特別養子縁組の年齢を「6歳」から「15歳未満」へ引き上げる案

1月29日、法務大臣の諮問機関である、法制審議会は
特別養子縁組制度の見直し案をまとめました。

 

 

「法制審議会」とは?

「法制審議会」とは、法務大臣の諮問に応じて
民事、刑事などの法務全般に関する基本的な事項
について、調査や審議をする法務省の付属機関の
ことで、民法や商法などの個別の分野を専門的に
審議するための部会を設置します。

 

時代の変化や経済の変化、科学技術の進歩等を
考慮して、それにふさわしい家族、夫婦、子ども、
結婚、離婚、犯罪、刑罰、司法、契約、会社などの
法律のあり方について、協議、答申するものです。
この法制審議会の答申を基に、法務省が法案を
作成します。

 

法制審議会の委員は、関係各庁の職員および
学識経験者から、法務大臣が任命し、20人以内
の委員で組織します。
任期は2年ですが、再任が可能で非常勤。
会長は、委員互選に基づき法務大臣が指名し、
特別の事項を調査、審議する場合は、委員とは
別に臨時委員を置くことができ、さらに委員や
臨時委員を補佐する幹事を置くこともできます。

 

法制審議会は、1949年6月11日に設置されたもの
ですが沿革は、1893年に内閣に設置された
「法典調査会」までさかのぼります。
その後、
1907年に「法律取調委員」
1919年「臨時法制審議会」
1929年「旧法制審議会」
1946年「司法法制審議会」
を経て、現在に至っています。

 

 

「特別養子縁組制度」

今回、法制審議会の部会がまとめたのは、特別
養子縁組制度に関してです。

 

「特別養子縁組制度」とは、生みの親が育てられ
ない子と、子を育てたい夫婦がいくつかの要件を
満たした場合に、法的な親子になる制度のことです。
一般的な養子制度とは異なり、実親(生みの親)と
の法的な親子関係は解消します。

 

満たさなければならない要件というのは、
1 実親の同意
2 養親の年齢
3 養子の年齢
4 半年間の監護
ですが、今回は「3 養子の年齢」。

 

 

「6歳未満」から「15歳未満」へ

今までは「原則6歳未満」としていましたが、
対象年齢を「原則15歳未満」に引き上げることと、
養子縁組の手続きの際、養親となる人の負担を
軽減することが主な柱となっています。

 

法務省は法制審からの答申を受け、民法改正案
などを通常国会に提出する方針。
1987年の法改正で導入された特別養子縁組の
制度が見直されるのは初めてのことです。

 

現在は、年間500件ほどで推移している特別養子
縁組制度ですが、より多くの子どもがこの制度の
恩恵を受けられるよう、小・中学生も対象としよう
との指針が出ていました。

 

ただ、対象年齢が上がると養親との良好な関係を
築くのが難しくなるのではとの意見もあり、法制
審議会の部会では、昨年6月から検討を重ねていた
ものです。

 

29日の部会では、民法上、「本人の意見が尊重
される年齢」とされる15歳を区切りとすべきだと
されました。
例外的に、15〜17歳の子どもも対象とする規定
示されています。

 

養親に関しては、実親による養育が期待できない
ことを立証したり、実親の反論を受けたりと、
精神的な負担も少なくありません。
実親が、養子成立に同意しても、家裁での審判手続き
が確定するまでは、いつでも撤回できることも問題と
なっていました。

 

見直し案では、家裁の手続きを2段階に分けることを
提案しています。
第1段階は、児童相談所長による申し立て意を可能
にし、同意から2週間たつと撤回できなくし、
第2段階で、養親の適格性だけを対象にし、実親は
関与しない、という内容になっています。

 

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