5回
     6000メートル       2回

 

 

 

 

というように、巣からの距離が近いと
ダンスの速度は速く、離れれば離れるほど
速度はゆっくりになることがわかりました。

 

次の表は「8の字ダンス」の速度と
花までの距離を表したものです。

 

ミツバチほど賢くない私には正直なところ
もうついていけないという感じもしますが、
15秒の間に何回踊るかをグラフにしているそうです。

 

 

グラフ(「B*topia」)

 

 

15秒間に5回踊ったとすると
「巣から750メートル離れた所に花がある」
という意味だとか。

 

「8の字ダンス」を動画で見ると、ミツバチが
実際にどのようにダンスをしているかがわかり
とても面白いですよ。

 

「あぷりのお茶会」史上(!)初めての
動画をつけてみました。

 

 

 

 

54秒ほどの、短い「8の字ダンスの動画」
ドイツ語ですが、映像を見るだけでわかっちゃい
ますので、解説は必要ないかと。

 

動画を見ますと「8の字ダンス」
の中央の直線部分は、

 

「__  」という感じではなく、「〜〜〜」と
ジグザクとかなり激しく動いているのがわかります。
だから「運動」ではなく、「ダンス」なのですね。

 

 

 

 

 

「8の字ダンス」は方向も示す

ダンスの速度が、巣から花までの距離を
表しているということも驚きますが
次はもっと驚いちゃいますよ。

 

「8の字ダンス」は距離だけではなく
なんと方向も示しているのです。

 

「8の字ダンス」の中央の直線は
花がある方向を示しています。

 

ミツバチが巣板の上で横向きになって(下のように)
ダンスをしていた場合、ダンスの中央の直線は
左を差していますので、そちらが花の方向。

 

 

                太陽

 *                  ↑
              90度     |
                     |
花  ←_____

 

 

その時に、垂直の上の方が太陽のある方向で、
花(左)と太陽(上)の作る角度
(この場合は90度)を示しています。

 

「巣から出て太陽のある方向から
左に90度の所に花がある」
と教えているのです。

 

いくら何でも、これは凄すぎませんか?
私は言葉を失うほどの驚きを覚えました。
ホント、ミツバチってすごい。

 

 

 

 

このダンスの規則を覚えれば、人間が見ても
その意図するところを理解することができ
花のありかがわかるといいます。

 

この実験に付随して、カール・フォン・フリッシュ
の弟子であるリンダウエル(Lindauer)は
「オオミツバチ」「コミツバチ」「トウヨウミツバチ」
のダンスを研究し、ミツバチの種によって、ダンスが
少しずつ異なっていることを発見しました。

 

また、「トウヨウミツバチ」や「セイヨウミツバチ」
の場合は、ダンスを暗い巣の中で行なっている
ことから、現在では、仲間への情報の伝達に際して
音も関与していることがわかっているそうです。
(参照/「SCIENTIFIC AMERICAN」、酒井哲夫)

 

 

 

 

 

決定方法や、合図の出し方は?

このミツバチのダンスは、花の蜜のある場所を
教えるだけではなく、「分峰」をした後、新しい
巣を作る候補地を教える方法でもありました。

 

偵察をしてきた複数のミツバチが
それぞれにダンスをして伝えます。

 

新しい巣の場所を決定するのに、数時間から
数日かかることもあるといいますが、それは
どのように決められるのでしょうか?

 

 

 

 

また「分峰」の合図は働きバチが出しますが
(女王バチは巣別れフェロモンを放出するそう)、
「コロニーの中でどのような位置にある働きバチ」
が「いつ」「どんな方法」でこの合図を出すのか等々。

 

これらの研究をしている方がいらっしゃるのかどうか
わかりませんけれど、ミツバチってもうホント面白
すぎて、次々と興味が湧いてきてしまいますね。

 

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