「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!
肩衣の「蜻蛉」
溜池山王駅アート、15回目の今日の作品は「蜻蛉」。
溜池山王駅アートももう残すところ2つとなりました。
これは言わずと知れた狂言の装束で肩衣の模様です。
きっぱり、はっきり、蜻蛉という清々しさですが
蜻蛉といえば、あの方も気になるところ。
ガレの「蜻蛉」たち
そうエミール・ガレ。
エミール・ガレといえば「蜻蛉」が
頭の中に飛び交います。
そういえば……、と思い出したことがありました。
数年前、東京ミッドタウンにある
サントリー美術館ができて間もない頃
「ガレ展」があったのを。
今、調べてみましたら2008年だったそうです。
(2008年3月20日〜5月11日)
2007年にできたサントリー美術館の開館
一周年記念展と銘打った「ガレ展」でした。
また後援はフランス大使館、フランス
政府観光局ですが、日仏交流150周年
記念事業の一環でもあったようです。
その展覧会で紹介されたトンボ関係(?)
の作品を、いくつか御紹介しましょうね。
瓶「蜉蝣(カゲロウ)」
フランス、ナンシーに生まれた
エミール・ガレ(1846~1904)。
「ナンシーに生まれた日本人」とも
いわれたガレの作品は、多くの
日本人の心をとらえて離しません。
こちらは、生まれてわずか数時間の命しか
ないというカゲロウをモティーフにした花瓶。
シンプルな形に、ちょっとくぐもった
ような美しい色が映えます。
瓶「蜻蛉——ひとりぼっちの私」
そしてこちらは蜻蛉が落下して
死に行く蜻蛉の姿を描いた瓶。
1889年の作品で「蜻蛉・ひとりぼっちの私」。
この瓶には
「ひとりぼっちのわたし、
*ひとりぼっちでいたい」
との文字が刻まれているそうです。
とともに、
「うちふるえる蜻蛉を愛する者 これを作る
エミール・ガレ ナンシー」
との言葉も。
脚付き杯「蜻蛉」
最後に展示されていたのが
この脚付きの杯「蜻蛉」でした。
この作品が展示されたのは、国内外を含めて
その時の展覧会が初めてだったそうです。
ガレが白血病で亡くなる最晩年,
入退院を繰り返していた頃に作った作品。
同じ作品がいくつかつくられたようで
近親者に形見として渡されていたものの一つを
サントリー美術館が手に入れたということでした。
「行く河の流れは絶えずして……」
儚いカゲロウやトンボを美しくうつしたエミールガレ。
そしてその素材もまたガラスという壊れやすいもの。
儚いカゲロウやトンボが、同じように
儚いガラスで表現されている作品の数々。
ですが、それを儚いという私達も
結局は同じように消えて行くのです。
高校生の時に古典の時間に勉強した
鴨長明の『方丈記』。
「行く河の流れは絶えずして、
*しかも、もとの水にあらず。
*その主とすみかと、無常をあらそうさま、
*いわば朝顔の露に異ならず。
*或は露落ちて花残れリ。
*残るといへども、朝日に枯れぬ。
*或は花しぼみて露なお消えず。
*消えずといへども、夕を待つ事なし。」
高校生の時から好きな言葉です。
高校生で『方丈記』が好きとは、渋い女子高生、
というよりは変な子だったのでしょうね。