「1日あたりの人件費80万円も……現役職員の証言」報道特集 東京オリンピック13

TBS  報道特集

        6月5日放送 書き起こし

 

1日 25万円、35万、20万の計80万円が同一人物に支払われる

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会で
会場準備などを担当する現役職員が、番組の取材
に応じた。

 

職員
「お金の流れというのは我々も疑問に感じるところ
でありますので、この実態を知ってほしいなと」

 

先週、国会で問題になった組織委員会と広告代理店
との間で結ばれた、契約文書について聞いた。
これが、バトミントンなどが開催される武蔵野の森
総合スポーツプラザに関する委託契約書だ。
組織委員会の事務総長、武藤敏郎氏と広告代理店
社長の印が押されている。
番組は、この文書を前もって職員に渡し、自分が
担当する会場の契約書と比較してもらっていた。

 

 

職員
「(担当会場と)同じような計上のされ方をして
いるので、おそらく本物なのではないかと思います。
実印も本物なのではないかと思いますので
この契約書自体も存在するものだと思います」

 

 

さらにこの文書には、運営に関わる
詳細な人件費の内訳が記されていた。

 

「本大会に向けての準備業務
ディレクターA   単価 350,000円 1人」

 

だが、組織委員会は国会で、これは
「1日あたりの人件費単価ではない」
と否定した。

 

〜〜〜国会〜〜

立憲民主党・斉木武志衆院議員
「単価35万円、さすがに高すぎませんか」

組織委員会・布村幸彦副事務総務庁
「内訳書は、契約締結の際の参考資料という
位置づけで 記載の単価はございますが
人件費単価そのものではないと認識している」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

だが、職員の認識は違っていた。

 

職員
「これは1人あたりの単価だと思います。
人件費ですね、これは1日単価ですね。
実際の運営にあたる人数で当然見積もりを
出していると思いますので、実際の人数
だと思います」

 

さらに職員によると、1日35万円のディレクター
にはこれに加え、別の報酬も支払われている
可能性もあるという。

 

職員
「一般的な感覚からしてありえない数字」

 

組織委員会と広告代理店の間で結ばれた委託契約書、
武蔵野の森総合スポーツプラザでは、

計画策定のディレクターに1日25万円、
大会準備業務のディレクターに1日35万円、
会場運営にあたる会場統括に1日20万円

と記されている。
組織委員会の現役職員は、これらが
同一人物が兼ねる場合もあると聞いている。

 

職員
「計画の策定業務にあたった人が
勿論、大会に向けての準備業務行いますし
本番業務も行うということですので
これは同一人物に支払われる額
なのではないかと思います」

 

Q いくらになりますか?

 

職員
「合計で(1日)80万円
一般的な感覚からしてありえない数字
本当にいびつだなあと思います」

 

Q 何でこんないびつな構造なんですか?

 

職員
「それにはやはり、政治的なものが絡んで
いたり、利権的なものが絡んでいるからこそ
こういった額になっているのではないか
と推察します」

 

 

直接運営業者に委託せず、広告代理店に委託する管理費が10〜15%

さらに、オリンピック会場の運営費用の
見積額を記した1枚の文書がある。
業務を組織委員会から請け負っている
のは大手広告代理店など、9社だ。
予算規模が最も大きいオリンピックスタジアム
では35億円あまりが支払われることになっている。
現役職員は、この文書には組織委員会から
代理店などに支払われる不透明な
金の流れが隠されていると証言する。

 

職員
「実際の現場の運営にあたるのは下請け。
我々は当然、直で現場の業者とやりとり
させていただくこともありますので。
広告代理店は仲介をするのみ、契約の
仲介をするのみという状況ですね」

 

職員が担当するオリンピック会場では
組織委員会から業務委託された広告代理店
はその仕事を下請け会社に再委託しているが
それだけで特別な報酬を得ているという。
それが「管理費という名目ですね」

 

確かに文書には、管理費という項目がある。
10%、15%という割合が示されている。

 

Q ご自身が担当している会場は
どれ位なんでしょうか?

 

職員
「同様に10〜15%ですね」

 

Q「それを広告代理店がとっている?」

 

職員
「はい」

 

オリンピックスタジアムの場合、3億5000万円
あまりが委託会社の収入になる計算だ。

 

職員
「我々委託する側からしても疑問に感じざるを得ない。
広告代理店と契約するより、実際の運営業社と直で
契約したい、それが本来あるべき姿だと思いますので」

 

実際に、組織委員会内部でも、広告代理店を通さず
業者と直接契約すべきという問題提起があったという。

 

職員
「直で事業者と契約させてくださいと
異を唱えた部署もあったと聞いています」

 

Qその意見は、どの後どうなったんですか?

 

職員
「現状は以前と変わらず従前通りになって
いますので、ということは聞き入れてもらえ
なかったのだなと」

 

 

〜〜〜国会〜〜〜

この管理費について、国会で問われた
丸川オリンピック担当大臣は、

「一般管理費は業務原価とは別でございまして
業務を担当する部署以外の経費からなるもの
であると。
この経費は多いか少ないかわかりませんが
一般的にそのように取り決めていると」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

職員「やるせない、許せない、ありえない」

今回証言した職員は、肥大した
オリンピック経費に胸を痛めているという。

 

職員
「組織委員会の会計でまかないきれない部分は
東京都や国の負担に税金で賄われると思いますので
コロナ禍で失業率も増えていて、そういった人に
対する福祉が重要な中、そういったお金の使われ方
をしているのはやるせないといいますか、許せない、
ありえないことなんじゃないかなと思います」

 

さらに、国・東京都に望むこととしてこう語った。

 

職員
「国民の皆さんの税金を使ってこの大会を
開催する以上は、やはり適正な金額、
適正なお金の流れで運営できるように。
お金を出す国や東京都が物申せば、そういった
体質も解消される部分があると思いますので
是非、実態を知っていただいて
問題に切り込んで欲しいなと思います」

 

 

斉木議員「流石に渡しすぎ」「公表しないのは問題」

組織委員会の複数の職員から、直接
内部告発を受けたという斉木議員は、

 

「税金も入っていますし、都の税金も入っているし、
パラリンピックは国税も入りますし、更に。
これはさすがに渡しすぎではないかなと思います。
資料を見ると、こんな人件費が積まれている。
とにかく公表しない、外には出さない、
これはちょっと問題があると思います」

 

 

鈴木教授「他の代理店が競争できる状況ではなく、代理店の言い値に」

東京都の職員として、東京マラソンや
オリンピック招致に関わってきた
国士舘大学・鈴木知幸客員教授は
代理店との契約についてこう語る。

 

鈴木教授
「2016年に招致をやった時も、こういう
(費用の)数値の作成は全て代理店がやって
いますから、交渉がほとんどできない状態
というか、他の会社が競争入札できる状況
ではありませんから、ですから(代理店などの)
言い値になってしまう」

 

Q  オリンピックの会場運営の業務委託費が
ある一定程度は、そのまま請け負った広告
代理店の収入になるのをどう考えますか?

 

鈴木教授
「いくらやむを得ないといっても、
これはひどいですよ、やりすぎですよ。
行政と民間の業務委託という構造の中で
悪い意味で長年培われてきた慣習の継続
ですよ、その肥大化といってもいいです。
(金の使われ方の)根本を国民の前に
さらけ出して議論をしてもらうことですよ」

 

 

広告代理店からはまともな回答なし

組織委員会との契約について、文書に記載された
広告代理店など9社に取材を申し込んだところ
8社から回答があった。

 

だが、「一切応じられない」もしくは
「守秘義務で応じられない」などというものだった。

 

 

組織委員会の回答も国会答弁同様

組織委員会にも、1人1日35万円の記載
について取材したが、
「スタッフ1人に35万円の日当を支払う
ような契約を締結している事実はありません。
当該業務を実施するにあたり、必要となる
直接経費や業務をサポートするための
関係部門の費用などを含むものです」

 

これまでの国会答弁と同じ回答だった。

 

 

混乱するアルバイト募集

オリンピック開催まで50日を切るなか
大会準備に関わる様々な場所で混乱が
起きていることが、私たちの取材で
明らかになった。
オリンピックの運営に関わる費用、
会場で働くアルバイトの募集現場でも
混乱が広がっている。

 

大学の授業のため、オリンピックの
人件費について調べている19歳の大学生。
アルバイトを募集している人材派遣会社
に連絡をすると

 

派遣会社
「(時給)1700円ですと、オリンピック・
パラリンピックのお仕事になるんですけど
仕事内容は『お客様の誘導』とかになるかと思う」

 

人材派遣会社によると、人手がいまだに足りて
いないため、友人を紹介すると報酬を増やす
というのだ。

 

派遣会社
「ご本人がまず弊社に登録いただいてから
友人を紹介していただいて、その友人がお仕事して
いただければ『紹介料』を支払うって形ですね」

 

大学生
「紹介料っていくらになるんですか?」

 

派遣会社
「(友人が)1日お仕事をするごとに1000円
を(紹介者に)お支払いさせていただきます。
上限はないですね」

紹介する人数✖️働く日数✖️1000円
→マージンとして紹介者に支払い

 

大学生は、様々な人材派遣会社に連絡をとった。
「どこも人材を集めるのに苦労していて
時給を高くしてでもどんどん人が欲しいみたい。
かなり大盤振る舞いにお金をばらまいている
現状もあったので、どうなのかなって
疑問が生まれてきました」

 

 

一方、ボランティアは

大会の運営には、アルバイトだけでなく
多くのボランティアも関わる。
だが今週、組織委員会は、ボランティアに
選ばれた8万人のうち1万人以上の辞退を公表。

 

ボランティア
「あれが『築地デボ』といいまして、我々が
ボランティアをする出発点であり終点になる」

 

築地市場の後に並んだ多くの車、大会期間中
国内外の選手や関係者らを乗せるためのものだ。
ボランティアとしてこの車を運転する予定の男性は
大会まで50日を切るなか、自分もボランティアを
辞退すべきか気持ちが揺れているという。

 

ボランティア
「今やらなければいけないのはコロナの撲滅で
あって、そちらの方に注力すべきことなので
そういう時に手伝いをしていいのかなと」

 

男性はここにきて初めて、自分と同じような
仕事のアルバイトが募集されていること知った。

 

ボランティア
「正直なところ驚きました。
もらえるもんだったらもらいたいという気持ちも当然。
お金をもらう人がいるということであれば
そういう気持ちはわいてきますよね。
これまで研修も受けてきましたから、
それは何だったのという気もしますよね」

 

さらに追い打ちをかけたのが
丸川オリンピック担当大臣のこの発言だった。

 

〜〜〜国会〜〜〜

「オリンピックの中には、当然
有償で働いていただく方もいます。
ボランティアでおいでになっていただく
ところもあり、それは私の承知している
限りでは、どのような責任を負って
その職務を果たしていただくかによって
異なろうかと思います」(4月14日)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ボランティア
「ドライバーという仕事を仰せつかっていますけど
本当に、命を預かっているのに無償の軽い仕事か
と言いたくなる。
怒りはあるし、あまりにも知らなすぎる発言だなと。
仕事を本当に知っているの、実態を知っているのと」

 

今、組織委員会の内部でも不安と混乱が広がっている。

 

職員
「幹部の判断というのは、我々も報道で知るレベル。
幹部が今、どういったことを考えているのか
どういう状況なのか、そういう情報共有も
現場にはなされないという。
(観客数上限の決定について)当初3月と言われて
いたものが、先延ばし、先延ばしになるという
ことも、全く現場には知らされない状況だった。
何も現場の声を拾い上げず判断してしまう
のは納得がいかない」

 

この職員の支えになっているのが
アスリートへの思いだ。

 

職員
「コロナかでスポーツより命が優先と
いうのはもっともだと思います。
『中止』を希望する感覚は当然だと思います。
一方で、この大会に向けて、それこそ命をかけて
頑張ってきたアスリートもいると思いますので
オリンピック・パラリンピックにかけてきた
アスリートのために開催してあげたい
という思いで今、やっています」

 

 

内閣秘書官から TBS社長と報道部長へ相当な圧力が

「ai    2021年6月5日

今日の報道特集の放映でTBSの社長と報道部長
には、菅軍国主義ナチスインチキ内閣の秘書官
から、相当な圧力がかかった模様です」

     |

報道の自由度急落の数少ないストッパー

「yaomantai    2021年6月5日

第58回ギャラクシー賞受賞おめでとう
自分がテレビで見ている報道番組の中では
『報道特集』は最もジャーナリズムの本分
を発揮していると感じる
報道の自由度ランキングの急落を招いた日本
で数少ないストッパー」

 

 

 

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