5人に1人は 人一倍敏感な子ども「HSC」

「HSC」

5人に1人は、「HSC」といわれる敏感な子ども
(人)がいるといわれます。
感受性が豊かで、他人の気持ちによく気がつき、
周囲の刺激に敏感で傷つきやすいという
生得的な気質をもつ子ども(人)のことです。

 

「HSC」とは、
「ハイリー センシティブ チャイルド
(Highly Sensitive Child)」、

「HSP」は、
「ハイリー センシティブ パーソン
(Highly Sensitive Person)」。

 

 

 

 

 

「病名」ではなく「概念」

アメリカのエイレン・N・アーロン博士が提唱した
概念で、病名や障害ではありません。
それなのにあえてそのような分類をして、枠に
はめることが必要なのかとの意見もあります。

 

ですが、いじめがあったり成績不振でもない子
が、HSCゆえの敏感さや疲れやすさのために
不登校になってしまったり、心身症の症状が
出てしまうことも少なくありません。

 

そのような時に「発達障害」と間違った診断をされ
違和感を感じ、アスぺルガーやADHDを調べて
みてもじっくりこなかった親が、HSCを知って腑に
落ち、「まさにこれだった」となることも多いとか。

 

学校で支援をする側のスクールカウンセラー等が
この概念を知らないために、間違った、時には真逆
のアドバイスをしてしまうこともあります。

 

追い詰められたHSCの子は、
「死にたい」
「生まれなければよかった」
とさえ思ったり、かつて不登校だった子は、
「自分は、HSCという言葉を知らなかったら、
生きてなかった」
と言ったといいます。

 

 

 

 

 

専門職の人に知ってもらいたい

このようなことを防ぐために、子どもに関わる
専門職の人に、知ってほしいとおっしゃるのは、
日本の HSC研究の第一人者である心療内科
医の明橋大ニ(あけはし だいじ)先生。

 

2018年に、一万年堂出版から
『HSCの子育てハッピーアドバイス』を出し、
HSCの提唱者であるアーロン博士の著書
『ひといちばい敏感な子』の翻訳(共訳)も
なさいました。

 

「HSC」の特徴
アーロンさんの『ひといちばい敏感な子』に
よりますと、HSCの子の特徴は、
1 深く考える
2 過剰に刺激を受けやすい
3 感情の反応が強く
4 些細な刺激を感知する
ということです。

 

 

 

 

 

「敏感さ」

明橋さんは、
「知覚過敏などの特徴が発達障害と共通する
が、人の気持ちに気付きにくい発達障害と、
HSCは違う」
と指摘します。

 

「不登校の子や摂食障害の子を診察していると、
親の育て方は普通で兄弟も普通、でもなぜか
この子だけ症状が出ているというケースがよく
あったんですね。
詳しく状況を聞いていくと、すごく敏感で給食に
うるさいとかいう話が出てきたりする。
子どもというのは、10のことを指示しても、普通は
その中の1つしかやらず、何度も言われてやっと
できるようになったりするものですが、そういう子は
10の指示で100受け取り、しかも1年後もずっと
やり続けていたりすることがある。
そんなことから、そうした子の疲れの原因に
『敏感さ』があるのではないかと、次第に感じ
始めたんです」

 

「現代は同調圧力がシビアになっていて、価値観
が画一化して同じものさしで測られるようになって
いるので、HSCの生きづらさが増している時代かも
しれません」
ともおっしゃっています。

 

 

 

どうしたらいいの?

「苦しい」ことに気づく
意外なことにも思えるのですが、HSCの子は自分が
イライラしたりだるくなったりする理由がわからない、
「苦しい」ということに気づけないこともあるそうです。
まず、それに気づき、同調圧力にまきこまれる前に
自分の気持ちを大切にし、わがまま等と言われても
境界線を引くことです。

 

「べき」より「したい」ことをする
HSCの人に限らないことだとですが、私たちは気が
つくと、〇〇する「べき」で動いていて、それが
「したい」ことだと勘違いしていることも多いように
思います。

本当に自分の「したい」ことができるように、また
自分の気持ちを相手に伝えることができるような
訓練も必要です。
この「アサーティブトレーニング」は、日本と異なり
欧米では大事にされています。

 

つまり、みんなと一緒にできないことは無理にせずに
本当に自分がしたいことをする、また自分の気持ち
を相手に伝えるようにする、仮に人から批判されても
「私はこれ、我が家はこれ」と境界線を引けることが
大切なようです。
(アメリカでは、境界線を意識する「バウンダリー
ワーク」というトレーニングをしたりするそうです)

 

でも、こうして書いてみると、これってHSCに限らず、
全ての人にとっても良いことではないかという
気がしてきました。

 

 

 

 

 

「HSC」が生まれるのは必要だから

私は最初、HSCが5人に1人という多さに驚きましたが
明橋さんはこんな風に説明をしていらっしゃいます。

 

「我々のDNAの中に一定の割合で、敏感な人が
生まれるようにプログラムされているということだ
と思います。
生き物としての長い歴史の中で、こうした『敏感さ』
が、生存戦略として必要だからDNAとして残され
たということでしょう。
親子で似ることもよくありますが、全てではありません。

 

「おそらく昔から宗教家とかリーダーとかにいたのだ
と思います。
特に敏感+HSSの人は、人の気持ちを掌握するのが
得意でリーダーに向いていますから。
あるいは参謀的な人、例えば諸葛孔明とかは、そうじゃ
ないかと思います。
風邪とか空気の変化で天候を察知して戦略を立てる
なんて、いかにもHSCらしい」

 

「人の気持ちに細かく気がつくHSCは、人の世話をする
仕事、たとえばカウンセラー、介護士、保育士などの
仕事は本来向いていると思います。
あとは、参謀的な仕事、アドバイザー的にいろんな状況
を分析してプランを立てることも向いています」

 

「最近、海洋生物がゴミを食べて死んでしまうとこが
問題になっていますが、そういうテーマにひといちばい
心を痛めるのがHSCです。
とにかく世の中は『自分が生きている間だけ、何とか
なればいい』と考える人はいるものです。
だからこそ、HSCやHSPが細かく気づいてくれる。
それは人類に必要なんです」

 

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