イネが水の中で生育できる理由

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根の先端部から水分を吸収

植物の根は、土の中から水分を吸収してい
ますが、その水分を吸収するエネルギーは、
酸素を使って呼吸をすることで得ています。

 

土の深い部分より表面の方が、酸素を
多く含んでいますので、植物は表面
近くに多く根を張ります。

 

根は、全ての部分から水分を吸収
できるわけではないそうです。

 

先端の新しく成長した部分でのみ
水分を吸収することが可能なため
植物はより根を広げようとします。

 

 

 

 

 

酸素を運ぶ「通気組織」

水中で育つ植物の場合、イネ科の植物など
は、根の皮層に「通気組織」と呼ばれる
隙間を形成する能力をもっています。

 

「通気組織」とは表皮細胞の下に
空洞になった管状の隙間のこと。

 

ここを介して、地上部から根の先に効率
よく酸素を供給し、根からは水分を吸収
して地上部へ運ぶことができます。

 

このような緻密な制御機構を恒常的
にもっているため、イネは水中でも
生育することができるのです。

 

 

古代米といわれる「黒米」

 

 

 

地上のイネ科、トウモロコシ

同じイネ科の植物でも、コムギやトウモロ
コシなどの根は、酸素がたくさんある畑で
育つため、通気組織(恒常的通気組織)を
形成することはありません。

 

しかし畑であっても、梅雨などにより土
が水を多く含み、酸素を含む割合が少なく
なってしまうということも起こり得ます。

 

しかも一過性ではなく、その状態が
しばらく続いてしまうと、当然のこと
ながら根は酸素欠乏の状態に陥ります。

 

 

 

 

 

「誘導的通気組織」が発動

そのような場合、通常コムギやトウモロ
コシはイネのような「恒常的通気組織」
ではなく、一時的な通気組織を形成して
対処します。

 

それが「通気組織(誘導的通気組織)」
と呼ばれるもので、皮層組織で細胞が死
に、通気組織が形成される仕組みです。

 

 

左 通常時             右 水分過剰な状態
(図/「名古屋大学  生命農学研究所)

 

 

左が通常時の根の状態で、右は水分
過剰の状態が10日ほど続いた後の根。

 

大きな空白の部分、通気組織ができて
いるのがわかりますね。

 

さらに興味深いのは、これが遺伝子に
よって制御されたプログラム細胞死、
遺伝子の発現を伴った積極的な細胞死
であることです。

 

いつものことながら、自然はすごい、
凄すぎます。

 

そういえば話はそれますが、春に蒔いた
1粒のお米は、秋に収穫するときは
1600粒になっているそうです。

 

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