韓国で中絶を禁じた刑法は「違憲」との判決

韓国の憲法裁判所が歴史的な判決を下す

2019年4月11日、韓国の憲法裁判所が中絶を禁止した
同国の刑法を憲法違反とする画期的な判決が出されま
した。
4月11日の「BBC News JAPAN」からです。

 

韓国の憲法裁判所は、2020年の末までに、刑法を改正
するように命じました。
先進国のなかにあって、堕胎罪を定めている国は、
現在わずかしかありません。

 

1953年に韓国でできた規定によりますと、レイプの被害
にあった場合や、中絶をしなければ女性の体に危険を
生じる可能性があるような場合を除き、中絶をした女性
は罰金、または懲役刑に処せられることになっています。

 

 

 

女性医師の訴えがきっかけ

この刑法の規定に対して女性医師が、女性を危険にさ
らし、女性の権利を限定していると訴えたことをきっかけ
に、憲法裁判所が合憲が否かを検討していたものです。

 

判決が下される日、裁判所の外には何百人もの人々を
集まり、堕胎罪をめぐって廃止、存続、それぞれの立場
の主張をアピールしていたと、法廷で取材をしていた
BBCソウル特派員のローラ・ビッカーさんは伝えています。

 

判決が言い渡された瞬間、中絶の権利を支持する人々
は歓喜の嵐つつまれましたが、中絶反対派の人のなか
には、涙を流しながら裁判所を後にする人たちもいたと
いうことです。

 

 

 

女性の権利を求める運動が勢いづいている韓国

ビッカー特派員によりますと、韓国では女性の権利を
求める運動が急激に勢いを得ていることが、今回の判決
につながったと説明しています。

 

なお、判決の前日、4月10日に実施された韓国の世論
調査では、58%の人が中絶禁止をなくすことに賛成
していたということです。

 

私自身はこの数字は、少ないようにも思えるのですが、
とはいえもし、日本で中絶の可否について世論調査を
したらどのような数字が出るでしょうか?

 

 

 

比較的容易に受けられる中絶手術

今回初めてこのような判決が出て、今までは禁じら
れていた中絶手術ですが、実は韓国では比較的容易、
かつ安全に受けることができるそうです。

 

AFP通信によりますと、昨年、韓国で実施された調査
では、妊娠したことのある女性5人のうち1人が、
中絶を経験していたという結果が出ています。

 

中絶を経験した女性のうち、法律が定める要件を満た
していた人は、わずか1%にすぎませんでした。

 

 

 

2010年  約16万9000件 → 2017年  5万件

韓国では2017年に、推計5万件の中絶手術が実施
されとみられています。
2010年の政府推計では、約16万9000件にものぼ
っていたようですが。

 

このように中絶の件数が大きく減ってきたのは、
避妊具の改良と、産児制限に関する理解が広が
ってきたことがあげられます。

 

韓国は、キリスト教福音派の信者も多く、堕胎罪
がある方が、女性は中絶について深く考えるだろう
ということから信者の中には、中絶を違法のままに
するよう求める声もあったということです。

 

私個人としては、「堕胎罪がある方が、女性は中絶
について深く考えるだろう」という言葉が気になり
ますね。

 

もちろん、堕胎罪がなくなることには大賛成ですが、
堕胎は女性だけの問題ではないのに、女性だけが
罰せられることの方を、むしろ問題にしてほしい
と思うのですが。

 

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