花粉症原因植物の濡れ衣を着せられた「セイタカアワダチソウ」

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セイタカアワダチソウは「虫媒花」

スギ以外の花粉症の原因となる
植物の一つとして、キク科の
ブタクサを取り上げましたが、

 

実は、ブタクサが花粉症の原因と
判明される以前、他の植物が疑われ
て濡れ衣を着せられていました。

 

その植物が「セイタカアワダチソウ」、
北アメリカ原産の帰化植物で、キク科
アキノキリンソウ属で大型の多年草。

 

ブタクサも同じ北アメリカ原産の
帰化植物ですが、こちらは1年草です。

 

大きく異なるのは、ブタクサは風媒花で
セイタカアワダチソウは虫媒花ということ、
風による受粉が主ではありません。

 

 

 

ブタクサ(豚草)

 

 

   ブタクサ  セイタカアワダチソウ
*  _________________ 

*  花 10〜11月    9〜11月
*  _________________

*  アメリカ原産   アメリカ原産
   帰化植物     帰化植物
*  _________________

   雌雄同株       両性花
*  _________________

 * 要注意外来生物  要注意外来生物
*  _________________

   黄色の小花    黄色の花
(遠目では緑白色)
*  _________________

    1年草       多年草
*  _________________

     風媒花      虫媒花
*  _________________

 

 

セイタカアワダチソウ(背高泡立草)
(写真/「花かんざし」)

 

 

 

セイタカアワダチソウ(背高泡立草)

学名は、「 Solidago altissima L.」。

 

英名は、「Canada Goldenrod(カナダ・
ゴールデンロッド)」「Late Goldenrod
(レイト・ゴールデンロッド)」など。
(Goldenrodは「秋の麒麟草」の意)

 

以前はアメリカでも、セイタカアワダチ
ソウが 花粉症の原因と思われていましたが
疑いの晴れた現在ではめでたく、ネブラスカ
州とケンタッキー州の州花となっています。

 

日本での別名は「セイタカアキノキリンソウ
(背高秋の麒麟草)」「ダイハギ(代萩)」。

 

「ダイハギ」は萩の切り花の代用として、
また萩の茎を乾燥して作る簾(スダレ)
の代用として用いることからつけられた
名前です。

 

 

 

 

そうそう、セイタカアワダチソウ
って、日本には観賞用、園芸目的
で輸入されたのですよね。

 

どうも悪者のイメージが強く、観賞用
と聞くと少々違和感さえ感じてしまい
ますが(ごめんセイタカアワダチソウ)。

 

すでに昭和の初めには帰化植物として
認識されていたものの多くの人の目に入る
ようになったのは、第二次世界大戦後。

 

アメリカ軍の輸入物資に、タネが付着
していたのが原因と考えられています。

 

 

 

 

 

1960年代には社会問題に

現在は、外来生物法による要注意外来生物
に指定されている他、日本生態学会では
日本の侵略的外来種ワースト100に選ばれ
るという不名誉なセイタカアワダチソウ。

 

実は1960年代、セイタカアワダチ
ソウは社会問題となっていました。

 

戦後の休耕田となった土地に繁殖して
いたことや、当時は花粉症や気管支
喘息の原因と思われていたからです。

 

「操車場 泡立草が 押し寄せて
          大島民郎」

 

などという俳句もあるほどでした。

 

 

溜池山王駅アート「萩」

 

 

 

アレロパシー

しかもセイタカアワダチソウは、地下茎など
から、他の植物の生育を抑制する物質を分泌
している「アレロパシー・他感作用・
allelopathy」をもっていることも判明。

 

「cis-DMA」という根の乾物中に含ま
れている物質が、生育している土壌
にも含まれていることを、千葉大の
沼田真教授が論文にまとめています。

 

cis-DMA の存在は、イネ、ブタクサ、
ススキの生育を著しく抑制します。

 

しかし、cis-DMA  が一定量以上になると
セイタカアワダチソウ自身のタネに対して
も強い発芽障害を起こすというのです。

 

 

「女郎花(おみなえし)」 赤坂「青野」

 

 

 

ススキ  →  セイタカアワダチソウ  →  ススキ

野原等にモンスターのように侵入して
一見、ススキを駆逐してしまったよう
に見えたセイタカアワダチソウでした。

 

しかし、沼田教授によりますとわずか
3〜4年であたり一面、セイタカアワダ
チソウになった場所が、今度は3年で
ススキが優勢になったということです。

 

乾燥した場所ではススキが有利で、
湿った場所ではセイタカアワダチソウ
が優勢。

 

というのは、湿った場所ではアレロ
パシー物質が染み出しやすいからです。

 

しかし、これらの変遷を繰り返す草原も
草刈りや火入れ等の人の手が入らなければ
10年程度で、アカマツやシラカンバなど
が侵入して、草原から低木林に変わります。

 

一方、北アメリカではススキが外来種と
してセイタカアワダチソウの生息地を脅か
している、というのもおもしろいですね。

 

 

溜池山王駅アート「月」

 

 

などなど、いずれにしても
植物の戦略は本当に興味深いです。

 

また、セイタカアワダチソウは
北アメリカではハーブとしても知ら
れ様々な利用法もあるそうです。

 

アレロパシーや花粉症等、散々に言われた
セイタカアワダチソウでしたが、今では
日本に居場所を見つけたのでしょうか?

 

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