「海老」 溜池山王駅(南北線)アート11

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

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真っ赤な海老

今日の溜池山王駅アートは海老です。
ググッと力強い形と色。

 

これを最初に見た時は、風呂敷かあるいはタンス
にかけておくものなのかぁ、とも思いました。
素材は綿のようですし。

 

ところがこれは「幟(のぼり)」だそうです。
漁師さんの船の幟に使われたものだということ。
確かにこの力強さは、船の幟にぴったりですね。

 

 

image042(写真/「MARSHALLの好きな場所」)

 

 

 

筒描き

この「海老の幟」は筒描という
手法で書かれたものです。
筒描と書いて「つつがき」と読みます。

 

古い建物を壊したときなどに出る、ふすまの裏
に張ってある薄い日本紙を筒状にして、柿の渋を
何度か塗り乾燥させた筒のことをいいます。

 

この渋筒は使い始めて2週間ほど
でだめになってしまうものだそうで、
現在はあまり使われていないようです。

 

第一、古い建物を壊す時に出るといっても
現在は、そのような家はあまりないですしね。

 

 

 

 

 

渋筒

ただ渋筒というものは実際には見たことが
なくても、何となく想像はつきますよね。

 

こちらは材料が古くて薄い日本紙ではなく
セロファンですが要は、ケーキのクリーム
を絞るもののような形状ですよね。
もちろん、もっと繊細なものなのでしょうが。

 

 

20111023_2537314(写真/「Un Bon  Journal」)

 

 

私は、実際には見たことがありませんが
着物の模様を描いている場面などで
何度がTVで見た記憶があります。

 

 

 

米糊が色と色の防波堤に

米糊を渋筒から絞り出しながら
布の上に線をひき、この大胆な真っ赤な
海老が形作られていったんですね。

 

渋筒で線を描くといっても、この米糊
が、色と色の防波堤のような役目で
色が混じり合わないようにするわけです。

 

もっとも、この「海老の幟」は線も太く
大胆ですが、渋筒では小さい細やかな
模様を書くこともあります。

 

 

 

 

地色の藍と、海老の赤。
溜池山王駅アートの中でも
最も力強さを感じさせるものです。

 

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「萩(はぎ)」 溜池山王駅(南北線)アート10

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「溜池山王駅」アート「萩の花」

「琴と萩文様肩衣」という狂言の装束で
名古屋狂言共同社の所蔵だそうです。

 

右下の方に線が何本か見えるのがお琴の弦。
この萩の花も、昨日紹介した秋の七草の一つ。

 

萩はマメ科ハギ属だということですが
そういえばお花がマメのお花ですね。

 

 

haginohana370(写真/「きままなシニアライフ」)

 

 

 

地味な花だと思っていましたが

万葉集には、萩の花がたくさん
詠まれていますし、「源氏物語絵巻」
にも、萩の花が描かれていますよね。

 

私は子どもの頃、昔の日本人は
なんと地味な花が好きな人々だった
のであろうか、と思っていました。

 

秋の七草それ自体も、地味っちゃ地味でしょう?
昨日の女郎花といい、くずの花といい……。
でも、このように見てみますと美しいですね。

 

 

kuzunohana370葛の花(写真/「わくわく日記」)

 

 

 

昨日の記事、訂正!

そう、葛の花で思い出しました!
昨日は、「葛の葉っぱ、葛の花なんで
見たことないなぁ」
なんてつぶやいて
しまいましたが、葛の葉見たことありました!

 

うさぎ友達のシュウままさんが
よくシュウちゃんのために葛の葉を
採りにいくと言っていましたし、
うちのうさぎの「あぷり」にも
送ってくださったこともありました。

 

うさぎさんて、葛の葉が好きなんだそうです。
そういえば「吉野葛」の葛も、葛のことですよね。

 

葛粉とか葛湯とか葛桜とか、考えてみたら日本人
にとって、葛って身近かなものだったんですね。

 

 

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美しい葉っぱですね〜(←葉っぱフェチ!)
(写真/「唯七だより」)

 

 

 

実は「葛」とは御縁が深かった!

って、それどころか……。
私の中学校の校歌は、なんと、

 

「葛の葉しげる 庭に立ち
明け暮れはるか 仰ぎ見る」

 

で始まるんでしたわ。
といいますか、私の中学校「葛飾中学校」
という名前でした。
「葛」という字が入っている!

 

でも私達が中学生の時は、既に庭には
葛の葉なんてなかったと思います、
と書こうとして、また思い出しました。

 

よく考えてみましたら、あったみたい、
庭の隅の方に……。

 

あれ、あれ、あれ……、話せば
話すほどボロボロですやん。
我ながらいい加減なやっちゃと悟った、
秋の夜更けではありました。

 

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「木賊(とくさ)」 溜池山王駅(南北線)アート9

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ザラザラしたかたい茎

「木賊」と書いて「トクサ」と読みます。
「砥草」とも書くそうです。
別名は「歯磨草」と書いて「はみがきぐさ」。

 

「砥草」は「砥石になる草」「砥ぐ草」ですし
「歯磨草」はそのまんま、硬くて何かを磨く、
研磨するという感じがする名前ですね。

 

そしてその「砥草」という名前通りに
茎がかたくてザラザラしているそうです。

 

この茎は珪酸質を含んでいて、表面に
細かい突起があり、いろいろなものを
磨くために利用されています。

 

 

 

「トクサ」は常緑のシダ植物

普通イメージするシダ類とはかなり見た目が違いますね。
こちらは「トクサ」の花。

 

 

tokusa300(写真/「修理人たくちの徒然日記」)

 

 

つくしみたいですね。
そう、「トクサ」ってスギナ科なのです。

 

じみ〜、な感じがするの「トクサ」ですが
こんな風に見るととても美しいですね。

 

 

 

tokusa370-300x225(写真/「シュウホームページ」)

 

 

 

デザインや薬にも活躍する「木賊」

冒頭の「トクサ」はやはり、という
言い方も変ですが、溜池山王駅アートでは
かなりの数を占める狂言の装束です。

 

「木賊と松皮の段文様肩衣」という名前で
岡山県の林原美術館が所蔵しています。
(「MARSHALLの好きな場所」)

 

そしてつぎは「トクサ」を蒔絵で棗の模様
としたものが次の写真ですが、これは現代の
作品で、ネットショップに出ていた大棗です。

 

 

natumetokusa300(写真/「佐藤大観堂」)

 

 

このように様々なもののデザインにも
活躍している「トクサ」、最初にお話
しました細工物を磨くと用途とは別に
腸出血などを抑える薬にもなるそうです。

 

 

 

お能の「木賊」

そこで昔は、この有用な「トクサ」を刈る
お仕事をしている人も いたそうですよ。

 

そういえばお能には「木賊」
という演目もありましたっけ。

 

 

tokusaawayanounokai370(写真/「木賊 粟谷能の会」)

 

 

って、話が逆になってしまいましたが
私が初めて「木賊」という言葉を聞いた
のは お能の「木賊」が最初でした。

 

この「おもちゃ尽掛素襖(かけすおう)」
という装束は、お能の喜多流で「木賊」を
演じる時のためだけにある装束だそうです。

 

「掛素襖」とは、袴などをはいた上に打ち
掛けて羽織るものをいい、能や歌舞伎では
身分の低い人や旅人などが着るものです。

 

「おもちゃ尽くし」というのがいいですね。

 

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喜多流「木賊」専用の装束
「おもちゃ尽掛素襖」 「写真/「粟谷能の会」)

 

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