マイナンバー関連法案
マイナンバー（共通番号）制度に関する法案が
国会に3つ提出されました。
マイナンバー（MN）カードを健康保険証として
使えるようにしたり、戸籍情報にMNを適用する、
紙製の通知カードを廃止したりという内容です。
この3法案に反対する、市民団体「共通番号
いらないネット」が4月12日に衆議院第二議員
会館で集会を開きました。
2019年5月7日の「BLOGOS」から御紹介します。
マイナンバーカードの健康保険証としての利用は、
健康保険法などの改正案に盛り込まれました。
医療機関を受診する際に、オンラインで健保の
資格確認をする仕組みを導入します。
マイナンバーカードのICチップに収められた電子
証明書（公的個人認証機能）を用い、患者は医療
機関や薬局の読み取り機にカードをかざします。
政府は2020年度中に実施する計画をもっていて、
法案は4月12日に衆院厚生労働委員会で可決され
ました。
マイナンバーカードを利用するよう健保組合に誘導策
神奈川県保険医協会の知念哲さんによりますと、
オンライン資格確認の導入後も紙製の保険証の
発行は可能ですが、
「マイナンバーカードを利用するよう健保組合に
さまざまな誘導策が取られる」
と予想しています。
高齢の患者たちがマイナンバーカードを紛失する
などトラブルが多発するのではないかという危惧
をいだいているということです。
さらに、
「導入後は医療機関のもつ情報が常時インター
ネットに繋がることになる」
と説明、政府はこれをきっかけに、
「医療情報へのマイナンバー制度の適用拡大を
狙っている」
と警鐘を鳴らしています。
他の行政機関へも情報提供
戸籍情報へのマイナンバーの紐付けは、戸籍法
改正案が規定し、災害時などの戸籍の再生に備え
法務局が保有している副本を利用して「戸籍情報
連携システム」を構築し、法相が一元管理します。
住所地の市区町村が提供した住民票コードを付し、
マイナンバーと紐付けして、他の行政機関から
紹介があれば情報提供する方式になりそうです。
旅券（パスポート）発給申請などで戸籍証明書の
添付が不要になるということです。
懸念されるプライバシーの侵害
「共通番号いらないネット」の井上和彦さんは、
「戸籍には被差別部落、婚外子といった『差別
データ』が蓄積されており、ネットワーク化する
ことで問題が固定化して解決が困難になる。
死亡などで除籍された後も150年間保存されるので、
本人の子孫の世代にまで漏えいなどによるプライ
バシー侵害のおそれが高まる」
と言います。
通知カードの廃止は、行政手続きを電子申請で完結
されることなどをうたった「デジタル手続き法案」
の柱です。
法公布後、１年以内に発行や更新をやめると定めて
います。
「監視国家」につながりかねない
プライバシー・インターナショナル・ジャパンの
石村耕治代表は、
「廃止後はマイナンバーカードが強制的に交付され
る可能性もある。
国民全員に常時カードを携帯させることで『監視
国家』に繋がる」
と批判し、その上で、
「世界の潮流はスマホなどのモバイル顛末の活用で、
ICカードの利用は時代錯誤だ」
と指摘します。
政府は16年度末までに3000万枚のマイナンバーカード
を発行する目標を立てていましたが、昨年12月の時点
で、約1564万枚にとどまっており、交付率は12.2%と
低迷を続けています。
今までとは違うレベルの利用拡大策
昨年、2018年10月に内閣府が実施した世論調査では、
マイナンバーカードを「今後も取得する予定はない」
との回答が53%を占めているのが現状です。
健康保険証としての利用や、通知カードの廃止は、
政府の危機感の表れとみられています。
菅義偉官房長官は、今年2月の関係閣僚会議におい
て、「マイナンバーカードの普及策はさらに検討
する必要がある」と述べており、今後もさらなる
取得促進策を打ち出す可能性が高いとみられてい
ます。
「共通番号いらないネット」の原田富弘さんは、
「利用拡大などできない状況なのに、逆に利用
拡大で制度を延命させようとしている。
拡大を止め、制度そのものを見直すべきだ」
訴えます。
マイナンバー方は、マイナンバーの使途を税と
社会保障、災害対策の3領域に限定していますが、
「共通番号いらないネット」は、
「今回の利用拡大は、これまでとは違うレベル。
制度の重大な転換点なる」
とみており、引き続きて議論を呼びかけていく
ということです。
