腸もれがガンをつくる 藤田紘一郎

「腸もれが ガンをつくる」

東京医科歯科大学名誉教授 藤田紘一郎 2018年5月19日

ガンをつくったり、アレルギーを起こ
したりするのは、腸内細菌が原因
腸内フローラ、腸内環境を整えると、
ガン、糖尿病、アトピー、うつ、脳梗塞、
自閉症、認知症、肥満、老化等が良い
方向に向かう

スギ花粉症の日本第1例は1963年、
日光市日光には昔からスギ花粉が
飛んでいたが、当時日本人はアレル
ギーにならない国民だと言われていた
アメリカではブタクサ花粉症があった
が、日本人は誰もかかっていなかった、
が今は世界で一番アレルギーになりや
すい民族

インドネシアのカリマンタン島の子ど
もたちは不衛生な川で遊んでいながら
アトピー、喘息、花粉症が全くない、
「なぜなのか?」というのが藤田さん
の生涯の研究テーマになった

現地の人は全員、回虫という寄生虫に
かかっていた
藤田さん自身も、小学生の時はほぼ全員
が回虫にかかっていて、スギの実を打っ
て遊ぶスギ鉄砲で遊んでいたが、花粉症
はなかった

インドネシアのカリマンタン島の経験と、
小学生時に住んでいた三重県多気郡明星
村の経験から、回虫がアレルギーを抑え
るのだろうと推測

 

30年前、東京の野犬はフィラリアを持っ
ていて、その虫からアレルギーを抑える
物質、分子量約2万のタンパク質を見つけた

寄生虫の分泌・排泄菅、つまり寄生虫の
うんちとかおしっこの中に分子量2万の
タンパク質があり、それが体内に入ると
アレルギーが抑えられるということがわ
かった

 

 

 

なぜアレルギーを抑えるか?
免疫反応は、マクロファージと
ヘルパーT細胞2とBリンパ球、3つで
なされている花粉が入っていくると
マクロファージという食細胞が出て
花粉を取り込んでしまうと、その情報
がMHCクラスⅡとTCRでB細胞に伝わる

もう一つがCD40を通って入ってきた
花粉の情報がB細胞に伝わり、B細胞は
花粉に対するIgE抗体を作る

次に花粉が飛んでくると、花粉に対する
IgE抗体と花粉とが反応するので花粉症
になる

 

藤田さんに花粉症が起こらないのは
お腹の中に12メートル位になっている
サナダムシのキヨミちゃんがいて、
お腹の中にうんち、おしっこをばらまき、
分子量約2万のたんぱく質(DiAg)が、
私のCD40の中に入っているので、花粉
を吸ってもその情報がブロックされ、
藤田さんのB細胞は花粉に対する
IgEを生産しないので花粉症にならない

 

お腹の中に回虫とかサナダムシを
飼っているとアレルギーにならない
ということが分子レベルではっきり
とし、『サイエンス』という雑誌に
載りBBCもニューヨークタイムスも
取材に来たが、日本の医学会で発表
したら全く無視された

 

『笑うカイチュウ』という本を書いた
アレルギーというのは、肥満細胞の中に
あるヒスタミンとかセロトニンが出ると
アレルギー反応を起こす

肥満細胞はどこにでもあり、鼻の粘膜の
肥満細胞が破れてヒスタミン、セロトニン
が出ると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、
花粉症になる

皮下の肥満細胞が破れてヒスタミン、
セロトニンが出ると、皮膚が赤くなっ
て痒くなり、アトピーになる

気管支の肥満細胞が破れてヒスタミン、
セロトニンが出ると、気管支が収縮
して喘息になる

アレルギー反応というのは肥満細胞が
破れた状態
一旦、アトピーになると、皮下の肥満
細胞が破れ続けるので、それを治す薬は
出てきたヒスタミンを中和する抗ヒスタ
ミン剤、だからアトピーになるとなか
なか治らない

ところが、寄生虫から抽出した約2万の
物質を注射すると、肥満細胞を破れなく
するというのがわかった

アトピー、喘息を一発で治す薬ではあるが
ネズミで実験したところ、免疫のバランス
を失ってガンになりやすい体質になると
いうのがわかった

 

免疫は、Th 1とTh2があり、Th1は
ガンを抑える系、
一方、Th2はアレルギーを関係する系、
そこへこの薬を打つと、Th2は大きく
なるがTh1が小さくなり出てくる
ガン細胞を見逃してしまう

寄生虫からアレルギーを抑える物質、
分子量2万のタンパク質を見つけたが、
実際の寄生虫感染ではTh2と同様に、
Th1を刺激する物質も出している

アレルギーを抑える物質だけを取り
出したから免疫のバランスを失ったが
生きているサナダムシは両方を抑えて
いる、バランスをとって刺激して
いるということがわかった

 

ガンやアレルギーのようなバランス
の病気は西洋医学では治せない
東洋医学的発想(自然治癒力)が必要

 

サナダムシのキヨミちゃんはヒトの
寄生虫なのでヒトの中でしか卵を生
めない、ヒトがガンになっても困る
し、アトピーになっても困るので色
々な物質を出している

そういうものを全部体から追い出し
たから、アレルギーになったという
考え方

それではサナダムシは、みないいこ
とをしているかといえば、そうでは
なくヒトにとって有害な寄生虫もいる

 

腸内細菌が様々な病気を抑えている

文明社会は私たちを守っている菌を
追い出している
皮膚には皮膚常在菌がいて酸性の膜
をつくってアレルゲンや悪いばい菌
が入らないようにし、また皮膚内部
の水分が抜けないようにしている

それをゴシゴシ洗って、守っている
菌まで追い出してしまう

膣にはデーデルライン乳酸菌という
菌がいて、膣のグリコーゲンを食べ
乳酸を作り、膣を強力に酸性にして、
雑菌が入ったら殺すようになっている

それをビデで洗うとデーデルライン
乳酸菌が流れてしまい、膣は中性に
なり雑菌が増えて膣炎が起こったり
流産まで怒りやすくなってしまう

 

腸内細菌は100兆個(重さは1.5キロ)
いて、悪いばい菌が入ったら追い出
している

ビタミンB群も腸内細菌しか作れない
幸せ物質といわれるドーパミン、セロ
トニンの前駆体を作っているのも腸内
細菌で、免疫の70%をつくっているの
は腸内細菌であり、これがないと私た
ちは生きられない

現代人の便は、戦前の3分の1量まで
減っている
腸内細菌は個人個人異なり、その種類
は生まれて1年半でほとんどが決まって
しまう
腸内細菌を増やせば、いろんな病気も
抑えられる

 

腸内環境の整え方

腸内細菌を増やすことと、活性酸素を
消すこと活性酸素は腸内細菌を殺すの
でストレスを取り除き、お腹を温める
こと

腸はミトコンドリアが一番多いところ
で、これを上手に動かすためには体温
を高めないといけない

腸内細菌を増やすには、エサである
野菜、豆類、穀類、手作りの食品を
摂ること
食品添加物の含まれていない手づくり
発酵食品を摂る

 

ガン予防の可能性のある食品、ガーリ
ック、キャベツ、カンゾウ、大豆、
植物性のもの

植物性のものが腸内細菌のエサに
なって、Th1を大きくして出てくる
ガン細胞をやっつける
キャベツは免疫を高め、同時に活性
酸素を抑える

 

活性酸素を抑える食物

ICカード、電子レンジ、抗菌グッズ、
添加物の入った食品が活性酸素を
大量に生んでいて、免疫を低下
細胞を老化させ、寿命を短くし、
細胞をがん化する

活性酸素が原因の病気は200種類
ほどあり、脳梗塞、心筋梗塞、
糖尿病、高血圧、アルツハイマー等、
活性酸素が一因

植物(野菜)を取り、酵母とか
カビなどの発酵食品を摂り腸内
細菌を増やす

腸内細菌はお腹の中で水素をつくり
活性酸素を消す

植物の中にだけ抗酸化物質がある
植物は炭酸ガスを吸って酸素を出す
酸素は大事なものではあるが、これ
が活性酸素に変わると細胞を傷つけ
るので、植物は自分の身を守るため
抗酸化物質、フィトケミカルを持っ
ている

 

何かというと色と匂い。
ポリフェノールは、ぶどうとか、
プルーンなどに含まれている鮮やか
な緑とか、赤色、これが活性酸素を
消す作用がある

 

 

 

 

7 解糖エンジンとミトコンドリアエンジン

お腹を温めることが重要
私たちは解糖エンジンとミトコン
ドリアエンジンの2種類で動いて
いる

解糖エンジンは古いエンジンで、
地球上に酸素がない時に、ばい菌
たちが使っていた古いエンジン

それが残っているのは、子づくり
とか、暴力とか、原始的なエネルギー

ミトコンドリアエンジンは、植物
とか、動物になってできた新しい
もので、これは長生きのエンジン

 

解糖エンジンは低い温度で周り、
ミトコンドリアエンジンは高い
温度で回る
ミトコンドリアが一番体の中に
多いのは腸

 

動物とヒトはエネルギーの使い方
が違うので、長生き実験は動物
実験では得られない

カロリー制限したネズミと、食べ
放題のネズミを比べると制限した
ネズミの方が長く生きるが
人に当てはめられない

肉を週2回くらい食べる人が元気
歳を取ってくるとコレステロール
を摂らなくてはいけない

年とともに脳細胞が弱ってくるが
脳細胞の膜はコレステロールでき
ている

100歳以上長生きしている人に菜食
主義者はいない
動物実験とは違うことを認識する

ゆっくり呼吸し、体を温め、過激
な運動をしない、これがミトコン
ドリアエンジン、つまり長生きエン
ジンを動かす

ガン細胞は、全てではないが古い細胞
なので、解糖エンジンで動いている

 

8 腸もれ 腸内細菌が血液中に洩れて病気の原因に

『脳はバカ、腸はかしこい』
生物が地球上に生まれた約40億年、
そのうち35億年までは腸だけの
生き物で、脳ができたのはたった
5億年前

 

医療が発達しているのに食物アレ
ルギー、自己免疫疾患、糖尿病、
動脈硬化、ガンなどの病気が起こ
るのかといえば、リーキー・ガット、
「腸もれ」も関係していると思う

リーキー・ガットとは、腸のバリア
機能が低下して、腸間膜に穴があい
ている状態

 

赤ちゃんがものを舐めるというのは、
本能的に腸内細菌を増やしている、
腸内細菌の種類は一年半で決まって
しまうので離乳食を始めて、添加物
が入ったような食品をとって、もれ
る腸になったということ

糖尿病になるとリーキー・ガット、
もれる腸になりやすい
生きた腸内細菌が血液中に入って
いる割合が、50人中2人、糖尿病
では50人中12人

生きた腸内細菌が血液中に見える
ということは腸に穴があいている
からで、動脈硬化も、腸に穴があ
いていることが原因だということ
が明らかになってきた
動脈硬化は、リーキー・ガットから
生きた腸内細菌の毒素が入って、
血管に慢性炎症が起き、血管内に
マクロファージの死骸ができて
これが動脈硬化になる

自閉症の原因も腸だということが
わかってきた
4EESという毒素が腸から侵入した
結果、自閉症が起きる、整腸剤を
与えると治ってしまう

その腸のバリアを強化しているのが、
短鎖脂肪酸これは善玉腸内細菌が
食物繊維を食べるとできる

 

9 病気の遺伝子があっても腸が良ければ長生きできる

35億年まで腸だけで生きてきたので
脳死、脳が死んでも人は生きている
が、腸が死ぬと全部死ぬ

O-157が入っても腸内細菌が追い出す
食物繊維を消化できるのは腸内細胞
だけで、ビタミンBとか、大事なビタ
ミンを合成するのも、ドーパミン、
セロトニンの前駆体も同様

セロトニンが脳に少なくなると
うつ病になる
メラトニンがないと眠れなくなる

うつ病や眠れないというのも
腸が悪いから
腸内細菌と腸細胞で免疫の70%をつくる
セロトニンのもとは、トリプトファンと
いうアミノ酸ですが、葉酸とか、ナイア
シン、ビタミンB6がないと作れない

だから腸の中に腸内細菌がいないと
セロトニンもドーパミンもギャバも
できない
だから腸を大事にすると、心も体も
元気になる

今、食物繊維の摂取量は、戦前の
3分の1
腸内細菌が減ると免疫が落ちて、
花粉症とか喘息が1963年から急激
に増えた

セロトニンが脳に行かないので
うつ病が2000年から増えてきた

うつ病とかアレルギーが増えたのは
腸内細菌が減ったことと関係して
いると思う

腸内細菌を増やすのは難しいこと
ではない、
免疫の70%を腸内細菌がつくるの
で、野菜類を多くとることが大切

『遺伝子も腸の言いなり』に書いた
が、アメリカでもほとんどの人が
遺伝子で病気になるかどうか決ま
ると思っているが、腸がよければ
エピジェネティクスといって遺伝
子が変わる

 

遺伝子の末端にテロメアという、
いわゆる寿命の回数券があり、
生まれた時は1万塩基対持っている、
それが5000塩基まで減ると死んで
しまう

病気にかからなければ、1日平均
50塩基が短縮するが、病気をしな
ければ5000割る50で100、病気を
しなければ病気の遺伝子と関係
なく100歳まで生きられる

病気をするとテロメアはより多く
減るので、残りのテロメを上手に
使う、毎年50塩基短縮するのを
40にすればいい

それには免疫を高めるものを食べる
ことでテロメアは短くならない
活性酸素を浴びると免疫が低下し、
テロメアが短くなる、だから活性
酸素を抑える色のついた野菜、
果物をとってストレスを避け、なる
べく文明社会に接しないようなこと
をする

食べ物は歳を取ってきたら精製した
白米はやめ、玄米に全粒粉で作った
パンを食べる

 

 

 

 

 

 

 

 

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