「次女」だけど「自分は男」
今日は、1月26日の BuzzFeed News の記事からの御紹介です。
タイトルは「ゲイとトランスジェンダーと母と子
新しいファミリーが生まれた」です。
少々長い記事なので、まとめてみました。
昨年、2018年の11月、一人の赤ちゃんが生まれました。
赤ちゃんのお母さんはあいさん（仮名 34歳）、
あいさんのパートナーは杉山文野さん（37歳）です。
左から、あいさん、文野さんと赤ちゃん、権さん
写真Daisuke Furuta / BuzzFeed）
文野さんが1981年に生まれた時、戸籍には「次女」
と書かれましたが、文野さん自身は「自分は男」
だと思っていたといいます。
2006年に出版された文野さんの手記には、
中学生になった文野さんが体の変化とともに、
今まで感じていた心と体の違和感を強く意識
するようになっていったことが綴られています。
本の出版を機に、マスコミに出るようになった
文野さんは日本最大のLGBTイベント
「東京レインボープライド」の代表に。
両親の理解も得て
8年前、男性として生きていた文野さんは、
あいさんと付き合い始めますが、
あいさんの両親は二人の交際に反対。
しかし6年の月日が流れるなかで、双方の
両親は二人を認めるようになります。
その次に二人が望んだことーー
それは子供をもつことでした。
誰に父親になってもらうか
精子バンクではなく、知っている人に頼みたい
ということで二人の意見が一致しますが
ここで文野さんが思ったということが
私には少々、意外なことでした。
それは、いくら人工授精であろうと
「異性愛者の男性からだと嫉妬を感じてしまう」こと。
そこで文野さんは 一緒に活動をしてきた
ゲイの権さんに頼むことにします。
頼んだ友人は快諾
同性愛者の自分に子どもが生まれることなど、
想像もできないことだったという権さんは
承諾をしたものの、自分の役割に不安も感じました。
3人は何度も話し合いをし、弁護士のところへも
相談に行き、3人で愛情を持って育てることを
目指します。
当時、権さんには付き合い始めた恋人がいましたが
精子提供については理解を示してくれました。
3人のファミリー
１年6ヶ月後、あいさんは妊娠をします。
それを伝えるとあいさんの両親はもちろん、
権さんの両親も、今まで見たこともない表情で
喜んでくれたといいます。
出産後、文野さんの実家の２世帯住宅で、
3人で暮らし、月に数回は権さんも訪れ、
ミルクをあげたりお風呂に入れたりする関係を
「ファミリー」と呼んでいます。
「『家族』だと血の繋がりを強く感じてしまうけれど、
もっと形にとらわれずに、でもお互いに大事に思って
支え合う。
そんなファミリーになりたい」
戸惑いながらも
文野さんの病院でのお話しは、とても素敵でした。
「実はトランスジェンダーで、生物学上の父親は
別にいて、みんな病室にお見舞いに来たいのですが
というと『そうですか。良かったですね。それで
どうこう言うようなスタフはおりませんから
安心してください』」との対応だったそうです。
当事者ではなくても、なんとも嬉しいですね。
とはいえ新しいファミリーを作っていくのは
これから。
文野さんの両親は「うちの孫って呼んでいいの？」
と聞き、権さんの両親も孫との距離感に戸惑って
いるそうです。
身分登録
また、赤ちゃんの身分登録をどのようにしたかに
ついて、BuzzFeed Newsの長い記事には触れられて
いないのは敢えてでしょう。
最も事実に近いのは、あいさんの婚外子として
届け出をし、権さんが認知（あるいは胎児認知）
をするという形でしょう。
ですが人工授精に限らず、子どもの登録に関しては
かなり事実と異なる届け出があるのも事実です。
特に婚外子を婚内子とするために、操作（虚偽）を
する人も少なくありません。
虚偽の届出が必要ない社会に
私が以前住んでいた家の近くの私と同じ歳の女性が
婚外子を生んだことがありましたが、その時は、
すでに50歳ははるかに過ぎていた、彼女の母親、
つまり赤ちゃんからしたら祖母が生んだとして
届けたそうです。
つまり婚外子と母の関係は、戸籍上では妹と姉
になるわけです。
また、俳優のSさんは自分の婚外子を、妹の子と
して届け、のちに養子縁組をしました。
この場合は、姪と叔母、から養子と養母の関係に
移して共に生活をしています、といっても生まれて
からずっと一緒に暮らしているので、実態は同じです
が戸籍上、子どもを婚外子にしないために細工です。
登録上がどのようなものであれ、あいさん、文野さん、
そして権さんと赤ちゃんを含めたファミリーは
たくましく成長していくに違いありません、
たくさんの愛情のなかで。
