「御用達」の読み方は「ごようたし」or「ごようたつ」?

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「ごようたし」「ごようたつ」共に正解

先日、赤坂「虎屋」が、本店ビルの立て替えのために
9月で
一旦営業を休止するとのお知らせをしました。

 

このブログで数回に分けて「虎屋」について、少々
お話をした時に現在の虎屋の当主、黒川光博さんの
「虎屋 和菓子と歩んだ500年」という本を読んで
いる時に、「えっ?!」と思うことがありました。

 

それが今日のタイトル、「御用達」の読み方について。
本の中には「御用達」については
このように記されていました。

 

 

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「『御用達』という言葉があります。
『ごようたし』のほか『ごようたつ』『ごようだち』
とも読みますが、これは天皇のお住まいになる御所
などへ御用品を謹んで調達することを意味し、古来
それを請け負う商人を御用商人、
あるいは御用達商人と
呼んできました
(「虎屋 和菓子と歩んだ500年」)

 

つまり「御用達」の読み方としては
「ごようたし」「ごようたつ」ともに正しい読み方で
それだけではなく「ごようだち」ともいうようです。

 

私は、「ごようたし」が正しくて「ごようたつ」
は間違いだと、ず〜っと思っていましたので
かなり驚きました。

 

 

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以前、調べた時は「ごようたし」が正解と…

20年ほどまえだったでしょうか、
「御用達」の本当の読み方がわからなくて
調べてみたことがありました。

 

そこには「ごようたし」が正しい
と記載されていたのです。

 

何を調べたかについては記憶がありません。
ネットではなかったと思うのですが
辞書か新聞だったかもしれません。

 

はっきりと覚えているのは、
「『ごようたつ』と読む人が多いのは『速達』
という言葉を知っているが故の間違い」
という意味のことが書かれていたこと。

 

これを調べた後にも、「ごようたし」「ごようたつ」
のどっちだっけ?、と一瞬迷うようなことも
ありましたが、「速達」ではない方が正解なのだから
「ごようたし」、と思い出していたものでした。

 

 

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誤読によって「ごようたつ」になった説?

ところが今、黒川さんの御本では両方とも正しい
と記載されていましたので、改めて調べてみることに。

 

Wikipediaには、読み方として「ごようたし」
「ごようたつ」の双方が出ているのみで
読み方自体には触れていませんでした。

 

「意味プローちょっと難しい言葉の意味まとめ」
では、「『ごようたつ』がOKになったのは
「誤読により広まった可能性が高そうですが
ここはよくわかりません」とあります。

 

 

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「ごようたし」勢が優勢

「コトバンク」は、冒頭にまず「ごようたし」を
あげていていますが個別に見ていきますと、

 

「デジタル大辞泉」「百科事典マイペディア」
「世界大百科事典 第2版」の3つは
「ごようたし」を採用。

 

「大辞林 第三版」のみが、読み方としては
「ごようたし」を紹介していますが、「ごようたつ」
「ごようだち」とも読むと付け加えています。

 

「Weblio辞書」ですと、
「三省堂   大辞林」が「ごようたし」をあげた後に
「ごようたつ」「ごようだち」とも言うと
上記の「大辞林   第三版」と同じ記載。

 

「丁寧表現の辞書」「歴史民族用語辞典」
はともに「ごようたし」。
まとめてみますとこんなふうです。

 

Wikipedia
   ごようたし ごようたつ

デジタル大辞泉
   ごようたし

百科事典マイペディア
   ごようたし

世界大百科事典 第2版
   ごようたし

丁寧表現の辞書
   ごようたし

歴史民族用語辞典
   ごようたし

大辞林 第三版
   ごようたし ごようたつ ごようだち

三省堂大辞林
   ごようたし ごようたつ ごようだち

 

 

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もともとは「ごようたつ」だった?!

ここまでのことをまとめてみますと
「ごようたし」が正しかったが、誤読の
「ごようたし」も広まり、次第に市民権を得た
ということかと思いきや、このような記載が……。

 

「『御用達』は古語辞典等によりますと
もともとは『ごようたつ』と読んでいたようです。
実際、いくつかの古語辞典では、『ごようたつ』
で見出しを立てています」(「Web日本語」)

 

のちに、慣用的な言い方として「ごようたし」
が一般化し現在に至ったという説明でした。

 

ということは、逆だったのですね。
「ごようたし」→「ごようたつ」になったのではなく、
むしろ反対に、「ごようたつ」→「ごようたし」
という変化を遂げたということ。

 

少なくとも、現在ではどちらも間違っていない
ということですので、深く考えずに
好きな方で言っていいのでしょう。
とはいえ、今ひとつすっきりしないものも残ります……。

 

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