ロックフォール(Roquefort)フランス 世界三大ブルーチーズ1

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160211roquefort

 

 

お皿の左が右のお手本となったロックフォール

青カビで作られているブルチーズを食べても
大丈夫な理由は、体に害のないカビを使って
いるからということが前回のお話でした。

 

冒頭の写真のお皿にのっているチーズは、共に
ブルーチーズですが、青カビが多く見える左側が

 

フランスの「ロックフォール」(東京ミッド
タウンのプレッセプレミアムで購入)で、

 

右はデンマークの「ダナブルー」(麻布十番の
日進ワールドデリカテッセンで買ったもの)。

 

 

160211danishblueダニッシュ・ブルー

 

 

右のダナブルーは、フランスのロックフォールを
お手本としてデンマークが作ったチーズです。
「『ダナブルー』はフランスの『ロックフォール』
のデンマーク版」

 

最初は「ダニッシュ・ロックフォール」という名
前だったそうですが、フランスから「ロックフォール」
という名称は使っちゃダメ、といわれて
「ダニッシュ・ブルー(ダナブルー)」となりました。

 

 

 

ロックフォールは無殺菌の羊のミルク

ダナブルーはロックフォールをお手本
に作ったチーズではありますが
両者には大きな違いが2つあります。

 

それは、ロックフォールが羊のミルクから作られて
いるのに対して、ダナブルーは牛のミルクから
作られていることと、ロックフォールのミルクは
無殺菌で、ダナブルーは殺菌していることです。

 

フランスの「ロックフォール」——無殺菌のミルク
デンマークの「ダナブルー」 ——殺菌したのミルク

 

 

 

「チーズの皇帝」

ロックフォールはフランスのロックフォール村で
作られ「チーズの王」、あるいは「チーズの皇帝」
ともいわれるフランス最古のチーズの一つで、
歴代のフランス王にも愛されてきたチーズです。

 

世界では60種類ほどブルーチーズがありますが
有名なもの多くはフランスで作られ、なかでも
ロックフォールは最高峰に位置するもの。

 

1441年、シャルル6世は、ロックフォール村の人々が
ロックフォールを独占的に作ることを許可する
「熟成独占販売協定書」に署名しました。

 

シャルル7世の時代は紛い物が出回ったために
それを罰する法律が出来たほど
ロックフォールは人気があったといいます。

 

 

20090807-1249632735AOPのマーク

 

 

 

初のAOC認定チーズ

また1925年には、フランス初の
A.O.C.チーズにもなっています。

 

「AOC」とは、農産物や酪農品、ワインなどの
原材料等を厳しい基準で考慮し、品質を保証
するためにフランスが与える認定です。

 

AOC  (Appelation d’ Origine Controlee、
アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ )」
           =「原産地統制名称」

 

この呼び名は何度か変化していて、2009年5月から
「AOC」は「AOP」と名前を変えています。

 

AOP(Appellation d’ Origine Protegee、
アペラシオン・ド・リジーヌ・プロテジー)」
           =「原産地名称保護」

 

フランスでは500種類以上のチーズが作られて
いるそうですが、AOPの認定を受けている
チーズは現在、42種類。

 

ロックフォールが一番最初に認定されたそうですよ。
「『AOC』『AOP』『DOP』とは?」

 

 

130618hurumudaberutizu400こちらもAOP認定チーズ「フルム・ダンベール(fourme d’ambert)」

 

 

 

ロックフォール村

ロックフォールはパリから南に650キロほどの
フランス、アヴェロン県にある人口、700人程度
のロックフォール村の洞窟内で作られます。

 

ロックフォール村のある一帯は、今まで
「ラングドック=ルシヨン=ミディ=ピレネー
(Languedoc-Roussillon-Midi-Pyrénées)」
という名前でしたが、

 

今年、2016年1月1日に、かつての
「ラングドック=ルシヨン地域圏」と
「ミディ=ピレネー地域圏」が統合。

 

来月、2016年7月1日からは、統合後の新しい名前
である「ラングドック=ルシヨン=ピレネー」
と呼ばれるようになるそうです。

 

 

Languedoc-Roussillon-Midi-Pyrénées_region_locator_map.svgローックフォール村のあるフランス
ラングドック=ルシヨン=ピレネー(赤い部分)

 

 

 

山崩れが作った洞窟

地図の赤い部分(ラングドック=ルシヨン=
ピレネー)の真ん中の上あたりに、アヴェロン県
ロックフォール=シュル=スールゾン村
(Roquefort-sur-Soulzon))があります。

 

アヴェロン県といえば『ファーブル昆虫記』で
有名なアンリ・ファーブルの出身地でもあります。

 

ロックフォール村の南側にあるコンバルー
(combalou)山は、有史以前に3度の崩落があり
その結果北側には洞窟ができました。

 

石灰石でできたこの洞窟がロックフォールを作る
のに、重要な役目を果たすことになったのです。

 

 

10-3ロックフォール村のコンバルー山(写真/「食い道を行く」)

 

 

 

洞窟が生み出すロックフォール

数千年前に、洞窟の中に羊飼いがたまたま置き忘れた
チーズとパンが、ブルーチーズになったというお話が
残っているそうですが、まあ、これはお話で
本当のところはわからないそうです。

 

石灰岩の洞窟の中にたくさん存在している
「フルリーヌ」と呼ばれる亀裂が、通風孔の役目を
果たして湿度や温度(一年を通し9℃)を一定に保ち、
ロックフォールの熟成に最適な環境を生み出しました。

 

洞窟ができるもととなったコンバルー山は、頂上が
平坦で牧場があり、羊もいるそうですが、山の端が
持ち上がるような形をしていることから「鞍
(コンバロ、combalou)」という名前がついています。

 

 

fururinujpg洞窟の亀裂(フルリーヌ)
(写真/「チーズ専門店アルバージュ」)

 

 

 

原料は栄養価の高い羊のミルク

ロックフォールの原料となる羊の乳は
ロックフォール村があるアヴィロン県をはじめ
周辺の指定された数県で搾乳したミルクを
使用することが義務づけられています。

 

主に、細い顔と水平の耳を持つ
ラカウネ種という羊の乳が使われます。

 

現在の私たちの感覚ではチーズといえば、まず牛が
思い浮かびますが、紀元前5千年頃に中近東で最初に
乳用動物として利用されたのはヤギで、その次が羊、
牛が利用されるようになったのはずっと後のことだそう。

 

羊のミルクは牛乳に比べると、たんぱく質、脂肪、
ビタミン、ミネラル等が牛乳の1.5〜2倍も含まれて
いる優れたものですが、これを温め青カビと
レンネット(凝乳酵素)を加えて出来るのが
チーズのもととなるカード。

 

 

kado130909_20130909162228f09チーズのカード

 

 

 

洞窟内で熟成

このカードに青カビと塩を加えて型に詰め
熟成を待ちますが、その時に使用する青カビは
前回、お話ししたように「ペニシリウム・
ロックフォルティ、Penicillium roqueforti)

が使われます。

 

現在では工場で人口培養したものも使われる
ようですが本来は、コンバルー山の洞窟の
中に、大麦と小麦で作った10kgものパンを
1〜2カ月放置して出来た青カビを使用します。

 

青カビをつけたものは再び洞窟内に運ばれて
最低で3カ月、通常は4カ月、長いものですと
9カ月間熟成をさせます。

 

熟成4週間後には、青カビの繁殖を
抑制するため錫箔で包んで空気を遮断。

 

カビと乳酸菌の発酵速度がそれぞれの洞窟の条件に
よって異なるため、洞窟によってロックフォールの
味が微妙に変化するということです。

 

 

160211roquefortパピヨン社の「ロックフォール」(左)

 

 

 

パピヨン社のオーガニックロックフォール

今日、御紹介のパピヨン社(PAPILLO)は、
シェアは10パーセントと多くはないものの
プロが好む本格派のロックフォールを
作る会社として知られています。

 

オーガニックロックフォールとは、原料のミルクを
搾乳する羊の飼育状態が「なるべく屋外で飼育」され
たもので、「最低でも95パーセントはオーガニック
認証を取得した飼料を与える」という基準のこと。

 

パピヨン社はこの条件以外にも、世界最大の第三者
有機栽培認定機関で、オーガニック認定団体の
世界基準といわれる「ECOCERT(エコセール)」や
農薬・化学肥料・殺虫剤・除草剤を使用していない
無農薬有機栽培の証明である「AB
(Agriculture Biologique)マーク」を取得しています。

 

 

t02000070_0200007012255277316「エコセール」(左)と「ABマーク」(右)

 

 

 

保存は丁寧に

パピヨン社のオーガニックロックフォールは
オーガニックらしい上品さをそなえながらも
青カビがもらたすピリピリ感が強いことが特徴。

 

洞窟によって味が違うこともさること
ながら各社、製法も異なる上、職人さんの
腕によっても味が異なるといいます。

 

パピヨン社のオーガニックロックフォールに
最適な飲物としては、甘口の白や軽めの果実味
の赤がおすすめということですが、もちろん
定番のハチミツと一緒に味わうのもOK。

 

なお保存は、光が苦手なロックフォールですので
アルミホイルに包んでからラップをかけ
冷蔵庫の野菜室に入れるのがよいそうです。

 

とはいえ私はそんなに丁寧にしてはいませんが……。
「どんな風に?」、と聞かれても
とてもお答えできないほど(!)です。

 

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