性別変更に「手術必要」は合憲との初の最高裁判断 

性同一性障害(GID)特例法の「生殖機能をなくす手術を
性別変更の条件とする」規定は、個人の尊重を謳う
憲法13条などに違反するとして、手術なしで性別変更を
求めていた家事審判に対し、最高裁第2小法廷は
1月23日付で「現時点では憲法に違反しない」
との初の判断を示しました。

 

2019年1月25日のデジタル毎日 の記事からです。
三浦守裁判長以下、裁判官4人全一致の意見ですが、

そのうちの2人は、手術なしでも性別変更を認める国が
増えている状況を踏まえ「憲法13条に違反する疑いが
生じている」との補足意見を述べています。

 

 

 

 

性同一性障害(GID)という言葉も、市民権を得てきた
ように思いますが、身体的な性別と心理的な性別が一致
せずに、強い違和感に苦しむ疾患のことで、国内の
患者数は4万人以上との推計があります。

 

2004年施行の性同一性障害特例法は、複数の医師に GIDと
診断された「20歳以上」「結婚していない」「生殖機能
を欠く状態にある」などの条件を満たしている場合に、
家庭裁判所に審判を申し立てて認められると、戸籍上の
性別が変更できると定めたものです。

 

最高裁の司法統計によりますと、2004年の制度施行
から2017年までの、14年間で約7800人が性別を
変更したとされています。

 

 

 

 

今回、審判を申し立てていたのは、岡山県新庄村の
臼井崇来人(たかきーと)さん45歳。

 

岡山葛西津山市部の決定などによりますと、臼井さんは
体は女性で心が男性のGIDと診断され、「身体的特徴で
性別を判断されるのは納得できない」として、子宮と卵巣
を摘出する手術を受けずに、2016年に性別変更を申し立て
ました。

 

しかし同支部は2017年、申請を認めず、翌2018年の
広島高裁岡山支部を同様だったため、臼井さんが最高裁
に特別抗告していたものです。

 

 

 

 

最高裁小法廷は、規定の趣旨を以下のように説明しています。

1 性別変更後に元の性の生殖機能により子が生まれる
 混乱の防止
2 生物学的な性別に基づき男女の区別がされてきた中で、
 急激な変化を避ける配慮 

と指摘し、こうした配慮の必要性は社会の変化に応じて
変わりうるもので、不断の検討を要するが、現時点では
違憲とは言えない」と結論づけています。

 

三浦裁判長(検察官出身)と、
鬼丸かおる裁判官(弁護士
出身)の共同補足意見は、
「近年は学校や企業などでGID
への取り組みが進められ、
国民の意識や社会の受け止め方
に変化が生じている」
として
「規定には違憲の疑いが
生じている」
「性同一障害者の苦痛は多様性を包容すべき
社会の側の
問題でもある」
とも述べています。

 

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