100人に1人はてんかん患者

てんかん発作は100人に1人の割合

人間の脳は、神経細胞の伝記的な信号のやりとり
で活動していますが、てんかんは、この大脳の
電気的活動が暴走することにより、さまざまな
症状を呈する病気です。

 

年齢、性別、人種に関係なく発病し、100人に
1人の割合でてんかんを持つといわれ、決して
珍しい病気ではありません。

 

発病する年齢は、3歳以下が最も多く、成人に
なると発病者は減りますが、60歳を超えると
脳血管障害などを原因とするてんかんの発病が
増加します。

 

小児てんかんの患者さんの一部は、成人になる前
に治ることがありますが、通常は治療を継続する
ことが多いことから、てんかんは乳幼児期から
老年期まで幅広くみられる病気です。

 

 

 

脳の神経細胞に突然発生する激しい電気的な興奮

世界保健機構( WH O)では、てんかんを、
「脳の慢性疾患で、脳の神経細胞(ニューロン)
に突然発生する激しい電気的な興奮(過剰な発射)
により、繰り返す発作(てんかん発作)を特徴
とし、それにさまざまな臨床症状や検査の異常が
伴う」と定義されています。

 

てんかん発作の症状といいますと、意識を失って
全身を激しくけいれんさせる発作を思い浮かべ
がちですが、大脳の電気的な興奮が発生する場所
によってさまざまです。

 

てんかんの種類

「けいれん」と呼ばれる手足をガクガクと
一定のリズムで曲げ伸ばしをする
         ーー間代(かんたい)発作、

手足が突っ張って体が硬くなる
        ーー強直(きょうちょく)発作、

非常に短時間の意識消失が突然起こる
          ーー欠伸(けっしん)発作、

全身の手足が一瞬ピクッとする
        ーーミオクロニー発作、

感覚や感情の変化、特殊な行動など色々な
症状が表れる     ーー複雑部分発作、

などです。

 

 

 

発作中の脳波は異常な波(棘波)があらわれる

意識が保たれている発作もあり、代表的なものと
しては腹部から胸部にかけて込み上げてくるような
奇妙な感覚がする発作があります。

 

これらの発作の共通点としては、持続時間が数十秒
から数分程度であることと、個々の患者さんでは
必ず同じパターンで繰り返すことがあげられます。

 

症状は色々なのですが、診察する医師が直接に発作
を目撃することは少ないため、診断が非常に難しい
のが特徴。

 

発作を起こしている最中は、脳の中の電流が乱れて
いるため、脳波を測定すると異常な波(棘波・きょ
くは)があらわれ、てんかんの診断に用いられます。

 

 

 

てんかんといわれた患者の4人に1人はてんかんではない?

診断には脳波検査が必須ですが、脳波の判読には
専門店な技術を要します。てんかんと診断され、
治療されていた患者さんの4人に1人が、実はてんかん
ではなかったという驚くべきデータもあるそうです。

 

確定診断は専門家が行うことが望ましく、診断に最も
有力な手段としては、長時間ビデオ脳波モニタリング
検査があります。

 

しかし、日本では専門医は非常に少なく、またモニタ
リング検査ができる専門施設が限られているという現状
があります。

 

限られた資源を有効に活用するためには、専門施設と
地域の医療機関が密接に協力する必要があり、患者さん
の理解と協力も欠かせないということです。

 

 

 

発病の原因

てんかんが発病する原因は様々ですが
「特発性てんかん」と
「症候性てんかん」に分けられます。

 

「特発性てんかん」は、検査をしても異常が見つからず、
原因不明とされるてんかんで、生まれた時からてんかん
になりやすい傾向を持っていると考えられています。

 

てんかんの多くは遺伝しないと考えられていますが、
特発性てんかんの一部には、てんかんになりやすい
傾向が遺伝する可能性も指摘されています。

 

「症候性てんかん」は、脳に何らかの障害が起きたり、
脳の一部に傷がついたことで起こるてんかんです。
例えば、出生時に脳に傷がついたり、低酸素、脳炎、
脳出血、脳梗塞、脳外傷、アルツハイマーなどが原因で
脳が障害を受けた場合に起こるてんかんです。

 

 

 

大脳のどこで起こるかにより発作の症状が決まる

人間の体には、神経が張り巡らされ、その神経の中を
弱い電気信号が通ることにより色々な情報が伝達され
ますが、脳には神経細胞が集合していて、様々な情報
を処理しています。

 

目や耳からの五感による情報も神経を通じて脳に伝達
され、見たものが美しいとか、良い匂い等を感じます。

 

その逆に、脳からの命令により話したり、体を動かす
こともしますし、また、意識していない心臓の動きの
調節や呼吸なども脳からの命令によるものであり、
感情情緒、理性などの精神活動や記憶も制御して
います。

 

このような働きをする脳内の電気信号が、何らかの
原因で一斉に過剰に発生すると、その部位の脳の機能
が乱れ、脳は適切に情報を受け取ることや、命令が
できなくなり、体の動きがコントロールできなくなる
のです。

 

電気信号の乱れや興奮が、大脳のどこで起こるかに
より発作の症状がわかってきます。
てんかん患者は、発作の起こる部位が決まっている
ために、発作ごとに同じ症状が繰り返されます。

 

 

 

発作が5〜10分間以上続く場合は重積状態と判断

発作がある程度の長さ以上続く状態、あるいは
短い発作の場合でも繰り返し起こってその間意識
がない状態で、生命に危険が及ぶ可能性があります。

 

従来は、発作が30分以上続いた場合に重積状態と
されていましたが、最近の考え方では、5〜10分間
以上発作が続く場合は、てんかん重積状態と判断
して治療を開始するようになりました。

 

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