下重暁子「見せかけの友人はいりません」

今日は、元NHKのアナウンサーで、作家・評論家
・エッセイストをしていらっしゃる下重暁子さん
のインタビュー記事から。

 

下重暁子さんは1936年生まれということです
ので現在は83歳。
昨年、2018年に新書ノンフィクション部門で最も
売れた「極上の孤独」(幻冬舎)を始め、著作は
もうもう多すぎで御紹介しきれませんが、ほんの
一部をご紹介しますと、

 

『なぜ結婚に憧れるか 自発的適齢期のすすめ』
三笠書房 1973年

『思えばこの世は仮の宿』講談社 1984年

『気分はシングルライフ ひとりがあって
ふたりがある』講談社 1991年

『不良老年のすすめ 心意気がいちばん』
大和出版 2000年

『シンプルのすすめ 物も友だちもたくさん
はいらない』あさ出版 2002年

『持たない暮らし』
中経の文庫 2008年 のちKADOKAWA

『最後はひとり』PHP出版所 2014年

『家族という病』幻冬舎新書 2015年

 

という感じの(まあ、選び方に私の趣味が影響して
いますが)著作が続いた後の、昨年の『極上の孤独』
ですね。

 

 

 

「孤独」のイメージが間違っている

下重暁子さんは、孤独と聞いて「孤独死、孤食、
ひとりぼっち」などの負のイメージを思い浮かべる
ことが、そもそも間違っているとおっしゃいます。

 

孤独こそ「本当に豊かな時間」であり、生きていく
うえで必要な時間。
幼い頃に結核にかかったため小学校の2年、3年は
ほとんど学校に通わず、家で一人で過ごしていた
下重暁子さんは、さみしいなんてこれっぽっちも
思わず、窓の外を眺めたり、本を読んだりと自分
だけの時間を楽しんでいたそうです。

 

9年間、アナウンサーとして在籍したNHKでも同様
だったようで、みんなとお茶したり等はあまり参加
しなかったということ。

 

 

 

大切な友だちは多くはいらない

とはいえ勿論、学生時代の同級生や、NHK時代の
同僚など、大切な友だちはいらっしゃいますが
何時間もおしゃべりをしたり、しょっちゅう食事を
したりということはないといいます。

 

極めて親しい友人である作家の黒田夏子さんは、
早稲田大学時代からの友人ですが、その頃は一緒
に食事をすることもなく、プライベートのこともよく
知らず、電話もしないしいつもハガキでやり取りを
するだけ。

 

「でも、黒田夏子さんが75歳で芥川賞を受賞する
までの間、全てを『書くこと』に費やしてきたことは
よく知っている。
孤独という共通項があるからか、どこか同じ『ニオイ』
を感じ、尊敬すべき才能と努力がある。
大切な友達です。
そういう友達はそんなにいりません」

 

とおっしゃり、長々と世間話をしたり、昔話を延々
としたり、四六時中連絡を取り合うのだ友達だとも
思わないとのこと。
大切な友達は1人か、2人、数えられるくらいいれ
ばよく、数の多さはちっとも重要じゃないはずとの
言葉は、本当に頷けますね。

 

 

 

強迫観念、思い込み

また、つながりから解放されて、一人で気軽に過ご
したいと思っているのに、なんとなくグループに
参加している人は、「仲間外れにされたくない」
「もしかしたら何か悪口を言われているかもしれない」
という気持ちからかもしれませんが、それは単なる
強迫観念で思い込みだとも。

 

誰とでも仲良くする必要なんでありませんし、不可能
です。
友達がいないんじゃないかという目で見られようが、
陰で何か言われようが気にしないこと、それだけ。
気にしなければ、そのうち誰も何も言わなくなります
というのはおっしゃる通りです。

 

「見せかけの友人」が何人、何十人いることで本当
の充実した時間は持てない。
友達が少ないことに引け目を感じることなどなく、
むしろ誇りに思ってもいいくらい。
つながりにストレスを感じるよりも、よっぽど健やか
に生きることができるとの言葉は、一つの線を越える
ことができた人の言葉のようにも思えます。
本当は簡単に越せるのに、自分で越すことを止めて
いることもよくありそうです。

 

 

 

孤独の楽しさは自由であること、自分自身と向き合えること

自分自身と向き合うことは、自分の感情と向き合う
ことで、これは人生にはとても重要だとおっしゃいます。
自分の中にある喜怒哀楽、醜い感情に向き合い、
認めることで他人の感情も理解でできる、自分を知る
ことは、他人を知ることでもあり、孤独の必要性は
そこにあるといいます。

 

自分の頭で物事を判断しないで多数意見に流される
風潮、みんながする方へ流されやすい日本人は、
人のことばかり気になる。

 

個が埋没し、自分が何をしたいのかも忘れてしまい
ますが、大切なのは、自分で考え、判断して決める
ことですが、そのような「個」育てるための時間は、
孤独の中にしかないこと。

 

それを充実させることで自分の存在が愛おしくなる。
他人と比べて落ち込んだり、他人から攻撃されて
嫌な思いをしても「自分は自分」と立ち直ることも
でき、ストレスをためずにすむ孤独は得難いものだと。

 

ストレスを抱える人間関係に時間を費やすのでは
なく、自分を大事にできる人間関係を構築すること、
そのために孤独を楽しみ、かけがえのないひとりの
時間を堪能することが、残りの人生を満ち足りた
ものにしてくれますと述べました。

 

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