「男性脳」「女性脳」は存在しない

もうやめようね

よく目にする「男性脳」「女性脳」という言葉。
私は何やら日本人の好きな血液型云々と似ていて
少々うんざりしていました。

 

これに関してイギリスで、脳の性差はないとの
研究結果が発表されていたというニュースを
「WIRED」からお伝えします。

 

2015年の11月5日の記事なのですが、日本では
つい最近でもネットの記事で見ましたが……。

 

 

 

根拠とされた脳の性差は存在しない

リーセ・エリオットさんが率いるイギリスの
ロザリンド・フランクリン医科大学の研究に
より、これまで「男性脳」「女性脳」の根拠と
されてきた「脳の性差」は、実際には存在しな
いという研究結果が発表されました。

 

研究チームは、6000件を超える構造的核磁気共
鳴画像法(sMRI)検査の結果をメタ分析したとこ
ろ、脳の海馬の大きさについて、大きな男女差は
ないことがわかりました。

 

海馬は、短期および長期の記憶に関わり、感情を
感覚に結びつける脳の部分です。
これまでは、女性の方が海馬がかなり大きいと
考えられていました。

 

この通説により、男性よりも女性の方が感情表現
が豊かであり、また言葉を記憶する能力が高いと
いう固定観念の説明されていたのです。

 

 

 

それ以外の2つの性差も否定された

今回の研究では、大規模なメタ分析により、海馬
以外の2つの性差説も否定されたということです。
その2つとは、脳梁と言語処理の方法に大きな違い
があるという説です。

 

左右の大脳半球をつなぐ神経繊維が束になった脳梁
の大きさに男女差があるといわれてていました。
また、男女の脳波は急による言語処理の方法に、
大きな違いがあるともされていたのですが、これ
らが否定されたということです。

 

エリオットさんは、
「『男性脳』や『女性脳』といったものが存在する
と多くの人が信じており、大きな話題になることも
しばしばです。
脳の性差は、男女のステレオタイプ的な違いの説明
を試みるものにとって根拠となってきました。
けれども複数のデータセットを詳しく調べて、多くの
男女の標本を一つにまとめた結果、こうした性差は
なくなるか、ごく小さくなることがわかりました」
と述べています。

 

 

 

貧弱な根拠

2017年3月25日の日経ビジネスで、脳梁の太さの
男女差についての元になった論文を、川端裕人
さんが紹介していました。

 

1982年の『サイエンス』誌に載ったもので、男女
の脳梁の太さを測ったら女性の方が太かったと
いうことなのですが、この論文のデータが、男性
9人、女性5人というお粗末なものだったそうです。

 

これだけで女性の方が云々といっても全く信頼性
にかけ、なおかつ色々な研究者が再現しようとす
るも、結局できていないのが現状で、現在はこれ
を信じている脳科学者はあまりいないとのこと。

 

にも関わらず、ネットで検索すると「脳梁が太い
から女性はおしゃべりで、感情的」のようなこと
がこれでもかと書かれているわけです。

 

 

 

何で、そうなるの?

また、東京大学、認知神経科学・実験心理学の
准教授の四本裕子さんによりますと、このような
こともあったそうです。

 

2014年の『プロスワン』誌に、脳の中のネット
ワークが、女性は半球「間」のつながりがやや
強くて、男性は半球「内」のつながりが強い
傾向にあるという論文が発表されました。

 

これがプレスリリースになり、ニュースにとり
あげられたりするうちに、本来は、
「結合パターンに統計的な差が見つかった」
という話が、
「女性はマルチタスクに優れていて、男性は
難しい課題に集中することができる。
だから女性は家にいて家事をやるのが得意で、
男性は外で仕事をするのがいいということが
わかり、報告された」
となってしまうのだとか。

 

こういうことって、研究結果だの数字だのと
科学的を装っているだけに、余計やっかい
という気もしますね。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です