薬の値段を決める政府の諮問機関に製薬会社から多額のお金

4年で75%オフになる薬

昨日、御紹介した「オブジーボ」という薬ですが、
この薬は発売当初は1年間、服用すると3400万円
もかかっていたそうです。

 

ところが、薬価が高すぎるという批判があり、
発売4年で75%も値引きされました。

 

薬の値段とはどのような仕組みなんでしょう?
「PRESIDENT Online」から谷本哲也医師の
『薬価業界の不都合な真実 薬価に根拠なし』
(2019年4月17日)を御紹介します。

 

 

 

保険診療

日本は1961年から、国民皆保険制度を取り入れて
いますが、保険診療に関しては薬も含め公定価格
で決められています。

 

その一方で、医者が自由に値段を決められる自由
診療というのもありますが、自由診療と国が値段
を決めている保健医療とを組み合わせて行う
混合診療は、原則的に禁じられています。

 

保険診療を受けている時に、海外から輸入され
日本で未承認の薬を同時に使うということは
できません。
もし未承認薬を使いたいと思うならば、保険
ではなく、全額自費診療になります。

 

日本で医療用医薬品を販売するときに製薬会社
は、日本の規制当局から薬の承認を取得する
必要があります。

 

この規制当局は欧米にもあり、その国で承認
された医療用医薬品であっても、別の国ですぐ
認められるということではありません。
また、認められている同じ薬であっても、使用
する量などは異なることもあります。

 

 

 

公定価格を決めるのは国の組織「中医協」

日本の薬の値段は、厚生労働省が管轄する
「中央社会保険医療協議会(中医協)」により
決められています。

 

アメリカ等は、製薬会社が値段を決め、保険
サービスとの交渉で値引きをされたり、保険で
償還され流範囲から外されたりすることもある
など、公定価格を中医協という国の組織が決め
るのは、日本独特の方法です。

 

承認された薬はどれも薬価がつけられ、原則的に
保険でカバーされるというのも特徴の一つ。

 

 

 

診療報酬、薬価基準を決める中医協

日本で保険診療で行われる医療行為には、公定
価格として一律の点数がつけられています。
1点10円で、初診料は282点、ということは2820円、
心電図は130点で1300円になり、そこから患者は
原則として3割を負担することになります。

 

中医協は、厚生労働大臣の諮問機関として設置
され、2年に1回行われる診療報酬の点数の全面
的な改定を審議します。
医療用医薬品の価格を定めたものは、薬価基準
と呼ばれます。

 

薬価も診療報酬点数表の体系の一部であり、
中医協の元に薬価算定組織が設置され、その
委員長が中医協の総会に報告し、薬価の承認
を得ることになります。

 

 

 

オプジーボは原価生産方式

新薬の価格を決める際の算定方法は、「類似薬効
比較方法」と、「原価生産方式」に分けられます。
以前からある薬の構造を変更したというような
新薬の場合は、同じ価格にするというのが類似
薬効比較方式です。

 

オプジーボのように、類似薬がない薬の場合は、
原価計算方式がとられ、原材料費、研究開発費、
営業利益、流通経費などから決めます。

 

とはいえ、原材料費や研究開発費の内訳は企業
秘密であり公開はされていませんので、ある
意味適当でもあります。

 

補正加算も厚生労働省の裁量で決められますし、
薬価算定組織の委員は非公開、議事録もなく、
算定の経過を知る由もなく検証することも不可能
という状態です。

 

そのような経緯で決まったオプジーボが、かなり
の高額薬価であり批判が高まると、4年で75%も
値引きされることになったのです。

 

 

 

製薬会社から委員に多額のお金

そこで探査報道を専門に行うジャーナリストグル
ープであるワセダクロニクルが、情報公開を請求
しました。

 

それによりますと、薬価算定組織は、本委員11名
と医学薬学の専門委員42名で構成されていること
がわかりましたが、特筆すべきは、製薬会社から
委員に多額の謝金が提供されていたことです。

 

薬価を決める政府組織が、製薬会社から委員
個人にお金を提供していたということには
驚きです。

 

しかもその額にはさらに驚愕します。
薬価算定組織の本委員11名について確認した
ところ、委員長を含む3名の委員が1100万円
前後、2名が380万円前後を受け取っています。

 

この5名を含めて合計9名の医学部関連委員の
全てが、製薬会社からお金を受け取っていました。
ただ、歯学部の委員2名の受け取りはありません
でした。

 

 

 

委員に力はなく、官僚が決めている

厚生労働書は、製薬会社からの薬価算定の影響
を考えルールを決めています。
過去3年度の打ち、審議に関係する企業から50
万円を超える金銭の受け取りがあった粘土は
議決に参加できず、500万円以上だと審議にも
参加できないとの定めです。

 

薬価算定組織の委員長はワセダクロニクルの
インタビューに対して、
「組織は権威も何もない」
と答え、意図的な薬価の次上げは否定して
います。
実質上は、厚生労働省の官僚が主導して薬価
を決めている内情を示唆しました。

 

実際、委員は疫神の筋書き通りに動く大学教授
などが選ばれるケースがほとんどといいます。
「官尊民卑」で役所のお手盛りなのが実態だそう。

 

製薬会社の社外取締役が、新薬を審議する部会の
長を長く務めていたことがあったようですが、実際
は疫神が勝手に決めるので特に公平性に問題はない、
と厚生労働省内では理解されていたようです。

 

 

 

「刑法上はクロ」

しかし、これら政府関連委員というのは、非常勤
の国家公務員でもあり、製薬マネーを受け取ること
が常識となって問題とされてきませんでしたが、
「刑法上はクロ」であり、その気になればいつでも
立件できるという捜査関係者もいるということ。

 

また、審議会では一人でも反対する委員がいると
会議がやり直しになるため、製薬会社にとっては
あからさまに便宜を図ってくれなくても黙ってい
てくれる(反対しない)だけで助かるのです。

 

全会一致で議決されず、最低数ヶ月遅れてしまう
と数十億円の利益が簡単に吹き丼でしまうことも
あるからです。

 

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