タンポポ、アサガオ、オジギソウの体内時計

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タンポポが朝、開くのは光か温度か?

以前の高校の生物の教科書には、タンポポ
の花が開いたり閉じたりすることに関して
「明るくなると開き、暗くなると閉じる」
と書かれていたそうです。

 

しかし実験をしてみますと、この記述
は正しくないことがわかりました。
(江南大学理工学部・田中修教授)

 

タンポポは朝、光があたるだけで開花
することもありますが、気温が高く
なると開く日もあるのだそうです。

 

タンポポの花は朝の「光」によって開く
のか、あるいは朝になって上昇した
「温度」によるものなのでしょうか?

 

 

 

 

 

前の晩の気温によって異なる

タンポポの開花は、前の晩の
気温で決まるということです。

 

夜、気温条件があてはまる場合、翌朝は
明るくなるとタンポポはすぐ開花します。

 

反対に、夜の気温条件が当てはまらない
場合は、翌朝の気温が上がらないと
タンポポは開花しません。

 

 

 

 

 

前の晩の気温の基準、境となる温度

西洋タンポポーーーー13度

 

シロバナタンポポーー18度
カンサイタンポポ    〃

 

また、夕方になるとタンポポの花は
閉じますが、これも暗くなるから
という理由ではないということです。

 

 

 

 

 

開いて10時間後に閉じる

開花後に、ずっと明るい部屋に置き
続けたとしても、約10時間経つと
タンポポの花は閉じます。

 

開花は、前の晩の温度が影響していますが
閉じる方は温度や明るさとは関係がなく
開花して約10時間経過すると閉じるのです。

 

なお、夕方というのは「日の入り前後」と
いう意味ですが、気象庁用語としては
15時頃から18時頃をさします。

 

 

 

 

 

アサガオは?

それでは朝開く、というより朝しか
開かないアサガオについてはどうでしょう?

 

アサガオは、朝の明るさや、タンポポ
のように夜の気温条件によって開く
ということではないようです。

 

なぜなら、真夏ですとアサガオは、朝
明るくなる頃に開きますが、秋では
まだ暗い朝方にも開くからです。

 

アサガオのつぼみは、
「夕方暗くなると刺激を感じて、
その約10時間後に開く」
ということです。

 

 

 

 

 

暗くなった10時間後に開く

夕方暗くなるとアサガオは、暗く
なったことを感じてカウントを始め
10時間ほど経った時に開くのです。

 

その10時間後は、真夏では翌朝明るくなり
初める時刻と重なりますが、秋は釣瓶落とし
といわれるように夕暮れが早く訪れます。

 

その後、10時間経った頃はまだ
空は暗いということなのです。

 

 

 

 

 

植物のもつ「体内時計」

タンポポは
* 前夜の気温条件により
* 朝、開いてから10時間後に閉じて、

 

アサガオは
* 暗くなったという刺激を感じて
* 夕方閉じ、10時間後に開きます。

 

植物は、エネルギーを光合成によって確保
していますから、太陽のリズムに合わせる
システムをはるか昔から作り上げていました。

 

ということで、タンポポもアサガオも
「生物時計(体内時計)」と呼ばれる
不思議な仕組みをもっているのですね。

 

 

 

 

 

「体内時計」発見のきっかけはオジギソウ

1729年、フランスで、ド・メランという
科学者がオジギソウの実験を行いました。

 

朝になると葉を開き、夜になると閉じる
オジギソウは、何によって朝と夜を知る
のだろうと不思議に思ったのです。

 

最初、彼は真っ暗闇の洞窟の中
だったら、葉は運動しないの
ではないか、と考えました。

 

しかし、真っ暗闇の洞窟の中でも
オジギソウは太陽が昇る時刻になると葉を
開き、沈む時刻には葉を閉じたのです。

 

 

「カタバミ」も葉の就眠運動をします

 

 

そこで、ド・メランは考えました。
洞窟は暗闇ではあるけれど、温度変化が
あるので昼と夜がわかるのかもしれない。

 

そこで今度は、洞窟の中で夜はストーブ
で温度を上げて見ましたが、結果は同じ。

 

葉の就眠運動は、それぞれの植物がもって
いる生物時計(生命時計・体内時計)に
よるものとわかったのです。

 

 

 

 

 

体内時計(概日時計)

約24時間の周期を作り出す体内時計
は、遺伝子に組み込まれたシステムで
地球上の多くの生物に存在しています。

 

植物は、体内時計の働きによって、1日の
うちの最もふさわしい時間に生理現象が
起きるよう誘導しているのです。

 

例えば、突然の日光は活性酸素の
発生の原因となり、有害ですので
植物は活性酸素種を取り除く分子を
既に日の出前から合成し始めています。

 

反対に日没後の気温低下のための準備等、
時刻の変化によって生ずる外部刺激に対し
て、植物は事前に準備をしているのです。

 

体内時計は、時計に関する複数の遺伝子間
で相互に制御しているということですが
詳しいことはまだわかっていないそうです。

 

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