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「筆柿」
毛筆の穂先に似ているところからつけられた
「筆柿」は、愛知県幸田町周辺の特産品です。
「筆柿」の原木は、幕末の頃に植えられたもの
といわれ、樹齢150から200年と推定されています。
1つが100グラムほどの小さめの柿。
「筆柿」は不完全甘柿品種といって、一本の木に
甘い実と渋い実が同時になるそうですよ。
このため渋い実は選別機で選り分け
渋を抜いてから出荷します。
甘柿は突然変異種
いままで私は、柿は甘いもので渋柿ははずれ
と思っていましたが、柿というのは本来は
渋柿であり、甘柿は突然変異種なのだとか。
日本には1000を超える柿の品種がありますが、
この中で完全甘柿は17しかなく、この中から
選ばれ栽培されるようになった柿が
最も有名な「富有柿」と「次郎柿」。
柿は「甘柿」と「渋柿」という2つの区分け
ではなく、実は4つに分類されるそうです。
1 完全甘柿
種の有無にかかわらず全く渋みのないもので、
先ほどの「富有」「次郎」に加え、「伊豆」
「前川次郎(まえかわじろう)」「松本早生富有
(まつもとわせふゆう)」「太秋(たいしゅう)」等。
2 不完全甘柿
種子が作られるとその周辺に、いわゆる「ゴマ」
と呼ばれる褐班が生じて、甘柿となるもの。
ですから、種子が入らなかったり、入っても
少なかったりすると、渋い部分が残ってしまいます。
品種としては「西村早生(にしむらわせ)」
「赤柿(あかがき)」「久保(くぼ)」
「甘百目(あまひゃくめ)」「筆柿(ふでがき)」等。
3 不完全渋柿
2と同様、種子の近くはゴマが入り
甘くなりますが、そのまわりと柿の実全体
としては渋く感じられる柿のこと。
「平核無(ひらたねなし)」
「会津身不知(あいづみしらず)」
「甲州百目(こうしゅうひゃくめ)」
「刀根早生(とねわせ)」、今日の「筆柿」等。
4 完全渋柿
そして最後は種子の有る無しにかかわらず
ゴマが生じない渋柿。
「愛宕(あたご)」「西条」等です。
柿の渋みはタンニン
こうしてみてみますと、柿の渋みを感じるか
否かは、種子のまわりに出来るゴマ(褐班)
が作用しているようです。
柿の渋は「タンニン性物質 シブオール」ですが
これが消えてしまうか、水溶性→不溶性になると
渋みを感じなくなります。
この「不溶性」になるという意味は、
唾液に溶けずに固まったものをいうのですが
これを「ゴマ(褐班)」と呼びます。
不完全渋柿を甘柿に変化させる
この柿は、「3不完全渋柿」の平核無柿ですが
右が何もしないそのままのもの。
左はまだ色づかない平核無柿の実に
固形アルコールの入った袋を被せて作ったもの
ですが、ゴマが沢山入り甘くなっています。
ゴマ入りも平核無柿なのですが
甘く加工したものは「平核無柿」とは呼ばずに
「紀ノ川柿」と呼ぶそうです。
「渋を抜く」とはタンニンを変化させること
甘柿にもタンニンが含まれているのですが
熟すに従ってタンニンが水溶性→不溶性に変化
するため渋みを感じなくなります。
(酸化して褐班となり黒ごま状に固まる)
焼酎に漬ける等、柿の渋を抜く方法は様々ある
ようですが、「渋を抜く」といっても
実際は渋を取り除いているわけでも
糖に変わっているわけでもないのですね。