続く子どもの虐待死
親の子どもへの虐待により亡くなるという
何とも痛ましいニュースが続いています。
実子の場合もあれば、妻の連れ子という
ケースもあるようですが、どちらにしろ
信じ難いことであり、許せないことです。
ちょうど一年ほど前に起きた、目黒区の5歳の
女の子、船戸結愛（ゆあ）ちゃんが亡くなった
事件は、優愛ちゃんが書き残していた文章の
痛ましさに言葉を失ったものでした。
昨年2018年の3月2日に、優愛ちゃんが虐待死し、
母親の再婚相手船戸雄大（33）が、傷害容疑で
逮捕されました。
のちに母親の優里容疑者（25）も、保護責任者
遺棄致死の疑いで逮捕。
なお船戸雄大容疑者は、のちに大麻取締法
違反容疑で追送検されています。
2016年、夏「虐待の疑い」
優愛ちゃん一家は亡くなった東京目黒区に
来る以前は、香川県に住んでいましたが、
その地域の児童相談所が初めて虐待の疑い
を認知したのは2016年の夏でした。
近所の人が「子どもの泣き声がひどい」
とのことで児童相談所に通報しました。
優里容疑者が19歳で妊娠した時に
「若年妊婦」として保健師がケアしたものの、
出産当時の記録では、虐待は疑われない
もので、優愛ちゃんが通っていた幼稚園に
問い合わせをしても、「特に問題はない」
とのことでした。
家を訪ねて不在だったことから、児童相談所
は保護ではなく「簡易相談事案」として様子
を見ることにします。
再び「通報」 一時保護
翌9月、弟が生まれます。そして12月25日、
優愛ちゃんが一人で外に出されているところを
近所の人が目撃し通報、香川県警が優愛ちゃん
を保護し、児童相談所が対応することになり
ました。
この時、病院では「下唇が切れ、まぶたの上には
たんこぶがあった」と診断され、担当した医師は
「日常的な虐待の傾向がある」と診断書に
記しています。
虐待として児童相談所に一時保護された
優愛ちゃんは、担当職員にとてもなつき、
楽しそうに過ごしていたそうです。
職員は「かわいらしく、よく甘えてくる子だった。
そして明るく、とても人懐っこい子どもだった」
という印象を持っていました。
年が明けて2017年1月29日、親子面談で、
雄大容疑者は、
「悪かった」
「もうしない。できるだけ優しくするから、
いい子にしててくれ」
などと謝っています。
一時保護解除
2月1日、一時保護が解除、優愛ちゃんは
自宅に戻りました。
雄大容疑者は、香川県警に傷害容疑で書類
創建されましたが、のちに不起訴。
初めての一時保護だったため、指導措置は
つきませんでした。
この措置がつくと、保護者は児童福祉司の指導
を受けることになり、従わない場合は子どもが
一時保護されたり、強制入所されたりします。
2月23日、児童相談所が幼稚園に聞き取りを
すると、「元気で変わりないが、食べ過ぎる傾向
があった」と報告されています。
父親は仕事で忙しかったため、帰宅は深夜に及ぶ
ことも多く、子どもたちと話す時間はほとんど
ありませんでした。
２度目の「一時保護」
3月14日の家庭訪問では「徐々に父子関係に
改善が見えてきていた」となっていますが、
3月10日、児童相談所から一家を注視する
よう伝えられていた丸亀署の警官が、一人で
外にいた優愛ちゃんを目撃。
母親は「一緒に遊んでいて、私だけちょっと
家に戻っていただけだった」というものの、
優愛ちゃんはケガをしている様子が見られた
ので、署で身柄を保護し、病院へ。
舌が切れていたり、擦り傷、アザに関して問われ
ると、「お父さんに叩かれた」と答えました。
両親は、「転んだだけ」「叩いたわけではない」と
否定しましたが、2回目の一時保護が決定します。
この頃の優愛ちゃんは「パパ、ママいらん」
「前のパパが良かった」と言っていましたが、
3月14日の親子面談では心理士に「おもちゃも
あるし、お家に帰りたい」とも話しています。
雄大容疑者は、5月にも傷害容疑で書類送検
されましたが再び不起訴、7月31日、児童相談
所は、指導措置付きで保護を解除しました。
しつけ（作法、体重等）に強いこだわりを持つ父親
父親は、児童相談所の聞き取りに対し
「きちんとしつけないといけないから」
と繰り返し説明していたといいます。
また、県の職員は、
「5歳児に対して、父親が過大な期待をしていた。
とにかく養育や作法について、強いこだわりが
見えた」と語っています。
雄大容疑者は、体重に対しても以上に気に
していて優里容疑者に、
「子どもはモデル体系でないと許さない。
おやつのお菓子は、市販のものはダメだ。
手作りしろ。
野菜中心の食事を作れ」
と言っていたそうです。
その後、家族は香川県から東京に移ります
が、12月に一足先に父親が東京へ行きました。
優愛ちゃんの体重は2018年1月には、16Kgを
超えます。
香川から東京へ
優里容疑者は、引っ越すというだけで転居先に
ついては頑なに言わなかったので、児童相談所
が調べて、品川児童相談所へ連絡。
1月29日には「緊急性の高い案件」として移管。
2月7日、優里容疑者に電話をしたが出ない
ので雄大容疑者へ電話をすると、
「それはなんなんだ。
強制なのか？任意なのか？」
と憤り、近所の手前、尋ねるのを拒みます。
2月9日、品川児童相談所が家庭訪問をする
も、優愛ちゃんには会えませんでした。
2月13日、香川県の児童相談所の職員は
焦りを募らせ心配をしていました。
優愛ちゃんが東京へ越してから1か月たって
いましたが、幼稚園や保育園に通わされず、
小学校の説明会にも姿を見せることはありま
せんでした。
この間、品川児童相談所が優愛ちゃんの姿を
確認することは一度もないまま、3月2日に
12Kg（5歳児の平均体重は18kg）まで痩せた
状態で優愛ちゃんは亡くなります。
結愛ちゃんが書いた文章
「もうパパとママにいわれなくてもしっかりと
じぶんからきょうよりももっともっとあしたは
できるようにするから もうおねがい ゆるして
ゆるしてください おねがいします」
「これまでどれだけあほみたいにあそんでいたか
あそぶっておほみたいなことやめるので
もうぜったいぜったいやらないからね
ぜったいぜったいやくそくします」
「しつけで手を挙げる」父親と
「自分の立場が危うくなるの恐れた」母親
捜査１課によりますと、船戸容疑者は容疑を認め
「これまでもしつけで手を挙げることはあった」
などと供述。
また母親の優里容疑者は、逮捕前の調べに対し
「自分の立場が危うくなるのを恐れて虐待を
見過ごした」と話しているそうです。
